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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十三章

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金の気配

「拝金教が復活している?」


 圭はギルドの代表として覚醒者協会に呼ばれた。

 なんの用事だろうと伊丹の話を聞いたところ、久々に嫌な言葉を聞いた。


「予想はしていました。ヴェルターが暗殺されたことを考えるに、口封じを目論むような連中がいる確実でした。拝金教の生き残りがいる可能性は十分にあると思っていました」


「まあ確かに大きな組織ほど全てを明らかにするのは大変ですしね」


 かつて圭は拝金教という組織と戦ったことがある。

 金を受け取ってヤバいことをしている宗教団体と聞いていたが、実際は悪魔を崇拝する悪魔教であり、お金を受け取る代償として覚醒者に力を与えていた。


 警察や覚醒者協会と協力して潜入して、得た情報を元に拝金教を摘発した。

 ただ拝金教を捕らえる際に問題が起きた。


 別の悪魔教が拝金教を襲撃したのだ。

 二つの悪魔教と覚醒者協会の戦いとなった。


 結局覚醒者協会が漁夫の利を得るような形で、二つの悪魔教を潰すことに成功したのである。

 拝金教は他にも判明していた拠点などを潰したのだけど、それで終わりだと伊丹は思っていなかった。


 その大きな理由はヴェルターの暗殺である。

 拝金教の司祭として暗躍していたヴェルターは生きたまま捕えられたのだけど、厳重な警備の敷かれた刑務所の中で殺害されてしまったのだ。


 いまだに犯人は捕まっていないが、なぜ暗殺したのか理由は想像つく。

 敵対する組織がわざわざ捕まったヴェルターを殺す理由はない。


 捕まったヴェルターを殺す理由は口封じだろうと伊丹は考えていた。

 拝金教の生き残りがいて、ヴェルターの持つ情報を知られるのを嫌がって殺したのだ。


 つまりどこかに重警備刑務所に侵入できるほどの力を持った拝金教がいると警戒していた。


「なんでまた今……」


「今はどこも手が回ってませんからね」


 伊丹はため息をつく。

 拝金教は密かに活動を続け、力を溜めていた。


 そしてまた組織としての形を立て直していたのである。

 太羽島の件の後、日本の覚醒者たちはゲートやモンスターの対処に追われていた。


 どうしても監視の目は緩む。


「ゲートの頻発や……北条さんの件も大きいでしょう」


 覚醒者の手が回らないことの理由にゲートが多く出現していることが挙げられる。

 さらには北条勝利の失踪、大和ギルドの活動休止も理由となる。


「……不安……ということですか?」


「そうでしょうね」


 こうしたことがあると拝金教が大きくなるのは、世の中の不安や不満が大きくなるからである。

 ゲートが増えてモンスターへの不安が生まれたり、北条の失踪によって世間の不安が大きくなると人は何か頼れるものが欲しくなる。


 宗教というのは心の安らぎになることもあるだろう。

 たとえ裏で悪魔が手を引いていても、普通の人にはそれが分からないようにしているものだ。


「それで……その話を俺にする理由はなんですか?」


「村雨さんも関係者ですからね。今の拝金教が何を考えているのか分かりませんが……復讐など試みる可能性もあります」


 あの場にいた拝金教は捕らえた。

 しかし、圭がスパイであったことを向こうの生き残りが把握しているかどうかは不明である。


 拝金教が再び力をつければ、関係者に復讐に来る可能性も考えられる。


「あとはやはり手が回っていないので……また協力をお願いすることがあるかもしれません」


 以前は弱いことを利用してスパイとして協力した。

 力が欲しいお金持ちに偽装して情報を盗んだ。


 今や圭もB級覚醒者である。

 一ギルドを率いて、覚醒者協会としての信頼も高い。


 協力を要請することになったら戦力としてということになる。


「一応心の準備はお願いします」


「分かりました。そんなに今厳しいんですか?」


「日本のみならず世界中でゲートが現れているようです。混乱するまではいきませんが……処理の限界は近いかもしれません」


 伊丹は深いため息をつく。

 覚醒者協会としても頭の痛い問題である。


「それよりもかなみとはどうですか?」


「どうと言われても……」


「……そうですか」


 誤魔化すように笑う圭に対して、急に伊丹の視線が冷たくなる。


「甲斐性のない男は嫌われますよ」


「……肝に銘じておきます」


 塔を攻略していきたいのに、塔の外でも色々と問題が起きている。

 弱かった頃は特に頼られるようなこともなかったのだが、今はそこそこ頼られるぐらいには強くなった。


 やらねばならぬこと、考えねばならないことが多いものだなと圭は小さくため息をついたのだった。

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