表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

752/837

なんか漏れてるかもしれない3

「ちょっとだけ……様子見に行ってみようか」


 あまり古代遺跡近くをうろつくのはよくない。

 だけどモンスターが出てきてしまっているという状況は気になる。


 遠くから少し様子を窺うぐらいなら相手に誤解を与えることもない。

 モンスターを見つけて倒すのも早くて、時間的にはまだ余裕があるから見に行ってみることにした。


『ぼっくが圭を運ぶんだぁ〜』


 古代遺跡がある崖に向かう。

 いまだにどこからどう回り込めば崖下に行けるのか分からない。


 とりあえず崖上から様子を見ればなんとなく状況も分かるかもしれない。

 圭はキューちゃんの背に揺られている。


 別に圭が乗せてくれと言ったわけではなく、キューちゃんの方から乗って乗ってとせがまれたのだ。

 ふぅと小さくため息をついた。


 それは考えることも多いし、これから先にやるべきことも多いなと思って漏れたものだった。

 けれども、そのため息がキューちゃんに見つかってしまった。


‘疲れてるんでしょ? じゃあ僕に乗ってよ! ねね! ねぇねぇ!’


 と鼻をくっつけるようにして、フンスフンスする鼻息で飛んでしまいそうなぐらいな勢いで言われれば断れなかった。

 フカフカとしたキューちゃんの背中は心地が良い。


 毛をコントロールして乗っている人を支えるという方法を覚えたので安定性も大きく向上し、またがっているとほんのりと温かい。

 のっしのっしとした振動も落ち着いて歩いていると意外と悪くない。


「昔、犬を飼いたいって言ったこともあったな……」


 圭はキューちゃんの背中を撫でる。

 小さい頃に犬が欲しいとわがままを言ったことがある。


 前に住んでいた古いアパートはペット厳禁だし、お金もなかったのでその願いが叶うことはなかった。

 今は特にペットが欲しいとか思うことはない。


 もしかしたらそばにいてくれる家族が欲しいとかそんな思いだったのかもしれない。

 あるいは、今はフィーネがいたりシャリンがいたりと、ペットではないけど賑やかになったからそんなことも思わないのかもしれなかった。


「あれなんだろ?」


 進んでいくと崖が見えてきた。

 崖のところに何かがある。


「崖から降りてるのか」


 崖には杭が打ち込まれていて、ロープが何本か垂らされている。

 どうやら攻略することになったギルドも崖から降りるという選択をしたようだ。


 見た感じでは回り込んで下まで降りるのはなかなか遠回しになりそうなので、この方が効率いいのかもしれない。


「おい、見てみろよ!」


 崖の下を覗き込んだカレンが険しい表情を浮かべている。

 何事かと圭たちも下を覗き込む。


「あれは……」


 崖下にいたのは覚醒者ではなかった。

 古代遺跡から出てきたと思われるゴーレムが数体、崖下をうろついていた。


「あそこ……キャンプみたいなのがあるな」


 崖の真下にある洞窟の入り口は崖の上からでは見えない。

 しかし洞窟の入り口前に明らかに人が設置したようなキャンプの跡がある。


 ゴーレムによって破壊されてしまっているが、おそらく攻略隊のものだろう。


「……何があったんだろうな?」


 ただ見える範囲に死体なんかはない。


「おっと!」


 ふとゴーレムが崖上を向いて、圭たちはとっさに隠れる。

 ゴーレムが崖を登って襲いかかってくるかは知らないが、不要な戦いは避けるべきである。


「……ともかく、古代遺跡から来たのは間違いなさそうだな」


 崖下にゴーレムが何体もいるということは偶然ではないだろう。


「撤退!」


「まあ、それがいいよな」


 何があったのかは結局謎である。

 ただ無闇に戦う理由もない。


 リスクを負って戦うより、外に出て攻略しているギルドに聞いた方が早そうだ。

 何はともあれ十四階は攻略したのだから圭たちは塔を脱出することにしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ