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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十四章

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勇者を救え7

「ここからどうやって……城まで?」


 古い監視塔は城どころか町からも遠い。

 どうやってここから城まで行くのかとカレンはキョロキョロしていた。


「これです」


 ロンデルシアは一つの木箱に視線を向けた。


「これ?」

 

 小柄なロンデルシアの胸ほどの高さまである大きな木箱がどうしたのか、と波瑠とカレンは首を傾げる。


「んっ……」


 ロンデルシアは木箱に手を伸ばすと、腰を下ろして体全体で引っ張る。

 重たいのか勢いをつけて少しずつ動かしていく。


「手伝うぞ」


 流石に見ていられない。

 圭も木箱を動かすのを手伝う。


 鉄の塊でも入っているのかと思うほどに木箱は重たい。

 それでも圭だってA級覚醒者だ。


 力を入れて木箱を引きずっていく。


「おっ?」


 カレンが木箱の下を覗き込む。

 木箱の下には金属の扉があった。


「閉所恐怖症には辛そうだな」


 扉を開けてみると暗闇が広がっていた。

 下に伸びる金属のハシゴがあるけれど、底が見えないのでどこまで続いているのか分からない。


「ほっ! ……底に着いたね」


「まあ、思ってたより深くはないな」


 夜滝が魔法で炎を飛ばす。

 下まで炎が落ちていって中を照らしてくれるところを覗き込む。


 暗いとどこまでも落ちていってしまいそうな錯覚に陥るが、底までは常識的な深さしかない。

 よく見ると町の方に地下は伸びていっている。


 これがロンデルシアの言う裏口というやつだろう。


「ほっ!」


 カレンが地下に降りる。

 ハシゴも使わずに飛び降りて、着地した足の痺れを感じながらもカレンは盾を構えて地下の通路奥を睨みつけるようにして警戒する。


「大丈夫そうだ!」


 しばらく待ってみるが、モンスターや人など怪しいものはない。

 足の痺れも治ったカレンが声をかけると、圭たちも下に降りていく。


 地下は街に方に真っ直ぐと通路が伸びている。

 ただ明かりがないので先の方がどうなっているのかは見通せない。


 空気の流れがなくて埃っぽく、ジメジメとしてる。

 壁や天井周りは土をガッチリと押し固めたように作ってある。


「まっすぐこちらに行けば大丈夫です」


 ロンデルシアをどうするのか少し悩んでいた。

 前を行けというのはあまりにも信用していない感じが出過ぎるし、一番後ろだとそれもまた不安。


 先を圭たちが行って、間にロンデルシアを挟んで後ろから青龍ギルドに警戒してもらうのがいいかもしれないと考えていた。

 けれどロンデルシアは何を言われるでもなく、一人でスタスタと先に歩き始めた。


 先頭で案内してくれるというのなら大きな文句もない。

 圭たちはロンデルシアについていく。


 そうは言っても一本道なので案内されるまでもない。

 前方を強く照らせる懐中電灯と周りを照らせるランプ型の明かりを併用して視界を確保する。


「なんか歩いてばっかりですね」


 またしても結構歩く。

 どこに出るのか知らないけれども、城と監視塔との距離を考えた時にかなり歩くことはしょうがない。


「えーと……」


 進んでいくと分岐が現れた。

 ロンデルシアは立ち止まって、どちらにいくのか悩み始めた。


「どうしたんだ?」


「どちらに行った方がいいのか考えていました」


「……どういうことだ?」


 逃げるのに使ったルートをそのまま戻ればいいと圭は思った。


「実は地下牢に直接繋がる道はないのです」


 牢というからには、人を捕まえているところなことは圭にもわかる。

 善良に生きている人はまず捕まらない。


 捕まる人はいわゆる犯罪者ということになる。

 たとえ緊急用の脱出ルートだとしても、犯罪者に利用されるような可能性を排除できない地下牢にはつなげることはできない。


 今いるのも地下だし、このまま地下にと圭は考えてしまうが、保安上しょうがないのだ。


「私が入ってきたところと、こちらの道の先にある出入り口のどちらがいいのか考えていたのです」


「なるほどな」


 ロンデルシアも真剣に勇者のところに案内してくれようとしているのだと圭は感じた。


「このまま真っ直ぐ行くとお城の居住地に出ます。勇者様たちが捕まった今では監視は緩いのでしょうが、地下牢までは少し遠いです。こちらの方に行くと、城のキッチンに行けます。地下牢まではこちらの方が近いのですが……何があるか分かりません」


「なるほどな」


 出たところが安全だけど地下牢まで遠いルートと、出たところがどうなっているのか分からないけれど地下牢まで近いルートがあるということになる。

 どちらがいいのか、なかなか判断しにくい。


「みんなはどう思う? ……うわっ、なんだ!?」


 どちらに進むべきか。

 みんなの意見を聞こうと圭が振り返ったら、突然地面が大きく揺れ出したのだった。

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