表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第六章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

298/837

村雨圭、逮捕1

「ご足労ありがとうございます」


「いえ」


 塔四階でのことを聞きたいと言われて圭は覚醒者協会に呼び出された。

 殺人事件に平穏の騎士ということでかなり大きな事件だった。


 暴れた覚醒者を追いかけるためにいくつかの国から人も派遣されていたので広く色々な国で報じられる事件となっている。

 善良な市民でもある圭は話を聞きたいと言われれば断ることなんてしない。


 今回の事件のきっかけとなった犯罪覚醒者はB級相当のモンスターが出る場所で死んでいた。

 平穏の騎士にやられてのか通常のモンスターにやられたのかははっきりと分かっていない。


 事件を起こした理由はコドゥンの葉を欲したため。

 圭が真実の目で鑑定して分かったようにコドゥンの葉には依存性がある。


 暴れた覚醒者はコドゥンの葉欲しさに他の覚醒者たちを殺して葉を奪い取って逃げたのだった。

 そんな話を聞きながら圭はいつもとは違う狭めの部屋に通された。


「すいません。両手を出していただけますか?」


「両手ですか?」


 ただ相手はいつものように伊丹が対応してくれている。

 両手を出すようにと言われたので席についた圭はなんの疑問も持たずに両手をデスクの上に出した。


 ガチャン。


「えっ?」


「村雨圭さん、逮捕させていただきます」


 伊丹は圭の両手に手錠を嵌めると圭の正面に座った。


「い、伊丹さん? これは一体……」


 理由も分からず動揺する圭に伊丹は冷ややかな視線を向けた。

 本物の手錠は手にずっしりとした重みがかかる。


 伊丹はこんなタチの悪い冗談をする人ではないし、冗談のような雰囲気もない。

 圭の頭の中でスパークするように考えが駆け巡る。


 なぜ逮捕されるに至ったのか理由を考えるけれど逮捕されてしまうような理由に思い至らない。

 伊丹はファイルの資料を今一度さらりと読んで小さくため息をついた。


「なぜ逮捕されたか分かりますか?」


「……いえ」


 思いつかない。

 圭は困り顔で首を振った。


 平穏の騎士との戦いにおいて圭は活躍した。

 何かそれで目立ちすぎるようなことでもしてしまったのかもしれない。


 けれどもそれで逮捕されるようなことはないはずである。

 妙な緊張感で背中に汗をかき始めた。


「今回多くの被害者も出まして、圭さんを含め塔から搬送されました。その過程でどなたが運ばれたのか身元の調査を行いました」


「は、はぁ……」


 圭の身元はしっかりしている。

 怪しいところはないし犯罪に加担したこともない。


 ブラックマーケットに行ったことはあるけれど身元調査ではバレないはずだしブラックマーケットに行ったから即ち逮捕でもない。


「バーンスタイン薫さん、今回の事件で村雨さんの近くに倒れていた方ですね」


「薫君が何か……?」


「か…………彼」


 伊丹の言葉が一瞬止まったのは薫の顔写真を見て男か女か分からなかったから。

 性別欄を見て男性であると判断した。


「バーンスタイン薫さんは……覚醒者登録をしていませんよね?」


「あっ……!」


「塔に覚醒者登録をしていない方が入ることはできません。にも関わらず塔の中に入れたとなると我が国では犯罪になります」


 薫に関して未だに覚醒者登録を行っていなかった。

 薫の両親の意向もあるし、ヒーラーであることを隠すためにはそもそも覚醒者であるということからして隠していたのである。


「不法な出入国目的ではなく真っ当に攻略していたようですが犯罪は犯罪です」


 犯罪行為、という認識はなかった。

 薫も覚醒者の仲間であるし普通に塔に入って普通に攻略していた。


 だから失念していたのである。

 すごく偶然制度の穴を突くように薫が塔に入れてしまったということも実はあった。


「ですが村雨さんですしこちらとしてもただ形式的に処理するだけとはいきません。今回塔で起きたことも村雨さんの活躍で解決したようですしね。なぜこんなことをしたのかお教え願ってもいいですか?」


「分かりました……実は……」


 圭は薫のことを実はヒーラーの覚醒者であり、両親との話し合いの上で力を隠すために覚醒者登録を行っていなかったと説明した。

 世の中には登録外覚醒者と言われる覚醒者登録をしていない覚醒者も一定数存在する。


 ちょっとした過去がある人や政府機関に個人情報を握られたくないなんて人もいる。

 覚醒者登録は強制でもないので覚醒者であっても登録しなくてもいいのだ。


 そうした覚醒者登録をしていない人は基本的に覚醒者として活動できない。

 けれどゲートが未だに現れる現代においては1人でも覚醒者として活動してくれる人が多い方がいい。


 そのために登録外覚醒者でも覚醒者として活動する方法がある。

 ギルドに所属することである。


 ギルドの責任において登録外覚醒者をギルドのメンバーとして登録することができるのだ。

 重恭は薫をギルドのメンバーとして加入させる際にこの登録外覚醒者として加入させていた。


 どこまで個人情報を提出して登録外覚醒者として登録するかは各人に任されているが、一応ギルド所属の覚醒者という扱いになる。

 今回薫は顔写真と名前、緊急連絡先などを伝えて登録外覚醒者となっていた

 

 塔に入る時もギルドとして申請を出せば簡易的に名前や事前に申請のあった人数のチェック、顔写真との照会をされるぐらいで詳細なことは見られない。

 覚醒者としての情報は個人情報に当たるので緊急時以外は塔のエントランスのチェックでは見られないのである。


 そのために顔写真もあった薫は塔のエントランスのチェックでは普通の覚醒者として処理されてしまっていたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ