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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十三章

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抗争勃発4

「行きますよ!」


「ぐぅ……」


 薫がヒールをかけた瞬間、スーツの男から呻き声が漏れる。

 スーツの男の変化を感じ取ったイビルアイビーが養分を一気に吸い取り始めた。


 ヒールというのも万能ではない。

 いわゆるゲームなどのように回復をイメージすると単純に怪我が治り、体力が回復するように思えるが、実際は少し違う。


 ゼロから何かが生まれないように怪我の治療には体力を消耗するのである。

 怪我を埋めるために使われるのは怪我した本人の体の細胞だ。


 魔法での治療はその補助に過ぎない。

 大きな怪我ほど体力を使い、もし仮に治療に必要な体力が今残っている体力を上回れば死んでしまうことになる。


 養分をとして吸われれば死んでしまうほどの瀕死の状態で、持ち堪えられるか分からない。

 どうか治療に必要な体力が残っているようにと願う。


「"本体を傷つけなければいいのだな!"」


 イビルアイビーに一気に接近したエーランドが魔力を込めた爪を振るう。

 一瞬で何度も振られた爪にイビルアイビーは容易く切り裂かれた。


「今だ!」


 ワイルドに見えて巧みな力加減で、スーツの男の体がずるりと出てきた。

 一番速度のある波瑠がエーランドの傍から手を伸ばして、スーツの男を掴んで引っ張り出す。


「よいしょ!」


 波瑠が引きずるスーツの男をカレンも手伝ってツタの届かないところまで運ぶ。

 他に囚われている人たちも多少乱雑ではあるが引きずり出して助けていく。


「……やはり全滅は人為的なものですね」


 こうして全ての死体を何とか回収することができた。

 どうして覚醒者チームが全滅したのか、死体を回収して見えてきた。


 死体にはいくつかの傷がある。

 イビルアイビーがつけたと思われるものもあったが、どう見ても鋭い刃物による傷も見られた。


 切り傷はおそらくイビルアイビーによるものではない。

 殺されて放置されたのだろうと伊丹は考えていた。


「ダメでしたね……」


 スーツの男は持ち堪えられなかった。

 治療に耐えられるだけの体力が残っていなかったのだ。


「仕方ないさ。薫君のせいじゃない」


「……ありがとうございます」


 圭が薫の肩に手を置いて慰める。


「……これは」


 死体の服はイビルアイビーのせいでボロボロに溶けてしまっている。

 覚醒者の装備は無事だが、ただのスーツは耐えられなかったようである。


「刺青……真面目そうな会社員に見えるのにね」


 スーツの男の胸のところに何かの紋章のような刺青が入っていた。

 一見ただの会社員に見えるのに刺青が入っているのは少し意外だった。


「これが何なのか知ってるんですか?」


「……ええ」


 伊丹は刺青を見て顔をしかめていた。

 圭が聞くと伊丹はため息混じりに頷いた。


「ギャング、マフィア……あるいは日本風にいうならヤクザ。この刺青は拝金教の生き残りでしょうね」


 改めて深いため息をつく。

 伊丹も最近ため息ばかりついている気がすると自身で思う。


「こうしたやり方もヤクザやマフィアっぽい……もしかしたらどこかで争いが起きているのかもしれませんね」


「また問題発生か……面倒なことばかり起こるな」


 イビルアイビーは圭たちが倒し、ゲートはそのまま消滅した。

 覚醒者たちはゲートにおける事故で亡くなったとされ、遺族のところへ遺体は返された。


 何が起きているのか気になるところではある。

 しかし圭たちにできることはない。


 何事もなければいいのに。

 ただそう願うのみであった。

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