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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十三章

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挑めるまでになりました1

 世間がどんな噂で騒がしくなろうと、北条がどうなろうと時は進む。

 北条がいない間にも世の中にはゲートが出現し、人々は恐怖に怯えることになる。


 大きなニュースなので北条のことを忘れるわけではないが、話題に上ることは少なくなってきていた。

 新たな英雄の出現はないが、太羽島での活躍が認められてガルーたちもゲートやモンスターに対する貴重な戦力だと受け入れられ始めた。


 太羽島での犠牲は少ないけれども、エーランドたちガルーやカルキアンたち異世界人が本格的に活動を開始すればカバーできる範囲は意外と広い。

 そのために圭たちのリーダビリティギルドは思いの外に注目度が高まってしまった。


 ガルーたちが所属しているという扱いになっているのだからしょうがない。

 塔の攻略を進めたいところだったが、太羽島の攻略で減った覚醒者の分や北条の失踪で大和ギルドが休止状態に入ったことの影響で、大海ギルドもヴァルキリーギルドも忙しくなってしまった。


 圭たちも忙しくしていて、なかなかスケジュールが合わずにいた。


「ようやく十四階か。あとどれぐらいなんだろうな」


 太羽島攻略後、ドッと増えたゲートの対処が落ち着いて圭たちは再び塔を訪れていた。

 目的はもちろん塔の攻略である。


 アラクネドレイクという脅威に出会って、改めて危険を感じた。

 結果的には倒したものの、A級覚醒者が束になっても敵わないようなモンスターが出現したという事実は変えようがない。


 今後そうしたモンスターが現れないとも限らないのである。


『村雨圭

 レベル88

 総合ランクC

 筋力B(B+)(英雄)

 体力C(C+)(伝説)

 速度B(英雄)

 魔力C(一般)

 幸運B+(神話)

 スキル:真実の目、導く者

 才能:類い稀な幸運』


 太羽島での戦いを乗り越えて圭のレベルもさらに上がった。

 ただいまだに総合ランクからするとB級程度の能力である。


 表面上のステータスが全てではないことも理解しているが、これからの戦いを考えるともっと強くなりたいというのが本音であった。


「十四階はシンプル……ボスラッシュって呼ばれてるな」


 今回も例によって大海ギルドとヴァンキリーギルドの精鋭も一緒に攻略に参加してくれる。

 赤城によると十四階はボスレベルのモンスターを次々と倒していく方式らしい。


『モンスターを倒せ!

 ガルドン


 シークレット

 古代遺跡の遺物を取り戻せ』


 確かに表示された試練は久々に非常にシンプルなものである。


「ここも苦労させられたよ」


「そうなのか?」


「ここも結構広くてな。モンスターを探すのにも苦労させられた上に、モンスターも結構強かった」


 赤城は十四階の攻略を思い出してため息をつく。


「サイクロプスだったかな? 戦って追い詰めたんだけど、トドメってところで崖から落ちちゃってさ」


 再び深いため息。


「結果的には崖から落ちて死んだみたいだけど……崖はかなり高くてさ。下に降りる道も見つかんなくて魔石の回収もできなかった」


「……」


 なんだかちょっと知っている話かもしれないなと圭は思った。


「その後ぐらいだったな、お前のこと見つけたの」


 圭はやっぱりかと目を細めた。


「驚いたよ。なんの装備も身につけていない作業着の男が倒れてるんだからな」


 圭はヘルカトに殺されかけた。

 今でも昨日のことのように思い出せる出来事で、ヘルカトは上から降ってきたモンスターの下敷きになって死んでしまった。


 それはヴァルキリーギルドが崖から落としたモンスターである。

 倒したモンスターを探しているところで圭を見つけたのであった。


 モンスターが降ってきたのも、圭を見つけたのも偶然ではあるものの、ヴァルキリーギルドのおかげなのだ。


「今お前がいるのは私のおかげ、だな?」


「まあ、そう……」


「違う。私のおかげ」


 赤城がニヤッと笑い、黒羽は少し拗ねたような顔をして圭の腕に抱きついた。


「ミキは最初見捨てようとした」


「えっ?」


「あっ、黒羽それは……」


「怪しいからってほっとこうとした。私が助けようって言った」


「……赤城?」


「それは言わない約束だろ、黒羽?」


 赤城は圭を助けたというが実際のところ見捨てられかけてはいた。

 なぜなら圭はどう見ても怪しかったから。


 十四階までなると攻略している覚醒者はほぼいなくなる。

 他に攻略しているギルドも仲間とは言わなくとも顔ぐらいは知っている。


 明らかに無装備の見知らぬ日本人が一人だけで倒れているはずがないのである。

 モンスターの罠という可能性や何か異常な存在の可能性もあると赤城は総合的に考えて警戒していた。


 だから圭を放置しようという考えもあったのである。

 最終的には黒羽が助けようと言ったので助けることになった。


「ま、まあ結果的には助けたろ?」


「……そうだな」


 圭も同じ状況なら警戒するだろう。

 真実の目があるから鑑定すればいいとか今は思うが、そうした能力もなきゃ疑ってかかるしかない。


 助けてもらったという事実に変わりはない。

 経緯はどうであっても今無事ならそれでいいやと思った。


「だから私に感謝」


「……ありがとうな」


「ん」


 圭が素直にお礼を言うと黒羽は頬を赤らめて微笑む。


「ちぇっ……」


 黒羽が余計なことを言わなければと赤城は口を尖らせる。

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