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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十四章

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良いニュースと悪いニュース

『リンクが不安定です。必要な情報を引き出せません』


『村雨圭

 レベル97

 総合ランクB

 エラー

 エラー

 エラー

 エラー

 エラー

 エラー

 エラー』


「……どうなってんだ…………」


 カイを倒し、散々スケルトンを倒し、リッチまで倒した。

 久々にステータスを確認しようとした圭の前に不思議な表示が現れた。


 リンクが不安定なんていう、何のことかよくも分からないものである。

 そして続いて現れた表示には明らかに異常があった。


 名前やレベル、総合ランクは表示されるものの、それ以外の能力がエラーとなっている。

 時々ノイズが入るように揺れるエラーの文字を見つめていると少し不安な気持ちにもなってしまう。


「ただ……喜ばしいことはあるな」


 実際の能力がどうなっているのかは分からないものの、レベルが上がり総合ランクがBランクになっている。

 つまり、圭の覚醒者等級はA級相当になったということである。


 実際どの能力が伸びたのか分からないのでちょっとどうなのかというところはあるものの、最高峰の能力に近づいたということになる。

 能力伸び具合もこれまで見てきたところからある程度予想もできた。


「だがこの状態はいったい何なんだ?」


 一度表示を消して、また出してみる。


『リンクが不安定です。必要な情報を引き出せません』


『村雨圭

 レベル97

 総合ランクB

 エラー

 エラー

 エラー

 エラー

 エラー

 エラー

 エラー』


 また同じものが現れる。

 相変わらず能力はエラーが並ぶ。


「……まあ分からないものはしょうがないか」


 真実の目という能力を手に入れてからというもの、分からないことは山ほどあった。

 色々悩むことは多かった。


 でも悩んでもその場で分からないことも非常に多い。

 そのままにしても後で分かることも少なくなかったし、何か重要で必要なことならきっとどこかで分かるだろう。


「あとはずっと気になってることがあるんだよな」


 エラーが並ぶステータスを見ながら圭は一人呟く。


「B、あるいはAの上はあるのか?」


 総合ランクBで、覚醒者等級A級になる。

 実際に今A級と言われている覚醒者たちは、圭が見たところ総合ランクBであった。


 覚醒者等級はA級で最高だ。

 それはいいのだけど、総合ランクではB止まりなのである。


 能力値を見た時に、その表記はAまであった。

 総合ランクだけBが最高だと考えるのは無理がある。


 となると総合ランクにももう一つ上のAがあるのかもしれない。

 そして総合ランクがAの場合、覚醒者等級としてはどうなるのか。


「そう言えば前に見た……けどあれはどうなんだ」


 総合ランクAも見たことがある。

 それは以前に悪魔教の黒月会と戦った時に、エルボザールファミリーのマティオの体に悪魔が直接降臨した。


 その時のステータスがオールAの総合ランクAであった。

 ただそれは悪魔が降臨していたからだ。


 マティオの普段の能力ではなくて、覚醒者等級でどうなのかと確かめようもない。

 このままレベルが上がれば総合ランクは上がるのか。


 それも謎なのである。


「というか多分……カイが言ってたのはこれのことなんだよな」


 せめて圭に倒されるな。

 そんなことをカイは言っていた。


 多分だけど、強いカイを倒せば圭たちのレベルが上がってしまう。

 せっかく圭たちを倒すために送り込んだのに、ろくに苦労もせず敵に塩を送る形になるからカイには勝手に死んでほしかったのだろう。


 リッチとカイ、どっちがよりレベルアップに寄与したのか知らないが、どっちも倒したから今のレベルがあるのだろう。

 あるいは、カイを倒してレベルが上がったからリッチとの戦いでも動けたのかもしれない。


「ステータスが見られないのは……俺に敵対する神のせいかもしれないな」


 真実の目から得られる情報は、これまで圭たちのことを助けてくれた。

 他の情報もこれから得られないとなると少し厄介かもしれない。


 だが他の神の妨害のせいでこうなったのだとしたら、圭にできることはない。

 塔のシークレットなど有益な情報が見られなくなっているのかどうかはちょっとまだ不明だが、今あるものを駆使してどうにかしていくしかない。


 とりあえず夜滝など他のみんなのステータスを覗いても、同じくエラーを吐かれた。

 ただみんなレベルが上がっていて、等級にしてA級に到達していた。


 本当なら喜ばしいことだろう。

 しかし塔の難易度ももはやA級ぐらいないと厳しいところまで来ている。


 能力値も見れないし、何だか素直に喜びきれないところもある。


「このエラー……直ってくれるといいんだけどな」


 真実の目は今となっては重要な要素である。

 情報を遮断されるのは大きな痛手だ。


 リッチを隠したり、カイを刺客として送り込んだり、見えないところで色々と妨害してくるなんて卑怯な敵である。

 ともかく圭たちはいつの間にか、一番下の薫も含めて全員がA級覚醒者の集団となっていた。


 実質的には世界で見ても最高峰の集団だろう。

 まだ上があるかもしれない。


 不安と希望が入り混じる感情を抱きつつも、圭たちは十八階に向かう準備を進めるのだった。

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