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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十四章

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ブラックドラゴン戦4

「この世界も時間の概念があるんだよな」


 登っていると周りが少し薄暗くなってきた。

 十八階は一日の概念がある。


 外よりとほぼ同じ時間長さで動いている。

 日本とは何時間かズレていそうだが、それでも昼夜があって適宜休む時を自然と作ってくれるのはありがたかった。


 もうすぐさらに暗くなって完全に夜になる。


「……あまりタイミング的には良くないな」


 夜になるタイミングが悪い。

 今いるのは山の途中であって、地面は傾斜している。


 木々の距離も近くて開けていない。

 テントなんか張るには少し場所としてふさわしくないのだ。


 加えてドラゴンの声が聞こえた。

 モンスターが近くにいるのに休むのはリスクがある。


 夜の暗い中で戦うのも危険だけど、休むような場所も見つからず山を登っていく。


「意外と明るいね」


 空は暗くなり、周りは完全に夜になった。

 月はない。

 

 でもまるで月がまばゆい日のような、不思議な明るさが周りを照らしてくれている。


「こりゃ……」


「いきなり、だね」


 ふと山頂に着いた。

 きつめの傾斜が続いていたのに、山頂は突然の平らな地面になっている。


 まるで山の上をスパッと切り取ったかのよう。

 そして平らになった山の上にはドラゴンがいた。


「デカ……」


 ドラゴンといえば誰もが知っている空想上の動物である。

 しかし今の世界では、空想でもなんでもなくドラゴンはモンスターとして存在している。


 強力な存在であるというイメージは決して間違いでなく、ドラゴンは人類にとっても強大な敵であった。

 最初期に様々なモンスターが現れた時にはドラゴン系統のモンスターいて、大きな被害をもたらしたものである。


 そんなドラゴンが目の前で寝ていた。

 全身真っ黒なドラゴンは美しさすら感じさせる。


 トカゲ、なんでバカにしたようにいうこともあるが、やはりトカゲとは一線を画すモンスターだ。


「……あんなの、勝てるのか?」


 巨大なドラゴンは静かに寝息を立てている。

 戦闘態勢でもなんでもない状態なのに、強い魔力を感じて圭たちは冷や汗をかき始めていた。


「幸い、寝ているし一撃で加えてみよう」


 ドラゴンは寝ている。

 今なら最初の一撃は決められる。


「フィーネ、頼めるか?」


 圭たちはやや下がって、見えにくいように傾斜からドラゴンを覗き込む。

 今いるメンバーの中で純粋な攻撃力の高さでいったら、ダンテかフィーネだろう。


 ここは一つフィーネに任せてみる。


「よーし、行くよ!」


「ピッ!」


 最大の威力を狙う。

 波瑠がフィーネを抱えて飛び上がる。


 できるだけ高く静かにドラゴンの真上に移動する。


「よし、いけるか?」


「ピピ!」


 圭がフィーネに向かって手を振る。

 フィーネも大きく頷いて手を振り返す。


「行くよ、フィーネ!」


「ピピ! おまかせ!」


 波瑠が翼を広げてさらに飛び上がる。

 グッと高度を上げ、一気に降下し始めた。


「いけ、フィーネ!」


「おーっ!」


「やーっ!」


 スピードに乗ったところで波瑠がフィーネを放す。

 フィーネは右腕を変化させる。


 ボコボコと腕が肥大して形を変えていき、大きな槍となった。

 先端は渦巻くような形をしていて、一点集中で突破するつもりなことは見て分かった。


「フィーネ、いけー!」


「ピピピーーーー!」


 波瑠によって勢いをつけられたフィーネは、寝ているドラゴンの頭を目掛けて槍を突き出す。


「どうだ?」


 フィーネの槍がドラゴンに当たった。

 鈍い音が響き渡る。


 地面が大きく陥没して、土が舞う。

 まともに受ければ防御することも難しいだろう攻撃全振りの一撃。


 食らえばドラゴンとて無事には済まないだろうと圭は土埃に目を凝らす。


「うわっ!?」


「ピー!」


 沈黙。

 次の瞬間、土埃が吹き飛び、フィーネも空高くぶっ飛んでいった。


「フィーネ!」


 そのままフィーネは山を落ちて行く。


「圭!」


 一方でわずかに残る土埃の向こうでシルエットに見えるドラゴンはゆっくりと立ち上がっていた。


「うっ!」


 ドラゴンが咆哮する。

 残った土埃が消し飛び、全くダメージを受けている様子もないドラゴンが姿を現した。


「大地の力!」


 開けられたドラゴンの口に赤い光が集まる。

 カレンが飛び出して地面をせり上がらせた。


 直後、ドラゴンの口から真っ赤な炎のブレスが放たれた。


「うわっ!?」


 岩の壁に当たったブレスが拡散して、圭たちのことを包み込む。

 直接炎にあたっているわけではないが、熱気だけで燃えてしまいそう。


「無傷……なのか?」


 ブレスが止んで、周りの焦げ臭さが鼻についてくる。

 改めて確認したドラゴンは怒りのこもった目をしていた。


 一方でフィーネが攻撃したはずの頭は無傷に見えた。

 それどころかダメージすら感じさせない。


「とりあえず広がれ!」


 山の斜面では戦えない。

 頂上の平らなところに上がる。


 ただドラゴンの攻撃は範囲が広くて集まっていると危険なので、広がるようにしてドラゴンの攻撃に備える。


「くるぞ!」


 ドラゴンが前足を上げる。

 黒いウロコの下の筋肉がミシミシと動き、一気に風切る轟音を立てて振り下ろされた。


「ガッ!」


「カレン!」


 カレンは盾で前足を受け止めた。

 けれどもカレンはドラゴンの一撃に耐えきれずにあっさりと吹き飛ばされる。


 まるでボールのようにカレンが飛んでいき、いやでもドラゴンの攻撃力の高さを圭たちは思い知る。

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