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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十三章

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再会の希望

 魔王でもある大悪魔ルシファーは言う。

 シャリンと再び会えるいい方法があると。


 しかしまたシャリンが魔界からこちらにくれば調停者が連れ戻しにくるだろう。

 調停者が連れ戻しに来ないような方法でありながら、車輪も満足する方法があるらしいのだ。


「器が必要だ」


「器?」


 薫の治療もあってすぐに退院できた圭たちはギルドハウスに帰っていた。

 圭は何回入院すればいいのだと、うっすら思っていたりもする。


 病院では面会時間を過ぎていると怒られて聞けなかった、シャリンと再び会う方法を改めて教えてもらうことにした。


「悪魔がこちらに訪れる方法は基本的に一時的な召喚によるものだ。生贄を捧げ、儀式を行う。すると悪魔が現れて代償を受け取ることを約して契約を結ぶ。契約に縛られている間は好きにはできないが、こちらにいられたりする……ということだ」


「シャリンは……」


「あれはイレギュラーだ。本来通ってはならないものを通ってこちらに来たのだからな。だから連れ戻された」


 シャリンは圭にひっついてゲヘナの門を通り抜けた。

 現世と繋がる門を通るのはある種正当な方法かもしれないが、ルールとしては逸脱しているのである。


 本来ならば悪魔が飽きて自ら戻るか、討伐されるかであるが、調停者はイレギュラーな方法を使ったシャリンを許さなかった。


「じゃあどうやってシャリンとまた会えば……」


「生贄を捧げて儀式しろっていうのかな?」


「それもまたいいが、シャリンほどの存在を呼び出そうと思えば町や国単位を生贄にする必要があるだろうな」


「げっ……それは……まずいかな」


 そもそもシャリンのためとはいっても罪のない人を犠牲にはできない。

 加えてシャリンは魔王クラスの力がある。


 シャリンを悪魔として呼び出そうと思ったら、必要な生贄はとんでもないものになってしまう。


「他に呼び出す方法があるんですか?」


「スマホで連絡するわけにもいかねえしな」


「ふふ、答えは目の前にあるだろう?」


「目の前に?」


 そう言われても目の前にあるのは、テーブルの上でプリンを食べるルシファーだけである。

 教えてやるからプリンを捧げよというのでコンビニで各種取り揃えてきた。


「……プリンを捧げる?」


「大違いじゃ、痴れ者め」


 波瑠の大胆予想にルシファーは呆れ顔をする。


「人形に……なる、宿るというところかねぇ?」


「うむ、当たりだ」


「そうか!」


 今ルシファーは目の前にいる。

 ルシファーはいるのだけど、ルシファーほんたいがいるわけではない。


 よくできた精巧な人形にルシファーが宿っているのだ。

 本体は魔界にいる。


「シャリンも同じように人形としてこっちに来られるということだな?」


「その通り。まあ戦えはせんが……一緒にいたいというのなら可能だろう」


 シャリンがまたこちらの世界に来ることは難しいだろう。

 しかしルシファーのように人形に乗り移って圭たちと一緒にいることはできる。


「ピピ……それでもいい。また会いたい」


「フィーネ……」


 フィーネは確保するように未開封のプッチンするプリンの上に乗っていた。

 丸い姿だと感情は分かりにくいが、シャリンにまた会いたいという思いは人一倍強いだろう。


「それで、何を用意したらいい? 器ってやつは人形を用意すればいいのか?」


「要するにそうだが……簡単なことではないぞ」


「……何でだ?」


「この人形も実は特別製なのだ。シャリンも私と同じく力が強いので器は頑丈なものが必要になるだろうな」


 そこらへんの人形持ってきてシャリンを呼び出せるかというと不可能である。

 一瞬で人形が爆散してしまうことだろう。


 悪魔の力にある程度耐えられる人形が必要なのである。


「そんなもの……どうやって用意すれば……」


「ふむ、今なら物を作れる覚醒者がいるから探せばよいのではないか?」


「ルシファーの時は?」


「これは元々呪いの人形だったものだ。強いエネルギーを秘めていてな。たまたま呼び出されることがあったから私の依代とさせてもらったのだ。長年宿るうちに姿も私に近いものに変化した」


「……ちょっと参考にはならない、かな?」


 今時呪いの人形なんてものも聞かない。


「人形作ってる覚醒者がいないか探してみるか」


「あとは呼び出して人形に定着させることが必要だが……それはシャリンと繋がりのあるお主がいれば大丈夫だろう。ともあれ器となる物を見つけねばならないからな」


 器が必要ではあるものの、シャリンと再び会える希望が見えた。


「ピピ! 検索する!」


 フィーネは早速そんな人形を作れる人がいないか探すために人型になりつつパソコンの方に走っていく。

 ただし、手には確保してあったプッチンするプリンを持っている。


「ふっふっふ、周りに愛される悪魔か。面白いものだ」


「ルシファーだってこうやって教えてくれたじゃないか?」


「そりゃあ魔界で暴れられたら困るからな。それにプリンの代償分ぐらいは働かねばな」


 ルシファーはニヤリと笑う。

 打算的な側面はあるのかもしれない。


 しかしなんだかんだと協力してくれるルシファーも良い悪魔だなと圭は思ったのだった。

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