表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

818/837

ブラックドラゴン戦2

「とりあえず行ってみるしかないか」


 怪しさはあるけれど、ここまで来て引き返すのも時間の無駄になってしまう。

 違和感はリスクである。


 何かがおかしいということは何かが起きている、あるいは何かが起こる可能性があるということだ。

 何かが起こる可能性を避けていては、前に進めないかもしれない。


「逆にまた時間稼ぎ……の可能性もあるねぇ」


「それは否定できませんね」


 村に誰もいないということが何を示しているのか、考えられる可能性が多すぎる。

 やはり行ってみるしかない。


「急に人がいなくなった……という感じだねぇ」


 夜滝は道の真ん中に落ちていたボールを拾い上げる。

 まるで先ほどまで子供が遊んでいたかのよう。


 古代遺跡では入れないようになっている建物も多かったが、村の建物はどれも中までちゃんとしている。

 テーブルに皿が並んでいたり、イスが引かれていたりと生活感を感じる。


 慌てて人がいなくなったというよりは、急に村人が丸々消えてしまったみたいだと圭は思った。


「何があったんだ……?」


 特に試練が進行するわけでもない。

 一通り村を一周して何かないかと探してみたものの、人もモンスターも試練もない。


 ただただ環境が作り込まれた異常な村があるのみだ。


「相手の妨害の可能性が高そうだな」


 カレンは深いため息をつく。

 こんな村があって純粋に何もないはずがない。


 となるとまたしても圭たちに敵対する神々の妨害の可能性が高い。


「何もないならしょうがない。先に進もうか」


 きっとヤタクロウを始めとしたこちら側の神がどうにかしようとはしてくれているはず。

 ただ何かが起こるのを待っているのでは、あまりにも時間の無駄になってしまう。


 圭たちは村のことはスルーして、他の何かを探して移動することにした。

 幸い村から道は続いている。


 道に沿って歩いていけば何かがあるのかもしれないと希望はある。


 ーーーーー


「やっとか……」


「お風呂入りたいけど……期待できなさそうかな」


 道をひたすらに進み続けて三日。

 遠くに町が見えてきた。


 途中で諦めそうになった。

 どこかでループして前に進んでいないのではないかと思ったこともあったが、周りの景色が変化していたのでちゃんと進んでいた。


 今度見えてきた町はだいぶ大きそうだった。

 町の真ん中に大きな城が見えている。


 村よりも何かがありそう、と期待できる。


「けどさ……」


「誰もいない!」


「だよねぇ」


 町の規模としてはかなり大きい。

 なのにまたしても人の姿がない。


 十一階と比較しても同じくらいの規模があるはずだ。

 町の外だって人がいてもおかしくない。


 一応城壁があるので中に人がいる可能性もあるが、城壁周りに人はいる様子がなかった。


「嫌な予感するな」


 ここまでもある意味では順調だった。

 だがそれは裏を返すと、モンスターとの戦闘すらなかったということでもある。


 人はともかく、モンスターすらいないのはやはりおかしいのだ。


「人の気配はなし……」


 城壁前までやってきた。

 遠くから見ていた印象と変わらず人の気配はなかった。


「門が開いててよかったな」


 城壁の門は開いている。

 大きくて重たそうな門は閉じていたら中に入るルートを探さねばならないところであった。


 人の姿はないし、人の声なども聞こえない。

 全く人の気配がなくて不穏さを感じる。


 一抹の不安を抱えながらも町の中に入っていく。


「お休みのテーマパークみたいですね」


 町中も外と変わらない。

 馬にもつながらず放置された馬車、開け放たれたままのドア、お店の前に並ぶ新鮮そうな果物。


 突然町中の人が消え去ってしまったかのようだ。


「どこかいくなら……城かな」


 村の規模ならともかく、この町の規模で全てを捜索し尽くすのは時間がかかってしまう。

 一番何かありそうな城を目指してみる。


「こわぁ……」


 何もないということが逆に恐怖を駆り立てる。

 ずっと一定の警戒を強いられるので精神的にも疲れてきてしまう。


「立派なお城」


「メルシリアのとこよりもでかいかもな」


 遠くからでも見えていた城は近づいてみるとさらにデカく感じる。


「城も入れそうだな」


 城の周りは堀となっているが、はね橋は下りていて、城門は開いている。

 普通に城にも行けそうだった。


「何もないものだのぅ」


 ダンテのポケットにいるルシファーがため息をつく。

 激しい戦いばかりあっても大変そうだけど、何もないのも飽き飽きしてきた。


「な、何だ!?」


 慎重にはね橋を渡ったところで地面が揺れ出した。

 最初は軽く感じる程度の揺れだったのがみるみると揺れが大きくなって立っていることも難しくなる。


「圭君、あれ!」


「城が……」


 全く何の予兆もなく、城の上の方が崩れていく。


「おい、町の方も!」


「何が起きてるんだ!」


 後ろを振り返ると町の光景も一変していた。

 綺麗に立ち並んでいた家が破壊されていた。


 燃えたり崩れたりして、無惨な状態に一瞬で変化してしまったのである。


「揺れが収まっていく……」


 城がさらに崩れて、立てないほどだった揺れが収まる。


「モンスターにでも……襲われたみたいだね」


 揺れる間に町はひどいものになってしまった。

 大きな城は半壊し、町の家々は崩れてしまった。


 人が住んでいそうな町が一転して打ち捨てられた都市となってしまったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ