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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第二章

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工房の問題1

「ふぇ、ふぁふぉふぉがふぃんふぁふぁって?」


「夜滝ねぇ……せめて口の中の物飲み込んでから話しなよ」


 神話等級の才能を見つけた。

 けれど本人の前でその話もできないので装備の購入を終えた圭たちは夜滝の家に帰ってきた。


 日も落ちてきていたしまだ未成年の波瑠をそんなに長くも連れ回せないけれど早めに話しておきたかった。

 少し時間が遅れそうだと波瑠が母親に連絡したら是非いくらでもどうぞと返ってきたそうだけど母親としてそれでいいのかとは少し思う。


 小腹も空いてきたので作戦会議がてら途中にあったたこ焼き屋さんで買ってきたたこ焼きを食べている。

 夜滝は熱くても丸っと口に入れてハフハフしながら食べるのが好きである。


 割と中がトロッと系なので熱さが続いて夜滝はずっとハフハフしている。


「ふーふーしてあげようか?」


「ふぁひ!? ふぁ、ふぁふぁひもふほふほひて……」


 いたずらっぽく笑う波瑠は少し冷ましたたこ焼きを圭の前に差し出す。

 夜滝も対抗しようとするけれどまだ口の中にはたこ焼きが残っていてふーふーどころの騒ぎではない。


「いいから自分で食べなさい」


「むぅ、はぁーい。かふっ、まだ中あふい!」


 ちょっと拗ねたような顔をして波瑠がたこ焼きを頬張った。

 表面は適温でも中はまだまだアツアツ。


 美味いのだけど注意が必要なたこ焼きである。


「ごくん……それであの工房のお姉さん……八重樫カレンといったかな? が、神話級だったと?」


「うん、体力の才能値が神話級で筋力が伝説。スキルや才能の能力によるだろうけど攻撃も防御も高そうだ」


「一般に考えるなら筋力が攻撃、体力が防御に近いようなものだろう。必ずしもそうではないだろうけれどタンク向きな才能はありそうだねぇ。はむ……ハフハフ」


 欲しいと思っていたタンクの最上級になりそうな原石を見つけた。

 まだ詳細なところは不明であるけれど素の能力だけでもそこら一般の覚醒者より強くなれることは間違いない。


「ただ……どうやってこのことを伝えるかだよな」


 正直なところ圭がいきなりあなた覚醒者になれますよって言われても詐欺を疑う。

 今でこそ少なくなったが少し前にそうやって覚醒者になれる、あるいは覚醒していても強くなれるなどの覚醒者詐欺ビジネスも横行していた。


 波瑠については自然と流れて覚醒して、圭が助けたってところから話も聞いてもらえた。

 けれどもカレンについては客より深い関係性になるのは難しい。


 理由をつければ通えそうな感じはあるがあまり頻繁に行くお店でもない。


「それなら正直に言っちゃえば?」


「それも1つの手だよな」


「多分見てた感じ、あのお姉さん覚醒したいんだと思うよ」


「そうなのか?」


「圭さん女心ってやつが分かってなーい。あのお姉さんもおじいさんに認められたくて、覚醒者の装備作りたいんだと思うんだ。でも覚醒者じゃないから出来ない……さらには弟が覚醒者で、装備作れて、認められてお店に並ばせてもらって」


「なるほど……」


 そういえばそんな雰囲気もあったなと思う。

 消えいるようなつぶやきや悲しげな表情のわけが波瑠に言われてようやく分かった。


 でもそんな人だからこそ簡単には飛び付かず、警戒を強めるかもしれない。

 それに覚醒できることを話した後もまた問題はある。


 どう説得して仲間に引き入れるかも悩みどころなのだ。


「最終的には正直に話すしかないのかな?」


 ーーーーー


 後日圭は八重樫工房を訪れた。

 理由はちゃんとある。


 防具の調整のため。

 というのも八重樫工房でも防具を購入したのだけど少し圭の体格には合わなかった。


 そこで八重樫工房の方で調整してくれることになっていた。

 調整が終わったので確認に来てほしいと連絡を受けて早速圭は八重樫工房に足を運んだ。


「すまないね。私が対応させもらうよ」


 圭だってなんの策もなく訪ねたりはしない。

 策というが単にカレンに会える可能性を高めた。


 弟の優斗は高校生で日中はいない。

 さらには工房での刀匠体験がネット予約出来ることを知った圭はホームページでその予約状況を確認した。


 刀匠体験はカレンのおじいさんである八重樫和輝(やえがしかずてる)という人が行なっている。

 つまり日中であり、刀匠体験の予約が入っている時に行けばカレンが対応してくれる可能性が高いというわけなのだ。


 カレンが出てきてビンゴだと思った。


「顔……どうしたんですか?」


 ただカレンの様子はおかしかった。

 目の辺りが腫れている。


 隠そうとしても隠しきれない腫れにカレンが気まずそうな顔をする。

 あまり突っ込むべきではないのだろうけど気になって口に出てしまった。


「これは……ぶつけて」


「ぶつけた? そんな……」


「……! ご、ごめんなさい!」


 これはぶつけたものじゃない。

 思わず伸ばされた圭の手をカレンはハッとした顔でかわした。


「あっ……いや、こちらこそごめんなさい」


 流石に踏み込みすぎた。


「いえ……ええと、装備はこっちです」


 八重樫工房の地下に向かう。

 そこで調整してもらった装備の試着をする。


 今回調整してもらったのはベストなようなタイプの防具で防刃性能に優れていてモンスターの牙でも簡単には傷つかない。

 そのまんまでは圭の体格に大きすぎたので少し詰めて小さくしてもらった。

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