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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十二章

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次世代のアラクネ4

「‘間違いない。アラクネ、あるいはクモ種のモンスターが出す糸のものだ’」


 部屋の中に入って白いものを確かめる。

 剣の先で触れてみるとくっつくような感覚があり、間違いなくクモのものである。


「‘どういうことだ?’」


「‘ここはドレイクのゲートだろう’」


「‘どうしてアラクネの糸が……’」


 みんながざわつく。

 他のゲートのモンスターの痕跡がゲートの中で発見されるなんてまずあり得ない。


 複数種類のモンスターがゲートに現れることはあるものの、クモ系のモンスターがドレイクゲートに現れた報告はない。

 ドレイクとはモンスターの種類が違いすぎるし、近くにアラクネのゲートもある。


 ただドレイクゲートにクモ系の魔物がいる可能性とアラクネがドレイクゲートに入った可能性、どちらも否定できたものではない。

 けれどもどちらも現実的にあり得ないと言わざるを得ない。


「‘しかし少し前に他のゲートが消失したらという報告があったな’」


「‘まさか……アラクネがやったというのか?’」


 点と点が線で繋がり始める。

 いつの間にか消えていたB級ゲートの報告が少し前にあった。


 自然消滅した、誰か覚醒者が忍び込んだなど、ゲートが消失したことの原因は憶測を出るものじゃなかった。

 しかし今の状況を見て、アラクネが他のゲートに入るのだとしたらアラクネが他のゲートを攻略してしまったのではないかと考え始めていた。


「‘ここの捜索を続けよう’」


 たまたまクモの糸がこの部屋にあったのかもしれない。

 何があったのかを知るためにジェヒョンたちは城の捜索を進める。


「‘何もいない……だが’」


「‘明らかにクモの痕跡だな’」


 ドレイクもクモもいない。

 しかし城の中はクモの糸で真っ白になっていた。


 念のためにクモの糸を焼き払いながら進む。


「‘これはなんだ?’」


「‘……アラクネの卵か?’」


 城の中央、上層階にジェヒョンたちはやってきた。

 広い部屋は王様なんかに謁見する部屋のようにも見える。


 玉座でも置いてありそうな一段高い場所に、真っ白な糸の塊の繭のようなものが鎮座していた。


「‘卵……だとしたら中身はどこに行った?’」


 繭のようなものが仮に卵だとして、それは他の人も異論はなかった。

 今問題なのはそこではない。


 繭は真ん中から裂けている。

 中には何もおらず、何かがいたのだとしても、今は何もいない。


「‘聞こえますか!’」


 今いる場所が一番広い最奥部となる。

 ここに何もいなければもう後どこに行ったらいいのか。


 経験も豊富なA級覚醒者たちが悩んでいると、無線機に連絡が入ってきた。


「‘ジェヒョンだ。聞こえている。何か問題があったか?’」


 ボスと戦っているかもしれないジェヒョンたちに繋がるチャンネルは、外で連絡を取り合う通常のチャンネルとは違う。

 まして、ゲート中にいるジェヒョンたちと連絡を取るためには誰かゲートの中に入る必要がある。


 こうして無線機で連絡をとってきたということはわざわざジェヒョンたちに連絡を取ろうとしてきたということになる。

 加えて戦闘中であっても連絡を取らねばならないほどの何かがあるということでもあった。


「‘外で異常なモンスターが暴れています!’」


「‘異常なモンスター?’」


「‘アラクネゲートのアラクネと見られるモンスターと……アラクネとドレイクを混ぜたような……変な個体がいるのです!’」


 無線から聞こえてくる声は他の人にも聞こえている。

 何人かがアラクネの繭を見た。


「‘変な個体はとんでもなく強く……外の状況はかなりまずいです!’」


「‘分かった。すぐに外に向かう。覚醒者を集めてB級は下がらせろ’」


「‘了解しました!’」


「‘みんな聞いたな? 何かが起きている。すぐにゲートを出るぞ’」


 ドレイクがどうなったのかイマイチ分かってはいない。

 しかし外でモンスターが暴れているのなら放っては置けない。


 ジェヒョンは他に卵があっても面倒なので城に火を放ってゲートの外に向かった。


 ーーーーー


「現在ドレイクゲートのボス攻略チームが交戦中! 相手はアラクネ、人型クモ、加えて新種です!」


 アラクネゲートから移動する北条たちのところにも無線から状況報告の連絡が入る。


「新種だと?」


「アラクネのような特徴を持つ……人型のドレイクのようなモンスターが出現したようです! アラクネとは戦闘にならず覚醒者のみを狙っています!」


 北条も何が起きているのか分からなかった。

 とりあえず足を速めて急ぐ。


「北条さん!」


 ドレイクゲートに近づくにつれて木々が少なくなってきた。

 もう完全に森を抜けるというところで木の上から人型クモが飛び降りてきて、北条に襲いかかった。


「ふんっ!」


 人型クモの攻撃をかわした北条は人型クモを殴り飛ばす。


「B級、および一部のA級覚醒者であいつの対処に当たれ!」


 この先にアラクネが待ち受けている。

 他にモンスターがいることを想定してB級も連れてきたが、格上の相手に対してB級はむしろ足手まといになってしまう。


 人型クモの対処をB級に任せて北条はA級覚醒者を引き連れて草原に出る。

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