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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十三章

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再び三つ巴の戦い3

「‘くそっ……あいつらは何やってる……’」


 壁に叩きつけられたオルボットだったが、まだ倒れてはいなかった。

 本来オルボットの役割は一撃必殺の攻撃による暗殺のようなものか、少人数を相手にするものである。


 ただどうしたって多人数を相手にしたりする場合もある。

 そんな時のためにオルボットにチームがついている。


 オルボットを守ったり、弾を込めるまでの時間を稼ぐ覚醒者がいるのだ。


「外も上手くやってくれてるみたいだな」


 もちろんそんなチームの存在も圭たちは分かっている。

 オルボットをできる限り弱体化させるためには、オルボットとチームを分断する必要がある。


 最初にカレンが出した壁は単純にオルボットから身を隠すためだけの目的ではなかった。

 オルボットを分断する意味もあったのだ。


 今頃オルボットのチームはカルキアンたちと戦っていることだろう。

 もしかしたらもう全滅していることだってありうる。


「‘こうなったら……’」


 圭たちはオルボットに対して完全に対策をとってきている。

 いつもなら助けを待つところだが、この状況で助けは期待できない。


「‘逃げるしかないな!’」


 オルボットは地面に銃を向けた。


「大地の力!」


 次の瞬間連続発射された銃弾が地面を吹き飛ばして激しく土埃が舞う。

 散弾のようにバラけた銃弾は土埃の中に混ざり込んで魔力による感知を乱して困難にさせる。


 時には攻撃にも使うことがあるが、逃げるための技としてオルボットが使う切り札であった。

 生き残ることが一番であり、たとえ何と言われようと早めに状況を判断して逃げるのがオルボットという人であった。


「‘へっ! 姐さんには悪いが先に……でっ!’」


 逃げる方向は事前に確認していた。

 一目散に走り出したオルボットは壁にぶち当たって後ろに転ぶ。


「二回も同じ手を食うかよ!」


 オルボットの逃げ技は前回の戦いで見ている。

 何ならその技だって情報としても得ている。


「‘チッ! 対策講じてきやがったな! なら……’」


 オルボットは上を見る。

 壁があるようだが上は明るい。


 つまり周りに壁を出しているだけで、上まで全ては囲まれてはいないということだ。


「‘飛んで逃げるまでよ!’」


 オルボットは土煙の中、再び銃を真下に向けた。

 飛びあがり、同時に引き金を引く。


 すると発砲の勢いがギュンと高く舞い上がっていく。


「‘どうだ。これなら……’」


「ザンネーン!」


「‘ぐあっ!’」


 オルボットの肩に波瑠がナイフを突き立てた。

 熱くも感じられるような痛みを感じてオルボットはそのまま墜落する。


「これが脱出マジックのネタバラシか」


 単に粉塵を巻き起こして逃げるだけなら対策も難しくない。

 同じように壁を作って逃走を阻止しようと試したこともある。


 しかしそれでもオルボットは逃げおおせている。

 普通に銃で撃って壁に穴を開けることもあれば、忽然と消えてしまったこともあると聞いていた。


 そんなんだから逃げ技は脱出マジックなんて呼ばれていたのである。

 知ってしまえばなんてことはなく、空を飛んでいた。


 ただオルボットの能力や見た目で空を飛ぶなんて普通は想像しない。

 圭たちも空を飛ぶ波瑠がいなきゃ、空を飛ぶかもしれないなんて考えいなかっただろう。


「‘ぐぎゃっ!’」


 かなりの高さから何の対策もなく落ちた。

 地面に落下したオルボットには、打ちつけた肩が折れる音が聞こえていた。


「‘こりゃ……まずいな’」


 よりによって銃を持つ右肩をやってしまった。

 左肩にはナイフを刺されたし、もはや戦うことは絶望的な状況だ。


「‘こんな……ところで……捕まるだと?’」


「逃げないように囲め! ただし銃撃には注意するんだ!」


 圭たちは慎重に慎重を重ねて、しっかりとオルボットが逃げないように囲い込む。


「‘……捕まってたまるかよ’」


「何モゾモゾしてやがんだ!」


 カレンが、丸くなるようにして何かをしているオルボットの肩に手をかけて起き上がらせる。


「‘マフィア、舐めんよ、クソジャップ’」


「なっ……」


 オルボットは銃口を歯で咥えていた。


「‘強かったぜ、アバヨ’」


 オルボットは震える手で何とか引き金を引いた。

 捕まるぐらいなら死を選ぶ。


 オルボットの最後の抵抗。

 矜持であった。


「何てやろーだ…………」


 流石に頭が吹き飛んでは治療もできない。

 カレンが手を放すとオルボットはそのまま後ろに倒れていく。


「とりあえず、オルボットは倒した。まだ戦い続いてる」


 少し後味の悪い終わりではある。

 しかしまだまだ拝金教とエルボザールファミリーとの戦いは続いている。


 圭の言葉にみんなも頷き返す。


「怪我人はいないな?」


 ひとまずみんなの状態を確認する。

 盾でオルボットの銃を防いだカレンや銃弾を受け止めたシャリンに万が一がないか確かめておく。


「こちらリーダビリティギルド、聞こえますか?」


「こちら作戦本部です。どうしましたか?」


「オルボット・エルボザールを倒しました。最後の抵抗で生きたまま捕獲はできませんでしたが、確実に戦闘不能です」


 圭は無線を使ってオルボットを倒したことを報告する。

 出来るなら生きたまま捕まえて情報などを聞き出したかったが、状況によっては倒してしまうことも仕方ない。

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