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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十三章

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古代遺跡1

「時間がない……いつものメンバーで行くしかないな」


 黒岩の娘を助け出すことを引き受けた。

 時間が経てば経つほど救出は難しく、生存確率は低くなっていってしまう。


 できる限り素早く動く必要がある。

 圭たちは比較的身軽なのだが、赤城や黒羽はヴァルキリーギルド、かなみは大海ギルドと大きなギルドを抱えている。


 何日かかるか分からない攻略を、明日すぐに始めるなんてことはできないのである。

 いつものメンバーで行くしかないのである。

 

「情報を得るためにこんなことをせねばならぬとは難儀なものだ」


 ダンテの胸ポケットでルシファーは盛大にため息をつく。

 世界のため、魔界のためにダンテとユファにも協力させているが、面倒ごとに巻き込まれるのはあまり好まない。


 こんな階のシークレットなどめんどくさいに決まっているとルシファーは思っていた。

 ただシャリンがまた癇癪を起こして魔界で暴れたら色々なところが困る。


 中には力が弱くて平和に暮らしている悪魔もいるのに、シャリンが暴れては落ち着いていられないだろう。

 シャリンを連れ戻した当の本人である調停者は、シャリンがよほど暴れない限り動きはしない。


 こちらもまた面倒である。


「あやつの力が強すぎるのもまたいけないのだ……」


 シャリンがもっと弱い悪魔だったら話はもっと簡単だっただろう。

 だが魔王クラスとなると何もかも簡単ではないのだ。


『おおーん! 僕にも任せてぇ!』


 塔の中なのでキューちゃんにも協力してもらう。

 現状考えられる最高のメンバーである。


「よろしくお願いします。私のことはアルファと呼んでください」


「僕はベータ」


 いつものメンバーに加えて、今回はブラックマーケットから派遣された覚醒者も二人同行する。

 アルファがA級覚醒者で、ベータがB級覚醒者である。


 アルファの方は頬に傷のある大柄の男性、ベータの方は左目のところにタトゥーを入れている小柄の男性と対照的である。


「よろしくお願いします」


「村雨様に従うように命令を受けています。何なりと申し付けください」


「あ、はい……」


 なかなかとっつきにくい雰囲気の人だなと圭は思った。


「周辺は片付いていてありがたいな」


 安全を確保するということは、モンスターと戦ったりゲートを攻略する上では大事である。

 そのために古代遺跡の入り口周辺のモンスターは、先に攻略しようとした覚醒者たちによって倒されていた。


「あれ? 誰かいるよ?」


 調査によってかなり大きく回り込めば崖下に行けることが判明したのだが、相当回り込んでいく必要がある。

 なので崖から降りていくルートが近くて早い。


 今ではしっかりと杭を打って縄ばしごを下ろしてある。

 どこが設置したのか知らないけれども、勝手に使うなと怒られることもない。


 降りてみると洞窟の前に人がいる。


「こっちくる」


 こんなところにいるということは覚醒者だろう。

 圭たちに気づいて一人が近づいてくる。


 外国語もいける夜滝とダンテに対応を任せる。


「……なるほどね」


「何だって?」


「彼らは欧州連盟の方から来た覚醒者らしい。攻略は自由だからやめろとは言わないけど、先に来た以上先に攻略を始めさせてもらうとさ」


 ゲートと違って塔は早い者勝ちである。

 十四階のシークレットも先に攻略したものが全てを手に入れられる。


 たまたま攻略のタイミングが被ってしまった。

 だが先に来ていたのだから攻略を止めろという権利はない。


 しかし先に来ていたということを尊重してほしいというのが向こうの要求であった。


「三時間ほど時間が欲しいと」


「まあそれぐらいなら」


 先に入ればそれだけ先に攻略できる可能性が高まる。

 相手は圭たちに少し攻略を待つようにいってきたのだった。


 こうしたところも譲り合いのマナーが必要だ。

 無用な諍いを生むことはない。


「それに都合がいいしな」


「都合いいかな?」


 三時間の足止めは早く助けに行きたい状況の圭たちにとっては意外と長い時間だ。

 都合が悪いんじゃないかと波瑠は首を傾げた。


「俺たちの目的は攻略じゃないからな。あいつらが先に入ってモンスター倒してくれるなら楽に進めるだろ?」


「まあ、たしかに」


 別に古代遺跡を攻略したいわけじゃない。

 黒岩の娘を助け出せればいいのであって、きっとどこか途中にいることだろう。


 欧州連盟の覚醒者たちは圭たちよりも人数が多くて、先に進んでいけそうな気配がある。

 後ろからついていくような形で、黒岩の娘がいるところまで楽にいけるかもしれないのだ。


 相手の印象を損ねれば襲われたりする可能性もある。

 向こうのほうから提案してくれたのだから、押しのけていくよりも従っておいた方が圭たちにも利益があるかもしれない。


「こっちは休憩してから行くことにしよう」


 塔に入ってから十四階までまっすぐに移動してきた。

 特に戦いなんかはなかったが、意外と移動も長いもので少し休むのもいいだろう。


「分かった。じゃあそう伝えるよ」


 夜滝が相手の提案を呑むことを伝えると相手は笑顔を浮かべていた。

 それなりに良い人たちのようである。


「それじゃあ休もうか」


 以前に入った覚醒者たちがやったのか、洞窟前は地面が綺麗に整地されているところもある。

 そこに腰を下ろして圭たちは休憩することにした。


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