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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十三章

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何かの研究所2

「横から……やはりあの建物は撃たないようだねぇ」


 攻撃の角度を見るに建物には当たらないようにビームを撃っている。


「人が受けてる間に冷静な分析あんがとさん!」


 カレンは空中に向かうってビームを逸らした。


「さっさと倒すぞ!」


 一体だけなら丸ゴーレムはさして脅威でもない。

 他のゴーレムが寄ってきてしまう前に倒してしまおうと戦い始める。


 できるなら研究所を背に戦いたいが、もう横に回り込まれてしまっているので普通に戦うしかない。

 ビームを受けてまだほんのりと熱を持つ盾を構えたカレンを先頭に、圭たちは散開して丸ゴーレムを取り囲むように動く。


「おおっ!?」


「えっ、なんでぇ!?」


 囲まれた丸ゴーレムは、素早く赤い目を動かして状況を把握する。

 一人ずつ攻撃していては対処が難しいと判断したのか銃口を半分はカレンに、もう半分を圭に向けた。


 チャージする光が見えて、カレンの方はビームが撃たれた。

 けれども圭の方はチャージして撃たれずに、急に狙いを空中の波瑠に向けたのだった。


 まさかの攻撃に波瑠はギリギリで回避していた。


「ムカつく!」


 いきなり狙われた波瑠は、怒りの顔をして丸ゴーレムの背中を切り裂く。


「ピピピピ……ふぬぅ!」


 フィーネが丸ゴーレムの背中に飛び乗って、背中の装甲をひん曲げて中を露出させる。


「魔石だ!」


「任せて」


 気配を消して丸ゴーレムに近づいたベータが、丸ゴーレムの魔石を両手で掴んで引き抜く。


「ふう。今回も怪我人なく倒せたな」


「誰も怪我しなくてよかったです」


 丸ゴーレムも多少面倒な相手だけど今のみんなの敵じゃない。

 

「なーんでこいついきなり私のこと狙ったのかな?」


 波瑠は目を細めて丸ゴーレムの残骸を睨みつける。


「明らかに圭君狙ってたじゃん?」


「それは俺も思うよ」


 銃口は圭のことを狙っていたし、ビームを撃つチャージも終わっていた。


「だからって研究所を背にしていたわけじゃないんだけどな」


 むしろ圭は研究所とは逆の場所にいた。

 丸ゴーレムが射撃を止めるような理由もないし、位置関係的に波瑠の方が遠くて圭から狙いを逸らす理由もない。


「あっちに何かあるのか……?」


 圭は自分がいた場所の後ろを見てみる。

 同じように町が広がっているだけで特におかしなところもない。


 ますます理由が分からなくなる。


「あっ! あれ! おかしくないですか?」


 みんなも同じく町のことを見たが、何もないと思った時だった。

 何かに気づいた薫が町中の方を指差す。


「何がおかしいんだ?」


 圭はそれでも分からずに眉をひそめた。


「あの建物……開いてますよ!」


「あっ! 本当だ!」


 薫が指差す一軒の建物は、周りと同じように二階から三階はありそうな土壁っぽい建物だった。

 ただ他の建物が玄関や窓が木で塞がれているのに対して、薫が指差す建物は玄関が塞がれていない。


 確かに言われてみればおかしい。


「丸ゴーレムがためらったのは……このせいか?」


 塞がれていない建物がある。

 圭たちは慎重に建物に近づいてみる。


 一応罠やゴーレムがいる可能性も警戒していたが、建物中には何かがいるような様子はない。


「ただの部屋っぽく見えるな」


 入り口しか開いていないので中は暗くて様子が見えにくい。

 夜滝が火を飛ばして中を照らしてくれた。


 ただの家のように見える。

 なんの変哲もなく、ゴーレムが攻撃を避けるような理由も見当たらない。


 中には入らずギリギリのところから覗き込む。

 特に家具とかもない。


 床にカーペットが一枚敷いてあるのみだ。


「任せろ」


 カレンが盾を構えたまま中に入っていく。

 何かがあっても即死しなければカレンなら生き残れる。


 入り口から入って部屋の真ん中まで踏み込んだけれど、なんの異常もない。

 怪しいものもないから警戒して何か触れておいたりするようなこともない。


「とりあえず大丈夫そうだな」


 圭たちは部屋の中に入ってみる。

 みんなで入ると狭いのでダンテやベータは外でゴーレムの警戒をする。


「上の階には行けないな」


 階段はあるが、崩れてしまっている。

 無理にいけないこともないが、こうしたものは意味なくいけないようになっていないわけじゃない。


 いく必要がないということなのだ。


「んー、なんもねえな」


 家具もなければ、人が住んでいたような気配すらない。

 奇妙といえば奇妙だが、他の家がどうなっているのか分からない以上は変だとも断定はできない。


 他の家も人の生活感がないような可能性も十分にありうる。


「丸ゴーレムが攻撃を止めたのはたまたまだった?」


「ここも関係ない……?」


 偶然にしては出来過ぎな感じがある。

 だが何もない以上は偶然なのだろうかとみんなが思い始めていた。


「……ここに何かあります」


 部屋の中をゆっくりと歩いていたアルファは目を細めて床を見る。


「何か?」


「カーペットしかないぞ?」


 ここと言われてもアルファが立っている場所は部屋の真ん中にも近く、足元にも天井にも変わったところがない。

 足の下にはカーペットがあるぐらいだった。


「この下に何かが」


 アルファはトントンと足を踏み鳴らす。


「カーペットの下に?」


 圭たちは顔を見合わせた。

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