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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十二章

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裏切り者の英雄

 太羽島は攻略された。

 アラクネゲート、およびドレイクゲートはアラクネ、アラクネドレイクが倒されて消滅した。


 この二つのゲートさえ攻略してしまえば、後のゲートは難しくない。

 日本と韓国は素早く残りのゲートも攻略を終えて、太羽島は何十年ぶりにモンスターがいなくなった。


 アラクネドレイクという特殊なモンスターは回収されて調査に回された。

 アラクネの特徴を持ちつつ、ドレイクの特徴を持つモンスターは進化の過程でアラクネが生み出したと結論づけられた。


 ドレイクゲートのボスであったドレイクを、アラクネが取り込んで時代のアラクネとしようとした可能性があった。

 もし太羽島の攻略が遅れていたらドレイクの頑丈さと破壊力を兼ね備え、アラクネの素早さや糸などの特殊な能力を持った凶悪なモンスターが量産されていたかもしれない。


 アラクネドレイクのせいで多くの被害者が出た。

 太羽島には慰霊碑を設置し、アラクネドレイクの異常性と脅威を徹底的に強調して戦死した覚醒者たちのことを英雄のように持ち上げることで日本と韓国は批判を避けた。


 対策が甘かったのではないかという声や覚醒者を失った国からの非難はあった。

 しかし生き残った覚醒者自身が生き残れたことに感謝するような声明を出したことで、大きく炎上はしなかった。


「北条勝利……意識不明の重体、か」


 アラクネドレイクを倒した北条は、太羽島攻略作戦において英雄となった。

 その結論は当然のことだろうと圭も思う。


 A級覚醒者が束になっても敵わなかった相手を倒してしまったのだから、北条の本性がなんであれ英雄として持ち上げられるにふさわしい活躍をしたといっていい。

 ただ代償は大きかった。


 北条は戦いの後、気を失って倒れた。

 A級覚醒者のヒーラーによる治療を受けてもなお目を覚まさず、いまだに意識不明の状態となっている。


 テレビやネットニュース、新聞でも北条の状態は話題に上がる。


「……この状態ならむしろ都合が良いのか?」


 圭はテレビのニュースを見ながら顔をしかめる。

 北条は人類の裏切り者、敵である。


 アラクネドレイクを倒すほどの力を北条が隠し持っていたのだとしたら相当危険である。

 このまま目を覚まさないほうが圭たちにとって活動しやすいと言えるかもしれない。


「人類の敵……なのに必死に戦うってのもおかしな話だよな」


「確かにね」


 北条について疑問はある。

 人類の敵だとしたらアラクネドレイクような存在はむしろ野放しになっていた方がいいのではないか。


 しかし北条は自分が意識不明になるほどの力で戦った。

 なぜそこまでしたのか、圭たちは不思議だった。


「名声ではないか? とことんまで人類の味方であると信じさせたかったのかもしれないねぇ」


「どういう目的なのか、北条さんがどんな裏切り方をしているのかイマイチ分かりませんね」


 ひとまず太羽島の脅威は無くなった。

 しばらく覚醒者が減った影響はあるだろうが、北条の奮闘は覚醒者たちの希望となって盛り上がってはいる。


 よほど凶悪なゲートが出ない限りは大丈夫だろう。


「派手な動きをするつもりはないけど、しばらく北条に何か見つかることはなさそうだな」


 人の不調を喜ぶなんてことはしないが、北条が活動できないならしばらく北条のことを警戒しなくてもいい。


「いまのうちに塔を登っておきたいよな」


 次は十四階である。

 こうやって考えると意外と登ったものだと思う。


 次にアラクネドレイクのような存在が現れれば、場所によって大きな被害が生まれてしまう。

 早くこのゲームを終わらせねばならないと圭は改めて思ったのだった。

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