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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第二章

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ゲート1日攻略権2

 全身をガチガチの装備で固めて不安そうな表情を浮かべる優斗の背中をカレンがバンバンと叩く。

 そこまで警戒しなくても今回入るゲートはF級なので優斗の能力を持ってすれば危険なことなどない。


「大きいのに怖がりだねぇ」


「僕は虫も殺せないなんて言われますからね」


「昔枕元にクモがいたからって寝らんなくなって私の部屋に逃げてきたこともあるもんな」


「ね、姉さん……」


 優斗は頬を赤らめる。

 そんな昔のことを言わなくてもいいのにとモジモジとしている。


 戦力的には期待はできないがこうなると覚醒者の等級など表面上の戦力しては十分なぐらいには見える。

 そしてさらには圭は今回ゲートを攻略するに当たって1日攻略権を買った。


 1日攻略権とは最近出来た制度でゲートをより多くの人が攻略できるように考え出された。

 ゲートは長期間攻略されないとブレイクという中からモンスターが出てくる現象が起こる。


 そのことの裏を返すとブレイクを起こすまでの期間ならゲートの攻略はやり直せるということなのである。

 ゲートの中にいるモンスターも一定期間を経過すると復活することも近年では分かっている。


 そのためにモンスターの狩りを目的としてゲートの攻略権を持ったチームが他のものにボス以外のモンスターの攻略権を一時的に譲渡する制度が生まれたのだ。

 昔は素早いゲートを攻略することが良いとされたが今は1つのゲートから多くの利益を生み出すことが考えられていた。


 ゲートの攻略権を持つチームはゆっくりと準備をしながらその期間も報酬を受け取れて、他のチームはボスという危険度の高い相手と戦わずにゲートのモンスターを倒すことができる。

 ウィンウィンな制度なのだ。


 ボスを倒さないので攻略に当たるチームの審査も緩く、ボスまで含めたゲートの攻略権を買うよりも金銭的にも優しい。


「みんな、準備はいいな?」


「ああ、頑張るよ!」


 やる気を見せるカレン。

 圭たちは青く光るゲート中へと足を踏み入れていった。


 プールに飛び込んだ時の水に入るような感覚が薄皮一枚ほどの間だけ感じられた。

 ほんの一瞬のことなのだけどこの感覚がゲートを通り抜けたということなのである。


「なんだか不思議な空気……」


「ゲートの中は外よりも魔力に満ちている。それが魔力に敏感な人にとっては奇妙な感覚になるらしいな」


 波瑠がキョロキョロと周りを見回す。

 まばらに木の生えた平原が広がっている。


 気温は穏やかで暑くもなく寒くもない。

 環境としては非常に過ごしやすい。


「一応余裕を持って2日分押さえたけど時間は有限だから早めに動こう」


「ふむ……どこからそんな金が出てきたんだい?」


「えっ?

 あ……それは……ちょっとね」


 夜滝がいぶかしむような視線を圭に向けた。

 お手軽価格とは言っても1日攻略権も安いものじゃない。


 少し前には装備を買ったばかりだしお金には余裕がないはずなのに念のためと2日分も攻略権を押さえるなんてどこからそのような資金が出てきたのか疑問だった。

 圭がカレンたちの借金を肩代わりしたことは夜滝と波瑠は知らない。


 カレンたちだって圭がどこからお金を引っ張ってきたのか知らないのだ。

 夜滝の知る圭にそんなお金の余裕は絶対にないと言い切れる。


 ジーッと探るような視線を向けられて圭は気まずそうに目を逸らす。


「俺が出したのだよ」


「和輝さんが?」

 

「年寄りにはヘソクリの1つでもあるもんだ」


 誤魔化すか、正直な話すか。

 どうしようか悩んでいると和輝が助け舟を出してくれた。


 カレンとの間にお金の問題があると分かればせっかく良い関係を築き始めていたのにギクシャクしてしまうかもしれない。

 それに借金を抱えていたことなど他人には知られたくないことでジジイのヘソクリから出したのだと押し切ることにした。


 圭のためでもあるし、自分やカレンたちのためでもあった。

 年寄りなりの配慮。


 驚いた圭が和輝を見ると目は優しく笑っていた。


「ふむむ……そうなのか」


 圭の動揺も気になるがお金を出してもらっていてヘソクリだったから秘密にしようとしたなら納得できなくもない、ような気もする。

 カレンと優斗はなんとなく事情を察して何も言わない。


「ほんとにぃ?」


 1人だけちょっと納得してない波瑠が上目遣いに圭を疑う。

 少しばかり圭が動揺しすぎた。


 こんな時スマートにウソをつけない自分が恨めしい。


「うりゃ」


「うにゃ!」


 誤魔化すように波瑠の額を軽くデコピンする。


「いいからいくぞ! 時間はないからな」


「怪しー! ……でも圭さんお金持ちでもないからなぁ」


「うっさい」


 ひとまず誤魔化せたので狩りに出ることにした。


「うんわぁ……きもぉ」


 F級ゲートなので出てくるモンスターは個体差によるが大体F級相当。


「なんかモンスターっつうかギャグ方面に究極進化したみたいだな」


 このゲートに出てくるモンスターの名前はバイペッドディア。

 見た目ではシカ。


 シカであるのだけどただのシカではない。

 その特徴として大きいのは見た目というか生態というか行動というべきなのか迷うところであるが、なぜかバイペッドディアは二足歩行で行動するのである。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >二足歩行のシカ なんか大分昔に動画サイトで、堀川り○うさんボイスでムキムキのシカを見た記憶があるなぁ…相方が若本○夫さんボイスで「声が小さい!はいもう一度!」と言うムキムキの馬のやつ(笑…
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