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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第一章

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幸運の始まり5

 RSIの法務部の中でも覚醒者の権利を担当している人でガッツリプロだった。

 圭が水野に波瑠の話をする。


 穏やかな笑みを浮かべていた水野であったが圭の話を聞いて表情が変わった。


「その話が本当ならとんだ悪徳会社になりますね」


 水野の目は冷たい。

 聞いた話だけで判断はできないけれど本当なら重たい処罰の下る行いである。


「村雨さん、その子に会わせてくれませんか?」


「引き受けてくださるんですか?」


「私が覚醒者特別法を学んだのはこういうことが許せないからです」


「ありがとうございます」


 圭は早速波瑠に連絡を取る。

 電話ではなくSNSでメッセージを送る。


『手伝ってくれる人が見つかりました。直接会って話したいそうですがいつがいいですか?』


 すぐに既読がついて、返事が返ってきた。


『今日でも明日でも大丈夫です』


 そして可愛らしいスタンプも送られてくる。

 今時の子っぽいなと圭は思った。


「いつでもいいそうです」


「じゃあ明日。休暇届出してくるわ」


 水野の行動も早い。

 言うのが早いか、さっさと研究室を出て行ってしまった。


「普段はおっとりしているんですけどね。仕事モードになると普段がウソのようにテキパキしてるんです」


 最初の印象では本当にこの人が? と思ったけど人は見た目によらないものである。


『明日会える?』


『大丈夫です』


『時間はもうちょっと待って』


『分かりました。でも放課後でお願いします』


 とりあえず明日会うことは確定させて予定を押さえておく。


「でも、本当に大丈夫なんですかね?」


「何がだい?」


「水野さんに頼んじゃって。その……お礼とか支払えないかなって……」


 RSIの研究職も凄いが法務部なんてまず就職できるところじゃない。

 もらっている給料なんて圭とは桁が違うし仕事をしてもらおうと思ったらかなりの金額になる。


 下手すると保険金よりも高額になることだってあり得ない話じゃない。


「……あの子のおじさんも覚醒者なんです」


「そうなんですか」


「今は引退していますけどね。バリバリ第一線で戦ってる人だったんだけど事故で腕を失っちゃって。まだ法律もちゃんとしてない時で、油断して腕を失ったせいでゲートの攻略に失敗したって無理矢理な文句をつけられてギルド追い出されちゃったんです」


「それはひどい話だねぇ」


「だからあの子は覚醒者の味方をして守るためにああして勉強して資格を得たんです。だからその波瑠って子の話を聞いて我慢ならないんだと思います。……私から聞いたってこと秘密にしてくださいね」


「分かりました」


「だからお金を要求することはないと思いますよ。むしろ私は村雨さんがそんな風に人を助けようとした方が驚きでした」


「そんな感じには見えないですか?」


「まあ、そんな風に見えないっていうと失礼かもしれないですけど、世の中困っている他人を積極的に助ける人の方が貴重ですからね。自分を騙そうとした相手を助けるだなんて見直しましたよ」


「圭はヒーローだからね!」


「はいはい。そのはしたない姿どうにかしなさいよ」


「私が私の部屋でどうしようと勝手ではないか!」


 ソファーに逆さまになっている夜滝は暇そうにしていた。

 こんな風に憧れられるなら研究者ではなく法律の道に進むべきだったかなんて考えているのは秘密である。


 そのあと水野が戻ってきて次の日の放課後に波瑠と会うことになった。


「お金ですか? そんなものに困ってませんのでいりませんよ?」


 心配なので一応直接聞いてみたらこの返事である。

 水野は散財するタイプでもないので高い給料もちゃんと貯金している。


 仕事をするのに必要なのは自分がそれをやりたいかどうかであって、お金だけで動くつもりなどなかった。

 あればそれに越したことはないが今回は覚醒者の家族が困っているということでタダ働きでも手伝うつもりだった。


「水野さん、ありがとうございます!」


「や、やだなぁ……そんなんじゃないですよ〜!」


 ここにお金が入っていれば仕事だと割り切れるけど今回はそうじゃない。

 真っ直ぐにお礼を言われてなんだかむず痒いような照れ臭さを感じる。


 感極まって手を取ってしまった圭に水野は困惑する。

 ここまで仕事一筋だったのでこんなに男性に近寄られたこともなくてどうしていいのか分からないのだ。


「こらこら、圭!」


 体ごと無理矢理割り込んで2人を引き離す夜滝。


「軽々しく女性に触れてはならないよ。手を触りたいなら私にしておきなさい」


「あっ、ごめんなさい、水野さん」


「い、いえ……大丈夫です」


 これで強力な味方ができた。

 女子高生を悪の道に進ませようとする悪徳企業にどうにか罪を認めさせられればいいのだけど。


 ひとまず波瑠と会って細かな話を聞いて企業や保険会社に対してどうするかを決めることになったのであった。

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