朝食
僕が襖を開けると朝食が並べてあった。
味噌汁に焼き魚とおにぎりが二つのったプレート。至ってシンプルなものだ。
「少なかった?」
おそらく量のことを聞いているのだろう。
「僕は十分だよ」
「ご飯だったらおかわりあるから遠慮なく言ってね」
「ありがとう」
二人でいただますと言って、食事をはじめる。
おにぎりはきれいな三角形にのりが巻いてある。
「おにぎりは私がにぎったやつだからね」
やはりそうか。焼き魚も皮はパリッとした食感で、肉は柔らかくジューシーだ。
やはり少女の料理の腕はたいしたものだ。
「おいしいよ」
ストレートに褒められて、最初はキョトンとしている。
「もう。褒めても何もでないよ」
少女は困ったような表情に変わり、それからはにかむような仕草をする。
「おいしい朝食がでているんだから十分だよ」
「ご飯についてはまかせてよ」
少女は胸を張ってみせる。
この腕なら将来は調理師でも通用しそうなものだが、少女は果たしてどう考えているのだろうか。
一つたしかなことはここの料理は素朴ながらも絶品ということだ。
「ご飯、食べたあとだけど、お布団は片づけちゃっていい?」
いまのところ寝て過ごすという選択肢をとるつもりはない――つもりだ。
「いいよ」と即答する。
「それ終わったら部屋は掃除機かけるからね」
つまり寝室はしばらく使えないということだろう。
「それで朝やることはひとまず終わりかなぁ」
少女はぼやく。案外、彼女もやることがないのかもしれない。
それだけ時間がゆったりしているということなのだろう。
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