寄り道その3
さて、どうしたものか。
自転車を置いたところまで戻ってきた、僕と少女は水びたしのままだ。
「塗れちゃったね」
塗れてしまったせいでワンピースが少女の肌にピタリと貼りついている。
少し日焼けした肌やインナーが薄透明になっている。
「このインナーは見せてもいいから大丈夫なんだよ」
でも、ジロジロ見られるのは恥ずかしいと少女は告白してくる。
僕はそんなに少女のことを見ていたのだろうか。
「とりあえず帰ろうか」
「そだね」
サドルが濡れてしまうが、結局僕らは自転車に乗って帰ることにした。
僕としては面と向かいあう状態が気恥ずかしかったというのもある。
「掴まるよ?」
僕は頷く。
少女の両手が僕のお腹にまわされる。力はそれほど入っていない。
自転車が進みはじめるとこめられる力が少しずつ強くなっていく。
背中越しに少女の鼓動を感じるようだった。
お互い、濡れているせいか先ほどより体温が熱く感じる。
少女はどんな体勢で僕に寄りかかっていのかは想像するしかない。
「道なりに行けばオッケーだよ」
とりあえず帰ったらお風呂へ行こうとは彼女の提案。
「もちろん一緒に入るなんてあり得ないからね」
それはどれくらい冗談を交えたのかわからない。
「じゃあどっちが先に入るかだね」
「そこは譲るよ、お兄さん。なんたってお客さんなんだから」
こんなことを僕らは話していた。
少し日が傾きかけた時刻。
一日はまだ続く。
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