自由時間
夕食後、少女は洗いものや片づけをこなして、次の日の朝食の準備もあるということで忙しそうだ。
僕は自分の荷物の確認をするため、寝室へと向かった。
寝室の片隅に置いてあった自分の旅行カバンを開ける。実はここに来て、このカバンを開けたのは少女だった。そのせいで少し中の配置が変わっている。それについては自分も了承したことだった。
僕は持ってきたものを確認する。ノートPC、それとコンデジだ。他は衣類とかになる。アメニティは一通りそろっているということで、最小限にした。
最悪、不足したら今日行ったコンビニまで走ればいいのだ。そこまで困ることはない。
とりあえず座卓にPCを置いてたちあげるか。そうなると待ち時間にお茶でも飲みたくなるというものだ。
けど、周辺に茶葉も湯沸かし器もない。どうしたらいいか聞いてみるか。
少女のいる部屋のふすまを少し開ける。少女は誰かと電話中だった。話の内容からして親とか親族とではないだろうか。
「心配しなくても大丈夫だよ。うん。伯父さんにはよろしく言っておくね」
そこで少女は電話を終える。
「お兄さん、どうかした?」
困りことかなと察したような顔つきだ。
「のどが渇いちゃってさ」
「あー、そういえば湯沸かし器とか冷蔵庫もないよね」
そうなのだった。
「すぐなら、冷えたむぎ茶ならあるよ」
「お願いできる?」
「待ってて」と少女は台所に引っこむと、片手にむぎ茶の入ったポットとコップを二つ持ってくる。
「私ものどが渇いちゃって」
一緒に飲もうと少女に誘われて、僕はちゃぶ台の傍らに座った。
「ジュースとかほしいなら、あのコンビニまで行かないといけないんだ。しかも夜の7時に閉まるの」
遅くまで開けていても客がこないらしい。それはそうかもしれない。
それにしてもどんな話をしようか。僕は少女との時間の過ごし方を浮ついた気分で考えていた。
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