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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十三章

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金と暴力2

「発見を遅らせるためかと思います」


 実際、攻略権には期限がある。

 予想されるブレイクまでの期間内に攻略してもらうことが理想で、万が一のことも考えて攻略権の期限は短めに区切られて設定されている。


 ゲートが攻略されれば、それで終わり。

 覚醒者協会はなんの文句もないだろうが、勝手に攻略された覚醒者は不満を持つ。


 仮に攻略する予定だった覚醒者を消したとしたら、ゲートが攻略されたはずなのに行方不明になると謎が残る。

 一方で攻略しなければ、基本的には期限いっぱいまで覚醒者協会はアクションを起こさない。


 期限を迎えてもゲートが攻略されなきゃ調査も入るが、覚醒者に連絡がつかなくても不審なことがなければ攻略に失敗したのだとみなされるだろう。

 つまりゲートを攻略しなければ、バレない可能性すらあるのだ。


「なるほどな……」


「ただ今回はあまりにもゲート放置、失踪が多いです。発覚は遅らせようとしつつもバレてもいいと思いながら動いている可能性が大きいです」


 これは厄介な問題だと伊丹は思った。

 バレないように慎重に動かれることだって当然面倒だが、ある程度バレることを考慮に入れて派手に動き回られると、それはそれであちこち手が回らない。


「そもそも覚醒者協会は人手不足すぎるのです……」


 伊丹は不満を漏らす。

 治安維持において覚醒者協会は重要な役割を果たしているが、万年人不足である。


 それも当然の話で、公務員的な立場になる覚醒者協会はお金の面でも自由度の面でも普通に覚醒者として活動するのに及ばない。

 確実なお堅い仕事ではあるものの、覚醒者としての動員されることもないわけじゃない。


 リスクを背負うなら自由な覚醒者としてお金を稼ぐ方がいいと考える人が多いのはしょうがない話である。

 強い覚醒者ほどお金を稼げるのだから、強い覚醒者ほど覚醒者協会の条件との折り合いがつかないのである。


 そんなんだから覚醒者協会の対応は大体遅い。


「大変そうだね……」


 珍しく険しい顔をする伊丹に波瑠も苦笑いを浮かべる。


「そろそろゲートに入りましょう。処理しなければならない仕事も多いのです」


 お昼も食べ終わった。

 回るゲートは他にもあるので伊丹はそそくさと準備し始める。


「……俺たちで少し楽にしてやろうぜ」


 伊丹の苦労は計り知れない。

 今は圭たちが手伝っているのでなるべく早く仕事して伊丹の負担を減らしてあげようと思った。


 圭たちも準備を整えてゲートの中に入る。


「まあ難しくないしさっさと終わらせよう」


 圭たちが入ってきたのはE級ゲート。

 出てくるモンスターはウルフという、言ってしまえばオオカミのようなモンスターである。


 特殊な能力もなく、ちゃんと戦えれば難しい相手でもない。

 このゲートも攻略予定だった覚醒者と連絡が取れなくなっている。


 低い等級のゲートに入る覚醒者が欲張ると事故が起きやすいことは確かなので、事件なのか事故なのかはまだ判然していない。

 だがやや長めに放置されているゲートなので、攻略してしまう必要があった。


『わははっー! やってやるぅー!』


「……改めて見てもすごいですね。私も欲しいです」


 キューちゃんが暴れ回る。

 ウルフとはざっくりした見た目は似ているが、フェンリルたるキューちゃんと下級モンスターのウルフではパワーが違いすぎる。


 塔の中限定で呼び出せるみたいに説明はされたけど、真実の目で見た説明ではゲートでも呼び出せそうな感じに書いてあった。

 だから試しに呼び出してみたら、ちゃんとゲート中でもキューちゃんを呼び出すことができた。


 ウルフはキューちゃんを目の前にしてすっかり怯えてしまい、キューちゃんにやられていっている。

 圭たちも手を出すまでもないほどだ。


『カブっ! ビューン!』


 キューちゃんがウルフの首に噛みつき、高く放り投げる。

 ウルフは空中でバタバタとするも、何もできずに落下して地面に叩きつけられる。


「いいぞー、キューちゃーん!」


「頑張ってください!」


 波瑠と薫がキューちゃんを応援する。

 ガルーといい、キューちゃんといい圭には強力な手札も多い。


 協力も惜しまないし、本当にありがたいなと思いながら伊丹は送られてきた色々な書類をタブレットで確認していた。


「今日中にここまで処理が終われば楽になりますね……そろそろ回収業者も呼んでおきましょうか」


 倒したモンスターもただ無駄にはしない。

 ちゃんと回収してお金にし、圭たちに還元する。


 タダでやらせればいつか関係に無理が来てしまうので、お金関係はちゃんとしておく。


「私は外に出て回収業者に……あれは?」


「伊丹さんどうかしましたか?」


「人が来ます」


「人?」


 ゲートの外に出ようと振り返った伊丹は、自分たちの方に向かってくる人の姿を見た。

 圭たちも振り返ると確かにそこには数人の男たちがいる。


 どうにも日本人ではなさそうで、みんな武器を手にしている。


「こりゃ……トラブルの予感だな」


「圭君、チェック!」


「そうだな」


 連絡が取れなくなっているはずの覚醒者たちが来たという可能性も否定はできない。

 しかし、ゲートを攻略する予定の覚醒者たちは全員日本人のはずであった。


 明らかにおかしい。

 ならばと圭が真実の目を発動させる。

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