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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十三章

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古代の遺物を取り戻せ6

「ふっ! これぐらい!」


 前に出たカレンにタラトスが拳を振り下ろす。

 けれども不安定な体勢からの一撃はしっかりと威力が乗っていない。


 カレンは腰を落とし、拳を受け止めてニヤリと笑う。


「ちょりゃぁー!」


 翼を羽ばたかせ、波瑠がタラトスの関節を狙う。

 素早く一度斬りつけて、素早く離脱する。


 ダンテとアルファもそれに続いて肘に攻撃を叩き込む。


「腕取ったりー!」


 タラトスの肘から先が斬り落とされる。

 こうなれば残るは足一本。


 ほとんど倒したも同然である。


「波瑠、背中切り開けないか?」


「おっけ、やってみる!」


 無力化はしたが、ちゃんと倒さないことには安心できない。

 コアとなる魔石を探すために胴体の中を見てみなきゃいけない。


 ただダンテやアルファの一撃でも浅い傷がついただけの胴体は、切り開くだけでも簡単なことではない。

 ならばと波瑠に任せてみる。


 攻撃の威力や破壊力として、波瑠はダンテやアルファに敵わないだろう。

 しかし波瑠の攻撃には圧倒的な鋭さがある。


 素早さを活かし、神をも切り裂くナイフからもたらされる攻撃はなんでも切り裂いてしまいそうなのだ。

 ダメだったら力尽くで破壊するしかない。


「おりゃああああっ!」


 波瑠はナイフをタラトスの背中に突き立てる。


「おっ!」


「いけそうだな」


 ナイフがタラトスの背中に突き刺さった。

 これから希望がありそうだと圭たちは思った。


「ふに……ににに……」


「どうだ?」


「ちょっと……動かないかな」


 ただそう簡単でもない。

 突き刺したナイフを動かしてさらに背中を切り開こうとするのだけど、刺さったところからナイフが全然動かないのである。


「おいしょ!」


 切り裂けはしないがナイフを引き抜くことはできた。


「こう……穴開けていけば、でっかい穴にできないか?」


「缶切りみたいにギコギコできないかねぇ」


 足一本で動こうとしているタラトスから距離をとって、どうやって背中に穴を開けるか考える。

 流石にナイフの穴から中を覗き込んでコアを探すのは難しい。


「フィーネにお任せ!」


 地道に穴を大きくしていくしかないかもしれないと思っていたら、フィーネが大きく手を上げた。


「どうするんだ?」


「もうちょっと穴を大きくしてくれたらフィーネが入る!」


 フィーネはメイド姿からマルチビゴーレム姿になる。

 確かにこの大きさならさほど穴が大きくなくても中に入れるだろう。


「とりあえずフィーネ作戦でいってみようか」


 他にいい方法も思いつかない。

 波瑠のナイフで穴を広げて、中にフィーネを送り込んでみることにした。


「そもそものトンチキ生物なに?」


 ベータが眉をひそめてフィーネのことを見ている。

 いきなり出てきたりいなくなったりと気になっていた。


 目の前で完全に色々な物質的な質量とか法則を無視して体を変えていて、とうとう我慢できなくなった。


「フィーネはフィーネ」


「そういうことじゃなくて……」


「ベータ、あまりそうしたことに好奇心を出すな」


「アルファだって気になるでしょ? こんなの聞いたこともないよ」


 フィーネの答えにベータは不満そう。

 アルファが睨みつけるようにして釘を刺すけれど、ベータはあまり気にした様子もなくわざとらしく肩をすくめる。


「フィーネは塔のシークレットクエストで仲間になったゴーレムです」


「ゴーレム?」


「ここにいるものとは別物ですよ」


「穴空いたよー!」


 ベータは圭のざっくりとした説明では分からないという顔をしたが、波瑠の方もナイフを何度も刺すようにして穴を広げていた。

 優先は好奇心よりも早く黒岩の娘を助けることなので、疑問は頭の隅に追いやっておくことにした。


 圭もフィーネを肩に乗せて、動いてバランスの悪いタラトスの上に乗っかる。

 どうにかフィーネなら倒れそうなぐらいの穴が空いている。


 軽く覗いてみるが魔石っぽいようなものは見えない。


「フィーネ、頼むぞ」


「お任せ!」


 フィーネはピョーンと飛び降りるとそのままタラトスの中に入っていった。


「うおっ!?」


 タラトスが急にびくんと跳ねた。


「降りるか……」


 このまま上にいては危なそうなので、圭は慌ててタラトスの上から降りた。


「なんか気持ち悪いね」


 フィーネが中で何かしているのだろう。

 タラトスは体をビクビクと動かしていて、なんだか嫌だなと波瑠は目を細めていた。


「難航……してるのか?」


 そのまま待つこと数分。

 タラトスは相変わらず体をビクンビクンとさせていて、どんな状態なのか分からない。


「おっ?」


「動きが止まったな」


 タラトスが体をそり返らせる。

 一際大きくビクンと体を震えさせたと思ったら、急に動かなくなった。


「ピッピピ〜!」


 フィーネが背中の穴から飛び出してきた。

 フィーネと同じ大きさぐらいのそこそこデカめの魔石を持っていて、コアとなると魔石を引き抜いてきたようである。


「じゃじゃん!」


 フィーネはそのままメイド姿になると、魔石を圭に差し出して胸を張る。


「よくやったな、フィーネ!」


「へへん!」


 嬉しそうにニンマリと笑うフィーネの頭を撫でてやる。

 受け取った魔石は宝石のように綺麗にカットでもされているような形をしていた。

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