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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十四章

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勇者を救え6

「私は勇者様の従者をしております」


「従者……だと?」


「身の回りのお世話をさせていただいています」


 ロンデルシアはニコリと笑顔を浮かべる。


「勇者側の人間……ということか?」


「そうです」


 怪しい。

 敵ではなさそうだけど、ロンデルシアはあまりにも急に現れた。


 勇者の味方であるという主張は理解できるのだけど、証明のしようもなくて信じにくい。

 こんな状況なのだから疑っても仕方ないし、突然現れても仕方ない。


「裏口っていうのはなんだ?」


 警戒を解かないまま会話を続ける。

 信用するにしてもしないにしても話を聞いてからでも遅くはない。


「今の勇者様の状況をご存知ですか?」


「捕まっていると聞いている。暗黒竜派がそんなことをしたと」


「その通りです」


 ロンデルシアは小さく頷く。


「今勇者様は地下牢にいます。私も捕まりかけたのですが……なんとか逃げ出したのです」


「……だから?」


「この国は歴史が古く、王城も建国当時からあります。他の人が知らないような秘密の通路があるんです。私が逃げ出したような」


 確かにそんなものはあるかもしれないと圭も思った。

 ここまでの経験で古城のようなところに、隠された通路があったなんて経験もある。


 正門以外に城に出入りする秘密の通路がある可能性は頭の隅にあった。

 ただそんなもの探している時間なんかないだろうと思っていたが、裏口となる秘密の通路について知っているという相手がちょうど現れた。


 ゲートの攻略において、次に繋がるものが都合よく現れることも珍しくはない。


「勇者様を助けてください。お願いします」


 ロンデルシアは胸の前で祈るように手を組んで圭のことを見つめる。

 なんだか微妙に感情がないような目をしている。


 言っていること自体は圭たちの利益になることだ。

 だがロンデルシア自体がいまいち信じきれない。


「どうですか?」


「なんだか怪しいですね」


 圭がウェイロンにロンデルシアをどう思うか尋ねてみる。

 ウェイロンもロンデルシアを怪しく感じているようだ。


「けれど信じてみるしかないでしょう」


 罠の可能性もある。

 しかし信じなければ正面突破という方法しかない。


「判断は任せます」


 圭が信じるならウェイロンも従う。


「……真実の目」


 信じる理由が欲しくて、真実の目を使ってみる。

 最近調子が悪いけれども何かが分かるかもしれない。


『ロンデルシア=クラワ=ヘルゼンシクワーテ

 デンシンク=クラワ=ヘルゼンシクワーテの娘。

 国王の娘であり、勇者の追っかけ。

 国王が止めたにも関わらず勇者を追いかけ回して、身の回りの世話を焼いている。

 意外と実力もあってなんだかんだと最近は受け入れられている』


「おっ……」


 真実の目はちゃんと動いてくれた。

 ロンデルシアの情報が圭の前に表示される。


「……信じても大丈夫そうですね」


 サラッとロンデルシアの情報を読んだ圭は信じてみることにした。

 真実の目のおかげで知りたいことがドンピシャで分かった。


 まず勇者と関わりがあることは本当のようだ。

 付き人というよりも追っかけのようであるが、そんな感じのことをやっている。


 そして国王の娘であった。

 一見それがどうしたという情報ではあるが、秘密の通路について知っているという裏付けになる。


 なんとなく距離がある冷たいような態度も、勇者一筋だからかもしれない。


「その裏口ってやつに案内してくれないか?」


「もちろんです」


 ひとまず勇者側の人間であることは確かそうだ。

 なら罠の可能性は低い。


 圭はロンデルシアに案内を頼んでみることにした。


「それではこちらに」


 圭たちはまた少し警戒しつつもロンデルシアの後をついていく。

 町の中に向かわず、城壁の外を回っていく。


 見張りにバレないようにかなり離れて回っているので時間がかかる。

 遮蔽物が少ないので見張りにも見えてはいるだろう。


 ただ離れているので、何かが集団で動いている程度にしか見えていないはずだ。


「どこまでいくんだ?」


 町を中心に時計回りに四分の一ほど回ってきた。

 ちょうど圭たちが十八階から見ていた町の方角に来ている。


 町から離れて大きく回っているので、角度的にはたった九十度でもかなりの距離を歩いたことになる。


「まだです」


 ロンデルシアは振り返ることもなくスタスタと歩いていく。

 結局そのまま歩いて町の反対側までやってきた。


 最初の位置ではお城の右側が見えていたけれど、逆の左側が見えている形になる。


「これは……」


「なんだろ?」


 反対側まで来てさらに町からちょっと離れたところに塔があった。

 ビル三階建てぐらいの古びた塔が突然なんの脈絡もなく立っているのだ。


 人が住んでいるような気配はない。

 誰も使わなくなって久しいような感じだ。


「ここは古い監視塔です。かつて他国との戦争があった時に使われていたものとなりますが、今はもうご覧通りですね」


 圭たちの疑問を察してロンデルシアが軽く説明してくれる。

 監視塔のドアは鍵が開いていて、ロンデルシアはそのまま中に入る。


 中は思ったよりも広い。

 いくつか木箱が置いてあって、監視塔の壁沿いに丸く上へ続く階段が伸びている。

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