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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十四章

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リッチを浄化せよ2

「異世界の勇者様は……お強いのですね」


「ちゃりゃりゃりゃ!」


 フィーネが大暴れしているのを見て、エルサントも驚いている。

 というか見えているのかと圭は疑問だったが、周りの様子は分かっているようだ。


「大きな魔法も撃ってこないな」


 リッチマジシャンの時はスケルトンの存在も関係なく魔法を放ってきた。

 しかしリッチは魔法を放つこともなく動かない。


 おそらくリッチマジシャンよりもリッチの方が力は上だろうにどうしてなのかと圭は疑問だった。


「まさか、エルサントたちがいるから……?」


 ここまでシークレットクエストといえば良い物が報酬ということもあったが、その階を楽にクリアでき何かが報酬だったこともある。

 世界の浄化の報酬を圭たちは受け取っていない。


 貴重な武器や何かのアーティファクトなんかが出てきたりはしていないのだ。

 世界の浄化の報酬としてリッチが見つけられるようになったとも考えられるかもしれない。


 だが隠れたのはイレギュラーな出来事で、見つけられるようになったことが報酬というのは少しおかしい感じがある。

 エルサントたちが協力してくる。


 これも報酬といえば報酬かもしれない。

 だがフィーネの力に驚く程度の人たちだと戦力として期待するのは難しい。


「元……仲間……か」


 戦力としてではない効果がある。

 もしかしたら今それが発動している可能性があった。


 リッチが広範囲を攻撃する回避の難しい魔法を使わない。

 エルサントたちを巻き込まないようにするために、リッチが攻撃を抑制しているのだと圭は考えていた。


 シークレットクエストの報酬としては地味。

 だがリッチマジシャンの魔法の破壊力を考えると、実際リッチの邪魔がないのはかなりありがたい。


「リッチナイトが動いたぞ!」


 スケルトンを倒しながらリッチに向かって進んでいく。

 するとリッチナイトの方が動き出した。


「ベリオン……」


 エルサントが小さくつぶやく。

 それがリッチナイトの名前なのだろうことはすぐに分かる。


「まだ名前を覚えている人がいたんだな」


 リッチガードやリッチマジシャンを真実の目で見た鑑定では、もはや名前を覚えている人もいないかのような書き方をしていた。

 だがこうして、まだリッチになる前の名前を覚えていてくれる人たちは確かにいたのだ。


「あいつは俺に任せてもらおうか」


 真っ白な鎧を身につけたリッチがスケルトンの間を駆け抜けてくる。

 ダンテがリッチナイトの前に出て、剣を振り下ろす。


「気をつけてください! ベリオンは聖騎士の中でも指折りの実力者でした!」


 元聖騎士の真っ白なリッチと悪魔と契約して黒い魔力を操る人間の戦いが始まった。


「ハァッ!」


 ダンテが黒い魔力の斬撃を放つ。

 ベリオンが斬撃をかわしてダンテを斬りつける。


「早くいけ!」


 ベリオンの剣を防いだダンテが叫ぶ。

 ダンテの斬撃によってリッチまでの道が開かれている。


「ねえ、私のこと……分かる?」


 エルサントは圭たちとともにリッチの前まで駆け抜けてきていた。

 リッチはただそこに立ち尽くして、エルサントの言葉にも反応を示さない。


「アルト……ごめんなさい……あなたに全てを背負わせて……」


 エルサントの頬に涙が流れる。

 アルトというのがリッチの名前だ。


 かつて心優しい青年だったアルトは世界が巻き込まれたゲームのため、そして愛しい幼馴染のために自らをリッチをとした。


「全てが終わったら止めてほしいと言っていたのに……私たちにその力がなくて……あなたをただのモンスターにしてしまった」


 本当ならリッチになったアルトを倒して全てが終わるはずだった。

 けれども力が及ばず、アルトは理性を失ってただのリッチに堕ちていった。


「今も私たちだけではあなたを止められない……だから助けを借りることにしたの。もう全部終わったの……だから、あとは静かに休んで」


 世界は滅びた。

 アルトが戦う理由はない。


「勇者様、少ないですが私の力をお受け取りください」


 エルサントが杖を振り上げる。

 するとどこからともなく光が降り注いできた。


「薫君の強化支援のようなものか」


 光を浴びた圭は体が軽くなった感じた。

 薫のような人を強化する力がエルサントにはあるのだ。


「よし、いくぞ!」


「どうか……彼を止めてください!」


 圭たちはいまだに動きを見せないアルトに向かっていく。


「魔法が来るぞ!」


 アルトは腕を広げる。

 ただそれだけで空中に火や氷、水や土など様々な属性の槍が生み出された。


「みんな、私の後ろに! 大地の力!」


「私も支援するよぅ」


 カレンがスキルで地面をせり上がらせて壁にする。

 夜滝が壁の後ろに魔法で氷の壁を作り出して、さらに防御を厚くする。


 最初は緩慢だった。

 一本、また一本と魔法の槍が降り注ぎ、カレンが出した壁に突き刺さっていった。


 しかし魔法が降り注ぐ速度はあっという間に加速して、激しい雨のように壁を打ちつける。


「くっ……」


 カレンが苦しそうな顔をする。

 火の槍が爆ぜ、水の槍が叩きつけ、氷の槍が凍らせてと壁の状態は目まぐるしく変わっていく。


「もう持たない……!」


 壁に大きなヒビが走った。

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