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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十四章

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リッチを浄化せよ3

「容赦ないねぇ」


 カレンの壁を突き破り、アルトの魔法が夜滝の氷の壁に当たり始めた。

 半透明の氷の向こうにさまざまな色が氷にぶつかって消えていく。


「これはちょっと厳しいね……」


 リッチマジシャンの巨大火球はカレンと夜滝の協力で防ぎ切った。

 アルトが放つ魔法は小さく、一撃一撃の威力も同じく控えめにはなっている。


 ただリッチマジシャンの一撃と比較して控えめというだけで、単体で見ると小さい割に攻撃力は高い。

 そんな魔法が雨のように降り注いでくる。


 夜滝の方も、この調子で魔法をぶつけられると長くは持たないと顔をしかめる。


「油断大敵!」


 防御一辺倒というわけでもない。

 流石に相手の攻撃をただ防御するのは圭たちとしても負担が大きい。


 ちゃんと反撃にも出ていた。

 カレンが壁を出した時から波瑠は飛び出していた。


 アルトにバレないようにと大きく旋回して後ろに回り込んでいたのだ。


「へん、こんなの……はぁっ!?」


 波瑠がアルトの頭を目掛けてナイフを振り下ろす。

 突き刺さすようにして真っ直ぐにアルトに向かっていったナイフは、魔力によって作られたバリアに阻まれる。


 だが波瑠のナイフは神すら切ってしまうナイフである。

 薄いバリアぐらいでは防げない。


 しかし一枚突き破るとすぐに次のバリアにナイフの切先が当たる。

 次の一枚を破ればまた次のバリアが、とナイフの威力が瞬く間に殺されていく。


 10枚ほどのバリアを突き破った。

 ナイフの勢いは完全になくなって、バリアに刃先が少し突き刺さって止まってしまう。


「げっ、ヤバっ!?」


 アルトが振り返って波瑠のことを見た。

 肉の一片も残っていない骨の腕を持ち上げて波瑠に向ける。

 

 危険を感じた波瑠は翼を広げて飛び上がる。

 次の瞬間、大きな爆発が起きた。


「あっぶなーい……」


 空気の振動が飛び上がった波瑠にも伝わってきた。

 巻き込まれていたらバラバラになっていたかもしれないと波瑠は苦い表情を浮かべる。


「波瑠! 気をつけろ!」


 波瑠が気を引いてくれたおかげで、リッチの攻撃が止んだ。

 しかし代わりに魔法が波瑠の方を向く。


「ひゃああああっ!」


 魔法が一斉に波瑠を襲う。

 波瑠は叫びながら空を飛んで魔法をなんとか回避する。


 かわした魔法が爆発して、すごい空中戦が繰り広げられていた。


「チッ……また小細工を!」


 圭たちの目の前に三体のスケルトンが出てきた。

 ところどころ穴が空いた鎧を身につけたスケルトンはただのスケルトンではなさそうだ。


「スケルトンナイト……」


 圭が真実の目で相手の正体を見抜く。

 リッチナイトではなく、スケルトンナイトというのが相手の魔物の正体である。


 リッチを守る役割を与えられた強めのスケルトンのようだ。

 これもエルサントたちの仲間だったのだろうか、と考えると少し悲しい気持ちになる。


 だが攻撃をためらっているような暇はない。


「ちぇりゃああああっ!」


 スケルトンウォリアーの頭を蹴り飛ばし、高く飛び上がったフィーネは大鎌を大きなハンマーに変えた。

 持ち上げたハンマーをスケルトンナイトに向かって思い切り振り下ろす。


 スケルトンナイトは防御しようと剣を持ち上げた。


「どーん!」


 しかし一瞬の拮抗もなく、スケルトンナイトはハンマーに押しつぶされてしまう。

 ズドンと重たい音がして、地面が陥没する。


「いーぞー! フィーネ!」


 フィーネがハンマーを持ち上げるとスケルトンナイトはペシャンコになっていた。


「後ろ!」


「おっと!」


 別のスケルトンナイトがフィーネに切り掛かった。

 シャリンの言葉に反応して、ヒョイとかわす。


「邪魔させないぜ! お兄さん、行ってこい!」


 カレンが残る最後のスケルトンナイトを盾で押しのける。


「分かった!」


 この戦い、リッチを倒せば終わる。

 圭は一人でリッチに向かう。


「圭さん、支援します!」


 薫が圭に向けて強化を集中させる。

 エルサントのものと合わせるとかなり強くなったような気がする。


「はぁっ!」


 圭がくることにリッチが気づいた。

 空に浮かび上がる魔法は波瑠に向けて飛ばし続けながらも、圭の方を見て杖を振り上げる。


 黒い魔力が集まって、トゲトゲとした棘の生えた球状の形を成す。

 高速で飛んでくる黒い球を圭は切り裂き、かわして前に進む。


 体の動きのキレもいい。

 十六階で戦った影の自分の動きで徹底的に学び、自分もこんな動きができるのだと知った。


 倒すためには自分の動きを上回る必要もあり、必死になって技術を吸収した。


『スキル導く者が発動しました。

 闇を払い、守るべきものを守るため眠っていた力が一時的に解放されます』


 そして圭は仲間を守るという意思を強く持つことで、スキルの導く者を意図的に発動できるようにもなっていた。

 導く者の強化も加わった圭は一気に加速する。


 リッチが魔法を次々と放って圭を近づかせまいとするが、圭は魔法を切り捨てる。


「圭君!」


 小さい魔法ではダメだ。

 リッチが少し大きな魔法を発動させる。


 まるで打ち寄せる波のように炎がうねって圭に襲いかかる。

 避けるには規模が大きく、波瑠のように翼でもなければ逃げられない攻撃だった。

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