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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十三章

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抗争勃発3

「死ぬ可能性があるから死んでしまう前に俺に見てくれってことですね」


「でもどうして? 別に圭君に見てもらう必要なんて無さそうだけど」


 スーツ姿という変な人ではあるものの、顔は分かるし調べられはしそうだ。

 悪魔教だと疑って圭に見てもらう理由はまだ見当たらなかった。


「このスーツの方々……覚醒者として登録がなく、一般人なのです」


「……だから?」


「一般人が魔物に取り込まれてもまだ生きていると思いますか?」


「……確かにそうだな」


 単なる一般人が魔物に取り込まれたとして長時間耐えることなんてあり得ない。

 他のスーツの人は死んでいるのに、一人生きているということはそれなりに耐久力のある覚醒者である可能性が高い。


 だがスーツの男は覚醒者として登録されていなかった。

 自分が覚醒したと知らない人も稀にいるが、ほとんどの人は自分が覚醒したことは自覚している。


 覚醒者として自覚があるのに登録していない人は違法覚醒者と呼ばれる。

 特別な事情でもない限り、覚醒したことを隠すのは違法なのだ。


 ではなぜスーツの男は覚醒者であることを隠していたのか。

 登録をしたとしても覚醒者として活動しない選択肢もある。


 隠したい事情があったとしか思えない。

 多くの場合で覚醒者であることを隠す人は犯罪に加担している。


 不可解な覚醒者チームの全滅、不自然なスーツ姿の男たち、違法覚醒者。

 これらを合わせると何かの事件があったと推測することができる。


「手前に椅子がありましたね?」


「ああ……そういえば」


「目立ちにくかったですが、椅子の周辺は血だらけだったのです」


「それってまさか……」


「おそらく椅子に誰かを拘束して拷問でもしたのでしょう」


 推測に過ぎないが、否定するのにも見逃すことができない要素が多すぎる。


「そんなことをする可能性がある人や組織は日本でそんなに多くありません」


 人を拷問してゲートの中のモンスターで処理するなんて、あまり日本では聞かない話である。

 こんなことをする可能性として過激な悪魔教もあげられたのだ。


「覚醒者チームもモンスターに負けたのではなく、誰かにやられた可能性があります。村雨さんの確認後、死体を回収して解剖調査が行われる予定です」


「なかなか気分が悪くなる話ですね」


「ゲートの中での出来事なので特定は難しいかもしれませんが、少しでも情報が必要なのです」


 もし仮にスーツの男が悪魔教ならば捜査すべき範囲はだいぶ絞られる。


「とりあえず見てみます」


 そういう事情なら喜んで協力する。

 圭はスーツの男に目を向けて真実の目を発動させる。


『小山内貴哉

 レベル213[155]

 総合ランクC[D]

 筋力B[C](英雄)

 体力B[D](一般)

 速度C[D](無才)

 魔力B[C](一般)

 幸運E(無才)

 スキル:鬼人化

 才能:無し』


「……悪魔教の人間です」


 真実の目で見てみるとステータスが表示された。

 つまり覚醒者である。


 加えてステータスには二つの能力値とレベルが見えている。

 つまり悪魔から力を受け取った人であるということだ。


「名前は小山内貴哉オサナイタカヤ。能力としてはB級ぐらいの強さがありますね」


「……確認ありがとうございます」


 悪魔教だという圭の言葉に伊丹は顔をしかめる。


「B級相当……となると話も少し厄介になってきますね」


 続けて深いため息をつく。

 B級覚醒者ならかなり強い方である。


 悪魔教の中でも最下層の下っぱというわけにはいかない。

 幹部クラスでもおかしくない。


 加えてB級覚醒者がD級でやられるはずがない。

 となるとB級覚醒者を倒せるような力のある人にやられたことになる。


 ゲートで人を処理しようとしたことを考えるに、かなり手慣れている相手のようだ。


「今回は死体をすぐに処理するモンスターでないことが盲点だったようですね」


「想像するに、計画的犯行とはいかないようだねぇ」


 やり方は相当上手くやっている。

 しかしすぐに死体を処理しないタイプのモンスターのゲートに、死体を放置してしまったというのは抜けたやり方だ。


 事前に下調べを行なっていなかったのだろう。

 覚醒者チームも殺しているところを見るに、元々ゲートを利用するつもりではなく、近くにあったから利用した可能性がある。


「ともかく、今後この事件は悪魔教関連だと見て調査していくことにします。あとはあちらのモンスターを倒して覚醒者たちのご遺体を救いたいと思います。ご協力お願いします」


「"ようやく出番か! 暇だった!"」


 ところどころ聞こえる単語しかリスニングできないエーランドは、大きなあくびをなんかをしていた。

 モンスターを倒すという言葉が聞こえてきてダランとしていた尻尾が上がる。


「囚われている覚醒者を避けて素早く攻撃を。覚醒者を倒したあとはゲートを攻略をお願いします」


「分かりました」


 圭はやるべきことをエーランドに伝える。

 フィーネの通訳のおかげでガルーとも意思疎通は問題がない。


「" はははっ! 任せておけ!"」


 A級覚醒者相当の力を持つエーランドにとって覚醒者を避けてツタを切り裂くことなど難しくない。


「薫君、頼むよ?」


「はいっ!」


 一応生きている覚醒者も救出を試みる。

 薫にヒールをかけてもらって、その間にエーランドがツタを切り裂いて、圭たちが覚醒者やスーツの男を引っ張り出す作戦だった。

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