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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十三章

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古代の遺物を取り戻せ3

「これ以上進むことはないな」


 進んだ人がいなさそうということは分かる。

 ならば進む理由はない。


 円柱形の部屋に戻って一つ隣の部屋を調べてみる。


「戦いの跡はあるねぇ」


 破壊されたゴーレムがそこら中に転がっている。

 他にゴーレムの姿はなく、誰かが戦ったことは一目瞭然であった。


「ゴーレムが補充されないなら死体の山ができれば攻略はできそうだな」


 アルファがつぶやく。

 一度破壊されたゴーレムが元に戻ることはなく、何度も攻略していけばゴーレムが減っていく一方となる。


 後戻りができないという構造上攻略し切るか、全滅かしかない。

 ある程度進んで全滅しても、同じルートを通る次の攻略チームのためにはなるのだ。


 こうして罠の一番奥まで進んでいけば、犠牲は出しながらも攻略はできるだろうという話になるのである。


「このまま私たちが攻略しちゃった方がいいかもね」


 圭たちならばある程度ゴーレムを避けらるし、こうした連続した戦いもせずに先に進められる。

 他の人たちが被害に遭ってしまうことも、圭たちが攻略すれば防げる。


「確かにそうだな。とりあえず今は依頼優先……だな」


 圭たちはさらに部屋を進む。


「……おかしいな」


「おかしい?」


 ダンテが床を見ながら眉をひそめる。


「死体がない」


 戦いの跡とゴーレムの残骸はあるが、覚醒者の死体が転がっていない。

 血の跡のようなものはある。


 もういくつか部屋を進んでいるのに誰も死んでいないというのは不自然である。

 欧州連盟の覚醒者だって何人も死んでいた。


 死体を持っていては戦えない。

 だから攻略中は仕方なく死体を置いていくしかないのだ。


 血の跡が残るほどの怪我を負ったが、みんな生きて先に進んだという可能性はあるけれども、あまり考えにくいだろう。

 薫のような優秀なヒーラーがいれば可能かもしれない。


 だが通常考えて死者無しでここまで進んできたのだとしたら、かなりできる覚醒者たちだったのだろう。


「……あるいは、死体は片付けられたかだな」


「ゴーレムは無視して死体を片付ける?」


「見てみろ。血の跡が伸びている」


 黒っぽくなった血の跡が壁に向かって伸びている。

 何者かに引きずられた跡のようにも見える。


「死体を回収して何に使うんだよ?」


「そんなもの俺に聞かれても知らない」


 死体を回収したかもしれないという可能性を提示しただけである。

 死体を回収してどんなことをするのかなど聞かれてもダンテにも分かるはずがない。


「少し待ってくれ」


 アルファが床に落ちていたカバンを見つけた。

 ゴーレムのものでなければ、以前にここにきた覚醒者のものだろう。


「アメリカの覚醒者の覚醒者証だ」


 荷物を漁ると中から財布が出てきた。

 そこに覚醒者としての身分証が入っていた。


「ターゲットが所属しているギルドのものだ」


 アメリカが発行しているアメリカの覚醒者の身分証で、どこのギルドに所属しているのかも記載されている。

 黒岩の娘が所属するギルドの覚醒者のものであった。


 つまりこのルートを黒岩の娘は進んでいった可能性が高い。

 死体はないのか。


 そんな疑問を抱えつつもさらに次の部屋に進んだ。

 部屋の数としては、途中で諦めることにした欧州連盟よりも先に進んでいる。


「ゴーレムだ!」


 部屋に入ってみるとゴーレムが次の部屋の扉の前に立っていた。

 人よりも一回りぐらい大きく、黒い鎧でも身にまとったような姿をしている。


 警戒しながら圭がゴーレムに近づく。

 ゴーレムの目が赤く光って動き出し、圭はキーを差し出すように前にする。


「〜〜〜〜」


 また何かを言って、ゴーレムは停止した。


「ふぅ……」


 戦うぐらいの余裕はある。

 扉も開けられるので逃げたりすることもできる。


 ただやはり戦うとなると大変だろうし、戦いを避けられるかどうか不安はある。

 ともかくゴーレムはキーのおかげで襲いかかって来ないことが分かった。


「死体はない……な」


 ゴーレムがいる。

 ということはここで覚醒者が全滅しただろうことは予想がつく。


 なのに死体の一つも転がっていない。

 壁や床に血の跡はある。


「アルファ、これ」


 ベータが床に落ちていたものを拾ってアルファに投げ渡す。

 青い水晶のようなカケラで、どこから現れたのか謎である。


「ターゲットを保護する魔道具が生み出すものの一部だな」


 アルファは水晶のかけらを指で挟んでみんなに見せる。


「これと同質のものが体を包み込んで、周りの脅威から保護してくれる」


「じゃあこれがあるってことは……」


「ここで魔道具が発動した可能性が高い」


 波瑠が改めて部屋の中を見回す。

 しかし床に落ちているゴーレムの残骸があるだけで、黒岩の娘どころか死体もない。


「どこにもいないけど……」


「そんなものは見れば分かる」


「まあそうだよねー」


「ただこれがあるということは魔道具は発動したままだということだ」


 魔道具は効果が切れると保護しているものも消えてしまう。

 水晶のカケラのようなものがあるということは、魔道具はまだ発動している最中であるということになる。


 つまり黒岩の娘がまだ生きているという可能性は高いということになるのだ。

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