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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第二章

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猛るシカと戦って2

「それでは失礼します」


「あなたたちは早く避難を」


 今何が起きているかの把握はできた。

 片平の言葉に圭たちが顔を見合わせる。


「俺たちも覚醒者の端くれ、俺たちも戦います」


「おじいさんも置いていけないよ」


「うん、バイペッドディアぐらいなら私たちでも戦えるしねぇ」


 先ほどまで何もできなかったとみんなで沈んでいた。

 なんとなく今ここから逃げ出してはいけない気がした。


 それに和輝は治療したとは言ってもまだ気を失って寝ている。

 カレンは絶対に和輝を置いていかないだろうし圭たちもそんな2人を置いて逃げられはしない。


「しかしケガ人、連携が取れるかも分からない人を前線には置けません」


 気持ちは分かるがどんな人でも動員せねばならないような緊急事態でもない。

 ならばギルドの勝手知ったる仲間たちで対応する方がいい。


 低級の知らない覚醒者がいきなり参戦してきても邪魔になるだけと言わないだけ片平も優しい方である。


「ではどうですか、八重樫和輝さんのテントを皆さんでお守りなさっては」


 たとえ戦力になるレベルだとしてもよほど強くなきゃ許可するつもりはない。

 それならと片平は提案した。


 和輝はどうにかテントから規制区域外まで運んで救急車で搬送するつもりだった。

 こうなると意識のない和輝を運ぶのは危険が大きい。


 ギルド員に護衛させるつもりだったが圭たちが守ってくれるのなら和輝の護衛に割り当てる人数を減らせる。


「そうしよう」


 わがままで戦うことはできない。

 圭の状態も万全とは言えないのでいいラインの話である。


 圭たちは装備を持って和輝のテントに向かう。

 

「何があったんだ?」


「ゲートがブレイクした。モンスターが溢れて出している」


「な、なんで!」


「原因は分からない。とりあえず俺たちは和輝さんを守るぞ」


 圭は持ってきた盾とメイスをカレンに渡す。

 テントを出ると周りにいた人たちもだいぶ少なくなっていた。


 ゲートから溢れ出したモンスターが人里に向かわないように包囲網を張りに行ったのである。


「佐藤康二です」


「山田清です」


 大海ギルドから和輝を守るために覚醒者が2人来てくれた。

 遠くから戦っているような喧騒が聞こえてくる。


 バイペッドディアは戦闘力は高くないが素早く好戦的。

 ひたすら襲いかかってくるバイペッドディアは溢れ出してくる量によってはなかなかに面倒な相手であろう。


「きたぞ! 警戒しろ!」


 いかに包囲網を敷いて警戒しようとも全く抜け目もなく全てを網羅することはできない。

 優先順位としては人里に繋がる道や人里の方向にモンスターが行かないことになる。


 圭たちがいるところは人里方向からやや外れた方向になり包囲網が薄かった。

 そのためにバイペッドディアが流れてきてしまった。


「こっちだ!」


 和輝がいるテントに向かわないようにカレンが魔力を2体のバイペッドディアに向かって放つ。

 好戦的なバイペッドディアは向けられた魔力を敵意だと思い、カレンの方に走ってくる。


「爺さんに手は出させないぞ!」


 2体のバイペッドディアの前足が盾を殴りつけるがカレンは少し押されただけで耐え切った。

 ゲートの中で戦いながらカレンも力を真正面から受けるだけでなく全身で柔らかく受ける術を学んでいた。


「いいぞカレン!」


 1体を大海ギルドの覚醒者たちが、もう1体を圭たちが倒す。

 この分なら和輝を守るのには問題がなさそうだと思った。


 その後も何体かバイペッドディアが流れてきてしまったが単発的なもので対処は簡単であった。


「な、何あれ? デカくない?」


 戦いが始まって状況がどうなっているのか気になり始めた頃、またバイペッドディアがやってきた。

 なのだがその様子は他のバイペッドディアと違っていた。


 これまで戦ってきたバイペッドディアよりも体格が一回り大きい。

 さらにバイペッドディアはあまりツノが大きくないのだが現れたバイペッドディアは立派なツノを持っていた。


「ダンジョンのボスだ!」


 圭はその正体にすぐに気がついた。

 一応戦ってしまわない様に、あるいは戦うことになった時のためにダンジョンの情報としてボスのことも事前のことも頭に入れてあった。


 ボスバイペッドディアは通常の個体よりも大きく立派なツノを持っている。

 基本的にはバイペッドディアと大きく変わらないのだが能力的にはバイペッドディアの強化版のような存在であった。


『ボスバイペッドディア

 バイペッドディアの中でも体が大きくツノが立派なものが戦いを勝ち抜いて群れの長をなったもの。

 元々はあまり好戦的ではなかったのだが縄張りを守るために積極的に攻撃を仕掛けるようになった。

 ただ頭は良くないので戦闘パターンは単純。

 魔石はまずい。草の味がする。』


 ボスバイペッドディアのことを真実の目で見てみた。

 あまり戦いに有効そうな情報はないけれどそんなに強くもなさそうである。


「お二人の等級は?」


「私はEです」


「俺はD級です」


 佐藤がE級、山田がD級であった。

 資料によるとボスバイペッドディアはE級相当。


 圭たちもそれに近い実力はある。

 D級の山田もいることであるし協力すればいける、そう思った。


「やりましょう!」


 どの道ボスバイペッドディアに見つかっては逃げても追い回されるだけになる。

 戦って倒すしかない。


「ぐっ!」


 魔力を差し向けるカレンの方にボスバイペッドディアが走り出す。

 念のためすぐにフォローに入れる体制をとりながらボスバイペッドディアの行動を注視する。


 他のバイペッドディアと同じくカレンの盾を前足で蹴り付ける。

 普通のバイペッドディアならほとんど押されることがなかったカレンが数歩後ろに下がらされた。

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