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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十三章

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挑めるまでになりました2

「ほんとあなたたちには感謝ね」


 にこやかな顔をしながらかなみが圭の腕を取る。


「おかげで私が圭君と出会えたんだもの」


「むぅ……」


 まるで自分のもの言わんばかりのかなみと、目を細めた黒羽は睨み合う。

 

「シャリンも!」


「わ、私も!」


「あっ! ずるいぞ、お前ら!」


 シャリンが自分もと圭の正面から抱きつき、波瑠が好機だと後ろから抱きつく。

 出遅れたとカレンはどこかないかと探すものの、圭の前後左右全てが誰かに取られてしまっている。


「みんな、積極的だねぇ」


「なんか……余裕だな?」


 こうした場面では夜滝やカレンは後手に回ることが多い。

 いつもなら表面上取り繕っていても、内心嫉妬していたりする夜滝が今日は妙に余裕に見えた。


「ふっ、私は悟ったのさ」


「何を?」


「ギルドでもっといちゃつけばいいってね」


「はぁっ?」


「見てごらんよ。両腕にしがみついているのは普段圭と会えない連中だ。しかし私は普段から圭と一緒だ」


 かなみも黒羽も別のギルドの人である。

 塔の攻略に協力するという目的があるからこうして会っているものの、普段から一緒にいるわけではない。


 対して夜滝は基本的に圭といる。

 仕事を辞めてギルドの建物で一緒に暮らしているのだから当然と言えば当然の話だ。


 シャリンやフィーネもいるし、カレンなんかもほぼ毎日来る。

 最近はダンテとユファもいたりするので二人きりという場面こそ少ないが、かなみや黒羽よりも圧倒的に一緒にいる時間が長い。


 このことに気づいた夜滝の精神には少し余裕ができていた。


「それに私は幼馴染というステータスがあるのだよぅ!」


 夜滝は胸を張る。

 圭と夜滝は子供の頃からの知り合いである。


 世間一般にいうところの幼馴染という関係だ。

 次々にライバルが出てくるので焦っていたが、大きなアドバンテージがある。


「……そっか」


 幼馴染なのはいいけれど、それってなんだか負けヒロインっぽくないか。

 そう思ったもののカレンは口にしないことにした。


「今回シークレットとやらはあるのか?」


 もはや隠しようもないので赤城たちは圭が各階のシークレットクエストを見ることができることを話してある。


「一応あるけど……あまり気にしないでいこう」


 シークレットは利益も見込めるが危険も大きい。

 時間がかかることもあるし、攻略しなければいけないものでもない。


 今回は塔を登ることを目的に、シークレットはあまり気にしないことにする。


「つっても毎回巻き込まれてる気がするんだけどな……」


「それは……そうだな」


 毎回特にシークレットを追いかけているわけでもないのに、シークレットクエストに巻き込まれている。

 今回も口ではやるつもりはないと言っているが、実際どうなるかは分からない。


「運がいいんだか、悪いんだかな」


 カレンはため息をつく。


「ああ、なるほど。運がいいから……ということなのかもねぇ」


 巻き込まれるから運が悪いと考えがちであるが、運が良すぎて毎回シークレットに遭遇してしまうとも考えられる。

 どっちにしろあまり望んでいないということに変わりはない。


「まずはガルドンを探そう。どいつもこいつもボス個体で、デカいから見つけること自体はそんなに難しくないはずだ。ただここも結構広いからな」


 圭たちは十四階の捜索を開始した。


「あの時は砂漠みたい感じたものだけどな」


 正直言って十四階のことはあまり覚えていない。

 あの時は砂漠のど真ん中を歩いているようなそんな感じだと思っていたのである。


 実際圭は大きな怪我を負っていた。

 肋骨が折れて、ひどい打撲を負っていたのだけど、アドレナリンのせいかそこまでの痛みを感じてはいなかった。


 ヘルカトの魔石を抜き取った後、十四階から抜け出そうと歩き回った。

 そうして歩き回っているうちに興奮状態が落ち着いて、意識が混濁し始めていたのである。


 ある種の極限状態にあった。

 今こうして普通の状態で歩いてみると、十四階は空気が乾燥しているものの、砂漠のような環境とは全く違っている。


 極限状態にある時の記憶なんて当てにならないものだなと圭は思った。

 赤茶けた大地に木々はなく、空はややどんよりとしている。


「またここに戻ってくることがあるなんてな」


 もうあんなところに行くもんかと目を覚ました時には思ったものだ。

 命を大事にのんびりと暮らせればいいと思っていたはずなのに、いつの間にか世界の命運を背負って塔を攻略している。


 人生何があるか分からないものである。


「遠くに何か見えますね」


 適当な方向にまっすぐ歩いていると、かなり離れたところに何か黒いものが動いている。

 見晴らしがいいので離れていてもよく見えるのだ。


「なんだありゃ?」


「変なモンスターだな」


 もう少し近づいてみるとガルドンの姿がしっかりと見えてきた。

 ナマズに足が生えたような姿をしている。


 ただ足も左右三本ずつの六本で、造形としてはなかなか気持ち悪いと感じるものがある。

 近づいてみると意外とデカい。


 ゾウよりも一回りほど大きなサイズをしていて、確かにゲートの中であったならボスクラスのモンスターのように見えた。

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