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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十四章

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勇者を救え1

「多重ゲートか」


 多重ゲートはこれまでに世界で数例しか見つかっていない希少な現象である。

 ゲートの中に別のゲートが現れるというもので、中のゲートまで攻略して初めてゲートの攻略成功となる。


 ただ単純に別のゲートがあるというわけではなく、多重ゲートはハイリスクハイリターンであるということがよく言われる。

 これまでの場合、多重ゲートは外のゲートよりも中のゲートの方が難易度が高いであった。


 ゲートの中では魔力が満ちていて、魔力測定による等級をちゃんと予想することはできないが、中のゲートは外よりも一つ等級が上になると言われているのだ。

 ただその分リターンがあって、お金になるような希少な魔物がいたり報酬としてアイテムをゲットできたという先例がある。


「B級ゲートなら……A級になるのか」


 多重ゲートの中のゲートは一つ上の等級になる。

 そう考えると今いるのは推定B級ゲートなので、中のゲートはA級程度になることが予想される。


 試練として出現してもおかしくないし、唐門ギルドが失敗したのも頷けた。

 多重ゲートの中はただ出現した同等級のゲートよりも難しいとされる。


 A級ゲートだとしても、そのなかでさらに難しいA級ゲートなら失敗してもおかしくない。


「どうしますか?」


 倒したレッドスキンオーガをボスも含めて青龍ギルドは外に運び出している。

 その間に休憩したり、圭たちと青龍ギルドでそれぞれどうするのか話し合ったりしていた。


 青龍ギルドの方でも話し合いが終わったのか、圭たちのところにウェイロンがやってきた。


「俺たちはこのまま攻略したいと思っています」


 圭たちの考えは単純だ。

 このまま中のゲートも攻略するつもりだった。


 リスクがあるから攻略しないで帰るなんて選択肢の方がない。


「分かりました。こちらも攻略の意図があります。しかし十分な準備はしましょう」


 青龍ギルドとしても、圭たちに恩返しをしたといえるほどにまで活躍したとは思っていない。

 多重ゲートは危険で撤退した方がいいのではないか、という意見もある一方で、攻略できれば利益もあるかもしれないという意見もあった


 最終的にはウェイロンとイーリンの意見で中のゲートも攻略するつもりであった。

 しかし今すぐ入るつもりはない。


 ゲートの中にあろうとゲートである。

 そこでドローンによる下調べなど、普通のゲートに入る時に行う調査を一通り行おうと提案してきたのだ。


「多少の疲れもあるでしょう。1日ぐらい休んでも変わりませんよ」


 圭たちとしては今すぐ、というつもりだったが、ウェイロンは休むことも提案してきた。

 一度休んだところでモンスターやボスがすぐに復活して、中のゲートが消えることはないだろう。


 それならゲートを出て休んでもいいのではないかということだった。


「確かにそれは一理あるな」


「少し焦りすぎていたかもしれないねぇ」


 ウェイロンのいうことは間違っていない。

 調査は青龍ギルドに任せて、圭たちはゲートの外に出て休息を取ることにした。


 シェフが作ってくれる中国料理を食べて、テントの中で休む。

 家やホテルで休むのには及ばないかもしれないけれど、それでもゲートの中でちょっと休むよりはしっかりと休息が取れたのだった。


 ーーーーー


「こちらを見てください」


 次の日、ゲートの外で多重ゲートの中のゲートの調査結果を確認する。


「あんまり変わらねえな」


 外のゲートに入る時にも使ったドローンを中に持ち込み、中のゲートも同様に調査していた。

 ドローンが撮影した映像を圭たちも確認する。


 中のゲートの中も外のゲートの中と似たような景色が広がっていた。


「町?」


「あれって……」


「あっ! 撃ち落とされちゃった!」


 ドローンの高度が上がって、町のようなものが見えた。

 その町に近づいたところで、町の方向から火の玉が飛んできた。


 ドローンは回避するように動いた。

 危険を察知して帰還しようとしたのだけど、いくつも飛んでくる火の玉を避けきれずに被弾してしまう。


 そのまま地面に墜落したところで映像は途切れている。


「どうやってこれ回収したんですか?」


 明らかに墜落している。

 攻撃もされているのに、ドローンの映像をどうやって持ち帰ったのか謎である。


 リスクを承知で、人が入って取ってきたのだろうか。


「緊急事態用のバックアップがあるんです」


 ヤンが軽く説明してくれる。


「大きなドローンの中に小さなドローンが入っていて、外側が損傷を受けるとデータだけ持って中の小さなドローンが高速で帰還するようになっています」


「へぇ……」


 大きなドローンは目立ってしまう。

 モンスターに見つかれば攻撃の対象になることも珍しくはない。


 仮に攻撃を受けて墜落したとしてもデータだけは持ち帰りたい。

 そのために二つの対策が取られている。


 その一つが大きなドローンの中に、データを保持して帰るだけの小型ドローンを搭載しているのだ。

 今回その小型ドローンがしっかりと役目を果たしてくれて、映像などのデータを持ち帰ってくれた。


「問題は……」


 映像が戻される。

 そこには攻撃が放たれる瞬間が映し出されていた。


「攻撃したのは……人間のようですね」


 町の城壁の上、そこに立っている人が火の玉を放っていた。

 多重ゲートの中のゲートには人がいる。


 青龍ギルドもそのことに動揺を隠せていないのだった。


「しかもあれだねぇ」


「うん、お城が見えるね」


 加えて、映像の町には大きなお城が見えている。

 記憶に間違いがなきゃ、塔の十八階で見た町の城のようである。


 圭たちは思わず顔を見合わせた。

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