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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十三章

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金と暴力6

「オルボット・エルボザール……ボスであるステイアン・エルボザールの弟で、エルボザールファミリーの四番手。ファストドローガンマンなんて呼ばれていますね」


 念のためと入院させられた伊丹はベッドの上でも仕事をしている。

 襲撃してきたオルボットは結局見つけられずに逃げてしまった。


 ただ圭が名前を確認したし、銃を使うという特徴的な覚醒者は多くない。

 圭の鑑定がなくてもオルボットで間違いないだろうと断定できるレベルであった。


「今の時代には珍しく銃を使う覚醒者で、弾丸は全て魔力で作られたものです。銃火器の一撃必殺の破壊力で殺し屋として活動していた時期もありました」


「単純にエルボザールファミリーが来てるってだけじゃなくて、結構な大物がきてるってことか?」


「そうですね。オルボットは単独で動く人ではなく、組織の命令で動く人ですから。こうなるともっと上の人も来ているかもしれません」


「四番手ってことは……後三人?」


「ボスであるステイアン、それに以前逮捕したマティオ、それにステイアンの姉であるエルーガ。この三人がエルボザールファミリーのトップスリーとなります」


「マティオ……あいつは何番手なんだ?」


「彼は二番手……と言われていますね」


「あれで二番?」


 カレンは前にマティオと戦った時のことを思い出す。

 まだ弱かった時のことで、かなり圧倒的な印象が強くて記憶の補正的な側面があることは否めない。


 しかしそんなところを抜きにしてもマティオは強かった。

 最終的に悪魔が憑依していたので、どこまでマティオの実力なのかも分かりにくいが、あれより上がいるのかと眉をひそめてしまう。


「ボスのステイアンって人が一番強いの?」


「いいえ、一番強いのはエルーガですね。一部ではクイーンなんて呼ばれています。組織の運営能力と強さ上の能力でステイアンがボスになっているのです」


 強ければトップになれるというほど簡単な話でもない。

 実質的にステイアンは三番目の実力であるが、組織のトップとしての能力は上二人よりも高いのだ。


「薫!」


 病室のドアがスパーンと開いてかなみが入ってきた。

 薫と呼ばれて伊丹じゃない方の薫がちょっとだけピクッと反応した。


「かなみ」


「病院に運ばれたって聞いたから心配したじゃない!」


 早めの治療を受けて傷すら残らなかったが、一応経過観察として入院しているに過ぎない。

 ただそれでも病院に運ばれたと聞けば不安である。


 かなみが伊丹のことをギュッと抱きしめる。


「んー! 無事でよかった!」


「……あなたのウェディングドレス姿見るまでは死にませんよ」


 エルボザールファミリーに撃たれたせいか、ややイラついたような表情だった伊丹もかなみに抱きしめられて柔らかい顔になる。


「そんなこと言うなら自分が着るまで、にしてよ」


「今のところ着させてくれそうな当てはありませんからね」


「なら二人で着ちゃう?」


「あなたにはいくらでも相手がいるでしょう?」


「いるかもしれないけど着させてもらうなんて受け身じゃなくてもいいでしょ?」


 かなみは伊丹にウィンクする。

 いい友人関係である。


「圭君!」


「俺?」


「ちゃんと薫のこと守ってくれなきゃ!」


 かなみがズイッと圭に詰め寄る。


「あ、悪かった……」


 圭もかなみの勢いに謝ってしまう。


「かなみ、別に村雨さんのせいじゃないですよ」


 流石に撃たれた責任を圭に押し付けるのは無理がある。

 あの状況で回避、防御は難しい。


 仮にオルボットだと知っていても、目の前で能力を見たらかなり対処の難しいものであった。

 むしろよくやってくれた方である。


「俺も一応撃たれたんだぜ?」


「圭君は撃たれても死なないでしょ?」


「そんなことないけど」


 確かに今回は骨にヒビが入るだけで済んだ。

 だが別に撃たれないわけでも、撃たれて死なないわけでもない。


「それで! 薫を傷つけた悪い奴は?」


「悪魔教です」


「悪魔教? あのマティオってやつ?」


「違いますけど……近いですね」


 マティオではないが、マティオが所属するエルボザールファミリーの人ではある。


「そんな危ない奴ら早く潰してやらなきゃ!」


「そうですね。私としてもとっとと潰してしまいたいのですが、なかなか尻尾を掴ませません。ただ今回大きな収穫がありました」


 エルボザールファミリーを二人、生きたまま捕えることができた。

 さらにエルボザールファミリーが処理しようとしていた死体も回収することができたのである。


「どうやら欧州連盟で拝金教が摘発され、資金隠しとして一部を日本に持ち込んだらしいのです。それを嗅ぎつけたエルボザールファミリーが拝金教を潰してお金を奪い取ろうとしている……なんで背景が見えてきました」


 まだまだ全容は見えていない。

 しかしエルボザールファミリーが何を狙っているのかは見えてきた。


「結局金か」


「相手の組織を叩き潰して、金まで奪えば致命的ですからね」


「悪魔教を叩き潰すなら私も協力するわよ」


「かなみがいてくれると心強いですね。こちらとしても調査を進めて、反撃の準備を整えていきたいところです」


 エルボザールファミリーは怖い人たちを怒らせた。

 これからどうなるのかは知らないが、覚醒者協会の方も確実にエルボザールファミリーを追いかけているのであった。

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