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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十二章

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閑話・仲良しこよし

「預かるとは言いましたが、どうしていけばいいのでしょうか?」


 メルシリアはキューちゃんを見上げながら首を傾げる。

 キューちゃんが十一階に住むのはいいが、人と違う存在であるキューちゃんをどのように迎え入れたらいいのか分からない。


「新たに居住を設けましょうか? それともお城のお部屋……でもフェンリル様には小さいかな?」


 キューちゃんも城の中を通ることはできる。

 ただ廊下は結構ギリギリになりそう。


 部屋のドアを通れるかはちょっと分からない。

 そこらへんに寝ていろとも言えない。


 それならばキューちゃん専用の家でも建てるべきかとメルシリアは考えた。


「確かに……どうしようか?」


『ふふ、僕小さくなれるよ!』


 モッフリとした胸毛を張ってキューちゃんがドヤ顔をする。


「わっ!? ちっちゃくなった!」

 

 スルスルとキューちゃんの姿が縮んでいき、大型犬ぐらいのサイズになった。


「可愛い!」


 波瑠は目を輝かせている。


『これぐらい簡単ですからね!』


 波瑠に撫でられながらキューちゃんは得意げな顔をしている。


「……これならわざわざ家を建てるまでもないか」


「そうですね。これぐらいお城にいても大丈夫でしょう」


 住む場所の他にも考えるべきことは多い。

 何を食べるのかとか、タダで住まわせてもらうわけにもいかないのでキューちゃんにも何かしてもらいとか、メルシリアと話し合う。


「これなら一石二鳥だな」


 キューちゃんはモンスターの肉を食べるらしい。

 普通の食べ物も食べるが、魔力が多いモンスターの肉も普通に食べるのだそうだ。


 ただわざわざモンスターを狩ってきてもらって与えてもらうなんてキューちゃんのためにもならない。

 そこで自分で狩りに出てもらうことにした。


 メラシオニは多くの人を失った。

 兵士だけでなく冒険者もである。


 モンスターを倒して治安維持するのも楽ではなく、人手が足りていない現状がある。

 王国の騎士団に同行してモンスター狩りをしてもらう。


 そうすればメラシオニにとっても利益になるし、キューちゃんにとっても利益になる。

 両者にとってウィンウィンな関係となる。


「いいか? キューちゃん?」


『僕頑張るよ!』


 ちゃんと学んでこい。

 メルリンからもそう言われている。


 圭にもいいところを見せるのだとキューちゃんの鼻息は荒い。

 結局お城の部屋の一つを使ってキューちゃんはそこに住むことにもなった。


 ーーーーー


『うふふ、みんな一緒』


 キューちゃんが圭と寝たいと言った。

 すると波瑠もキューちゃんと寝たいと言う。


 キューちゃんはしょうがないなと答え、波瑠が寝るなら自分も寝たいとシャリンとフィーネも言い始めた。

 じゃあみんなで寝よう。


 そんなことで圭とキューちゃんを始めとして、波瑠とシャリンとフィーネとカレンと夜滝と薫と、なぜかかなみも一緒に寝ることになったのだった。


 たとえ最大サイズのベッドでも全員は収まらない。

 そこで気を利かせたメルシリアが部屋一面にマットレスを敷き詰めてくれた。


 好きに床で寝られる雑魚寝スタイル。


『圭は僕の』


「むっ! ズルい!」


「フィーネも! フィーネもぉ!」


 思い思いのパジャマに身を包んだみんなが一部屋に集まる。

 気づいたら非常に女性が多い。


 キューちゃんは部屋の中で大きくなって、丸まるようにして圭を自分の中に捕まえていた。

 用意されたよりもふかふかの毛皮に包まれて気分は悪くない。


 シャリンとフィーネもキューちゃんの毛皮に潜り込もうとする。


「……ちょっとセクシーすぎません?」


「これしか持ってきてないもの」


 Tシャツ短パンというラフスタイルの波瑠に対してかなみは体のラインが透けないネグリジェであった。


「てか、なんでそんなもん持ってきてんだよ……」


「女はいつ勝負に出るか分からないじゃない?」


「何と勝負するつもりなのかねぇ」


「僕もキューちゃん撫でてこよう……」


 見た目上女性たちは華やかであるが、雰囲気がちょっと怖いと薫はそっと離れる。


「このまま寝ちゃいそうだな」


 女性たちをよそに圭はキューちゃんに包まれて暖かくて、眠気が襲ってきていた。

 多少のバチバチはあったものの、野外数日の移動で意外と疲れていたみんなはそのまま寝てしまったのである。


 圭が塔を離れると聞いてキューちゃんが行かないでと駄々をこねたりしたものの、なんとか宥めて塔十三階までの攻略は終わったのであった。

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