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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十三章

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古代の遺物を取り戻せ9

「さっき押し付けてたものが……」


 台座から刃が飛び出してきて、人形を貫く。

 人形の胸が貫かれて、まるで掲げられるようになった人形を怪訝そうな顔で見ていると、手術台の方で何が光り始めた。


 先ほどカファルバトがガラスのケースに入れた人型ゴーレムに最後の行為をするときに使っていた何かが光っているのだ。


「見ろ……周りのゴーレムが!」


 ガラスのケースの中にいるゴーレムの目が赤く光る。

 激しくガラスのケースを叩き出して、ドンドンと地響きのような音が鳴り響く。


「……これはなんだかまずそうだな」


 明らかに異常な雰囲気である。

 危険を感じざるを得ず、一気に緊張感が高まった。


「その魔道具はどうにかできないのか?」


 今ならまだ逃げられそう。

 黒岩の娘が魔道具の中から出てきてくれたらそのまま逃げればいい。


「自動で発動して、自動で解除される。外から解除する方法はない」


 やや顔をしかめたアルファが首を振る。

 魔道具も万能ではないから破壊することは可能かもしれないが、そんなことをすれば黒岩の娘の安全は保証できない。


「このサイズじゃ持っていけないしね……」


 黒岩の娘が閉じ込められている水晶は先ほど通ってきた狭めの通路ギリギリサイズである。

 余裕がない中で持っていけるようなものではない。


 そうしている間にもゴーレムたちはガラスのケースを殴りつけていて、ヒビが入っているものまで出始めた。

 魔道具の解除には脅威の排除が必要となる。


 となれば今の脅威は周りのゴーレムなのかもしれない。


「さっきのゴーレムまで合流しちゃうかもしれないね……」


「不吉なこと言うなよ……」


 波瑠はガラスのケースが並べられた部屋のことを思い出した。

 ここにいるゴーレムとほとんど同じだった。


 ということは同じように動き出している可能性もある。

 だが部屋いっぱいガラスのケースは並んでいて、そのほとんどにゴーレムが入っていた。


 それらが全て動き出したら圭たちも倒し切ることは難しい。


「あ、あれはどうですか? あの光ってるやつ止めたら何とかなりませんか?」


 ゴーレムと光は関係ありそう。

 薫が手術台の方を指差す。


「確かにそうだな。試してみよう!」


 このままゴーレムが出てくるのを見ているわけにはいかない。

 何かできることがあるならやってみるべきである。


「ゴーレムが出てきてぞ」


「ああああああっ!」


 ガラスのケースが割れて、ゴーレムが一体飛び出してきた。


「ふっ! ぐおっ!?」


 先頭を走る圭を守るようにカレンがゴーレムの前に飛び出した。

 くっつけられた腕が壊れるほどの力で殴られたカレンはぶっ飛んでいって、ゴーレムのパーツの山に落ちる。


「……血?」


 腕が壊れたゴーレムの首をダンテが刎ね飛ばす。

 すると切り口から血が噴き出す。


 まるで人間のようだ。


「これは面倒だねぇ」


 ガラスのケースが割れて次々とゴーレムが飛び出してくる。


「圭、私たちが道を作るから行くんだ!」


「分かった!」


 ゾンビのように呻き声を上げるゴーレムは赤く光る目をして襲いくる。

 夜滝たちは圭を先に行かせようと、迫り来るゴーレムと戦う。


 まるでゴーレムのパーツを取ってつけた人間みたいだと、相手を切り裂きながらダンテは思った。


「フィーネが守る!」


 圭の服の中から飛び出してきたフィーネは、大鎌を振り回してゴーレムを切り倒す。


「そっち側は任せて」


 ベータも摩擦力減少を生かしてゴーレムを妨害する。

 圭たちの戦いに邪魔にならない範囲を指定して、ゴーレムを滑らせて来られようにしていた。


「これは……」


 圭は何とか手術台にたどり着いた。

 手術台の横に置かれた箱の中には小さな石が置いてある。


 指でつまめそうなサイズの石は鮮やかな赤色で、ハートに近い形をしていた。


『◽︎◽︎◽︎の心

 ◽︎◽︎◽︎の心。

 無理矢理体と引き剥がされたけれど、心と体は繋がっている。

 ◽︎◽︎◽︎は◽︎◽︎◽︎◽︎◽︎の姫であり、◽︎◽︎◽︎◽︎◽︎に帰ることをまだ夢見ている。

 ◽︎◽︎◽︎には不思議な力があって、相手を◽︎◽︎◽︎にする能力があり、それに目をつけられてしまった。

 カファルバトは◽︎◽︎◽︎の心を古代の遺物と呼び、誰にも触らせることがなかった。

 ◽︎◽︎◽︎の心の影響を受けたものは◽︎◽︎◽︎を守ろうとする』


「これが古代の遺物か」


 圭が真実の目でハートの石を鑑定する。

 おそらくこのハートの石が古代の遺物なのだろうと思った。


「お兄さん!」


「ピー!」


 ハートの石に手を伸ばす圭にゴーレムが飛びかかった。

 カレンが盾で防ぎ、フィーネが横から蹴り飛ばす。


「……ただどうすればいいんだ?」


 圭はハートの石を手に取った。

 しかし手に取ったところで何も変化はなく、ハートの石は光を放ち続けている。


 ゴーレムにも何の変化もない。

 むしろ激しく圭を狙っているような感じすらあった。


「考えろ……」


 これまででも難題は多いが、解決できないようなものを出してくることはなかった。

 どうにかできるはずなのだと圭は考える。

 

 何かヒントになるものはないかと思考を巡らせる。


「心……そして体」


 圭はふと刃に貫かれた人形に目を向けた。

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