表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

720/837

第四次太羽島攻略作戦2

「村雨君」


「あっ、どうもお疲れ様です」


 気づいたら近くに北条がいた。

 ほんの少し緊張しつつも圭は笑顔を浮かべて答える。


 圭は北条が人類の裏切り者であると知っている。

 北条は世界の滅亡を望む神の手下として神に届く才能がある人を消してきているのだそうだ。


 圭や仲間たちも神に届く才能がある。

 狙われる可能性があるかもしれない。


 そうでなくとも北条は敵対する神側の人間なのであり、圭にとっては警戒すべき相手となる。

 ひとまず北条が圭を世界を救う役割を担った存在だと気づいている様子はないので、圭も普通を装って北条に対応する。


「君たちにも期待している」


 北条はチラリとエーランドのことを見た。

 A級覚醒者相当の力を持つエーランドは、他の覚醒者にとって信頼は置けないものの、味方として戦ってくれるなら心強い。


 期待しているとはいうが、圭たちに期待しているというよりもエーランドやカルキアンに期待しているというところだろう。


「君も目覚ましい活躍をしていると聞いている。その秘訣を知りたいものだ」


 圭が低等級覚醒者だったことは北条も知っている。

 圭の存在を疑ってはいないが、どうやって強くなったのか気になってはいるところだった。


「たまたま再覚醒したんです」


 圭は笑顔で答える。

 北条は圭の成長の過程を知らない。


 少しずつ強くなってきているので、世の中一般に言われる再覚醒とはかなり違う。

 だが間の過程をすっ飛ばして圭が強くなったという結果だけを見れば、再覚醒だと説明してもおかしくはない。


「……そうなのか」


 それでもやや疑問に思うことは残っている。

 圭だけではなく、仲間たちも同様に強くなっている。


 集団再覚醒などあるのだろうかと不思議に思う。

 ただ覚醒者について分かっていないことも多くあるので、ないと言えることでもない。


 圭を問い詰めても、分からないと言われてしまえばそれで終わりなので北条はそれ以上追及しなかった。


「人型モンスターは君たちにも担当してもらうが、ボスのアラクネは我々に任せて無理はしないようにしてくれ」


「分かりました。ありがとうございます」


 北条はその後も他の覚醒者たちに声をかけて回っていた。


「どうしてあんな人が……」


 どう見ても北条は善人である。

 なのにどうして世界を、そして人類を裏切ったのか圭には分からなかった。


 このまま世界が進めば待ち受けるのは滅びである。

 まさか自分だけ助かろうとしているのだろうかと考えてしまう。


「"あいつは敵か? 殺すか?"」


「そんな物騒なこと言わない。今はまだ……戦わないよ」


 圭の態度からエーランドが何かを感じ取った。

 そもそもエーランドは北条が嫌いだ。


 圭の手前なんともないように装っているが、モンスターであるエーランドに対して北条は否定的な立場である。

 ふとした瞬間に冷たい視線を向けられていることを感じていた。


 嫌な雰囲気があり、エーランドは本能的に北条を警戒している。

 人類の敵ということからすれば北条を倒してしまう方がいいのかもしれない。


 だが北条は今人類のためにアラクネと戦おうとしている。

 多くの人がいる中でわざと負けるようなこともしないだろう。


 名声も地位もある人で、日本の人は北条を英雄視している人もいる。

 仮に倒せるとしても、ここで北条を倒せば悪者になるのは圭たちの方である。


 エーランドが手を出せばおそらく大騒ぎになる。

 投獄されるだけならまだよく、モンスターとして討伐されてしまう可能性が高い。


 戦うにしてもタイミングだったり、人類の敵であると分かるような状況、証拠が必要だ。


「そのうち戦うことはあるかもしれない。それは覚えといて」


「"承知した。あいつは敵、だな"」


 今は同じ敵と戦う仲間である。

 けれどもそのうち道を違えて敵になるだろう。


 その時までに力を溜めておかねばならない。


「とりあえず今は目の前のアラクネが敵だ」


 最終的な確認も終わって、北条が覚醒者たちを集めた。

 総数としてはおよそ百名ほど。


 A級ゲート攻略なのでB級以上の覚醒者しか集められておらず、やはりエーランドたち四十名という戦力はかなり大きな存在である。

 圭たちを含めると、半分が圭が率いる戦力と言ってもいいのだ。


「敵の様子は確認できていない。不確定な要素が多く、危険が大きい」


 本来ならドローンでの調査を行い、敵の状況を確定させておきたいところである。

 しかし度重なるドローン調査にモンスター側も気づいてしまった。


 低く飛んでいるドローンは蜘蛛の糸で絡め取られ、高く飛べばドレイクたちに攻撃されて墜落させられしまうのだ。

 そのために今モンスターたちがどのような状況にあるのか分かっていなかった。


 これまでの調査の結果からどのような感じになっているのか予測はあるが、どうしても行動の幅はある。


「それでは出発だ! みんな生きて帰るぞ!」


 北条たちボス討伐部隊は力を温存せねばならない。

 まず露払いとして圭たちが出発する。


 少し遅れて北条たちが出発し、戦いに紛れてアラクネに接近する予定である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ