表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

833/837

勇者を救え5

「殺してしまった方が早いと思うのですが、どうでしょうか?」


「うーん……難しいよな」


 ウェイロンから難しい質問が飛んできた。

 たとえ相手が弱くとも殺さずに制圧することはかなりコストがかかる。


 むしろ弱すぎると逆に辛いところもあるぐらいだし、強いと強いで手加減は困難になる。

 圭たちはゲートの中の人を人として見ている。


 ただみんながそのように考えているわけじゃない。

 ゲートの中に現れるものは人の形をしていようとも、意思の疎通が取れそうであろうともモンスターであると考える人がいても否定はできない。


 ウェイロンたちもそうした考えに近い。

 人であっても敵なら倒す。


 制圧して殺さずに済ませるよりも、殺してしまった方がはるかに早くて手間がかからないと考えているのだ。

 その考えは理解できる。


 圭たちだってゲームの裏側を知らなきゃ、同じように考えていた可能性もある。

 ただ今の圭たちは向こうにも生活があって、生きていた人間であるということを知ってしまっている。


 ゲートである以上、殺されてもまた復活することはあるのかもしれないが、そう簡単には割り切れない。


「唐門ギルドの失敗がそこにあるかもしれません」


「どういうことですか?」


「多分唐門ギルドは目の前に現れる敵を全て倒したはずです。だけどそれで……」


「失敗した」


 唐門ギルドが失敗したという前提に立ってみる。

 勇者を救うと分からなかった可能性もあるが、相手を殺して回ったこともあるのかもしれない。


 十一階のように、相手を殺してしまうような犯罪的な行為で周りのヘイトが高まる可能性がある。

 今はまだ暗黒竜派閥と勇者派閥に分かれているようだけど、人を殺してしまうと暗黒竜派閥が力を持つかもしれないのだ。


 それに何かが起きた時に、殺さずいれば味方になってくれることもある。

 実際十一階でも殺さずにいた人が味方となったことがあった。


「……ここはあなたに従います。できる限り殺生はしないようにします」


「ありがとうございます。お願いします」


 生かしておくことに不利になるのか、殺してしまうことによって不利になるのか、それはまだ分からない。

 ただ唐門ギルドの二の舞を防ぐためには、唐門ギルドがやってしまったであろうことは極力避けるべき。


 ひとまず可能な限り殺さない方向性でいくことにして、お城のある町に向かっていくことにした。


「……見張りがいますね」


 町は城壁に囲まれている。

 城門の上と城門前に見張りの兵士が立っている。


 まだ距離があるので攻撃してくるから分からないが、歓迎してもらえるだろうと楽観的には考えられない。


「町中に人もいるね」


 見張りはいるものの、城門は開かれていて出入りに関して厳重に管理されているわけじゃなさそう。

 町の中も軽く見える。


 町中には人が行き交っている。

 十八階の町とは違って、かなり賑やかだ。


「唐門ギルドはあそこに突っ込んで虐殺した……なんてことないよな?」


「ありえない話ではありません。昔から唐門ギルドは過激なところがあるので」


「そう、ですか」


 圭はそんなことしようとも思わないのだけど、少し考えが違えば何をするのか分からないものである。

 一般人にもまとめて手を出した可能性があると聞いて思わず苦い顔をしてしまう。


「どうしますか?」


 城は町の中心にある。

 正面から突入していくとして、どれだけの相手が襲いかかってくるだろうか。


 殺さずに城まで行って、勇者を助け出すのはかなりたいへんそうであった。

 だからといって他にルートがありそうな感じもない。


「正面突破しかないのか……」


 こうした場合には何かの攻略法的なものが用意されていることが多い。

 圭たちだけならばじっくり調べてみるのだけど、今回は青龍ギルドに付き合ってもらっている。


 唐門ギルドだって、あまり長いこと攻略していてもいい顔をしないはずだ。

 そうなるとやはり正面から挑むことになってしまう。


「裏口があると言ったらどうですか?」


「裏口? そんなものがあるなら……えっ?」


 サラッと何かが会話に混ざってきた。

 あまりにも自然なので普通に返事してしまったが、見知らぬ女性の声に圭は違和感を覚えた。


「誰だ!」


 フードを深く被った小柄な女性が、いつの間にか圭の隣に立っていた。

 圭のみならず、ウェイロンを含めた誰も気づいていなかった。

 

 みんなが一斉に女性から離れて武器を構える。


「そんなに警戒なさらないでくださいよ」


 小柄な女性がフードを下ろす。

 輝くような黄金色の髪を大きな三つ編みに束ねたものがばさりと溢れる。


 青い瞳をした美少女が圭たちに向かって歯を見せて笑う。


「私はロンデルシア。ロンデルシア=クラワ=ヘルゼンシクワーテと申します」


 ロンデルシアと名乗った女性は優雅に頭を下げる。

 今の所ロンデルシアから敵意のようなものは感じられない。


「……あんた、何者だ? 裏口って何のことだ?」


 圭とウェイロンが視線を交差させ、圭が質問を口にする。

 ロンデルシアは圭に視線を向けているし、その方が都合がよさそうだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ