少女と露天風呂
日がようやく傾きだして、あたりは少しあかね色に染まりつつある。
僕はお風呂からあがると、脱衣所に置いてあった浴衣に着替えていた。
いまは縁側でうちわを仰いでいる。
あたりはしっかり塀で仕切ってあるので、別段涼しいというわけでも、景観がいいというわけでもない。
僕がお風呂にあがったあと、いまは少女がお風呂に入っている。
いまのところ、特にやることがあるわけではない。
縁側にいるのはなんとなく少女がお風呂からあがってくるの待っていた。
日が傾きかけてるとはいえ、汗がじっとりと流れる。
やっぱりクーラーが効いてる室内へでも行くべきか。そう思って立ちあがろうとしたら、フェイスタオルを首に巻いて少女が脱衣所から出てくる。
「お兄さん、縁側にずっといた?」
少女は髪を結ってポニーテールにしていた。シャツは群青色のタンクトップ。下はかなりきわどいホットパンツ。タンクトップの丈が短いのか腰が揺れ動くたびにおへそがちらつく。
僕は目のやり場に困り、少女から視線をそらそうとする。が、なかなかそれは難しいと感じた。
ペタペタと素足で板橋を歩く音がこちらへ近づいてくる。
おそらく少女が近づいてきている。
「どしたの?」
その問いにどう答えればいいのかと僕は迷う。
僕はふと顔を見あげると、そこには長いまつげのきらめく宝石のような双眸が僕を覗きこんでいた。
「普段はその……ラフな格好をすることが多いの?」
少女はその質問の意図を考えるように僕から視線を逸らそうとしない。
そのまま僕と肩と肩がふれあうくらいの距離にぺたりと座る。
「ワンピース姿のほうが好きだった?」
少女はまっすぐな目で僕を射貫いてくる。
「いまも、その……いいと思うけど」
どんどん自分の声が小さくなっていく。
「ちょっとお兄さんには刺激が強かったかもしれないね」
これから家事をしないといけないから、この格好が何かと都合がいいということだった。
「私は中で夕飯のしたくするから」
少女は中に入るねと言ったあとに、まだここにいるのかとたずねてくる。
僕も入ると伝えると、少女はニッコリ笑って、僕の手をとるのだった。
お読みいただきありがとうございます。
引き続きよろしくお願いします。




