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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第六章

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薬草を探せ!2

「だからある程度力があって奥に入れるなら薬草探しは難しくもないんだよ」


「なるほどね」


 圭が塔の攻略を後回しにしたのもここに理由があった。

 低等級のモンスターしか出ないところなら圭たちでも歩き回れただろう。


 けれどそうしたところの薬草は取り尽くされてしまっているので時間の無駄になるだけなのだ。

 だから一度帰って強くなってからまた来ようと思っていたのである。


「D級ぐらいのところまでいけば手付かずの薬草も生えてるみたい」


「んじゃさっさと行こうぜ」


「そうだねぇ、ここにいたら性格悪くなりそうだ」


 夜滝はチラリとエントランス前を見る。


「今ならイージャス草とペトラの実、セットで安くするよ!」


「おい、こっちより安くすんじゃねえよ!」


「あ? うるせえ!」


 薬草を売っている人たちの間で険悪な空気が流れている。

 少ない客と少ない薬草の取り合いをしているので同じことをしていても仲が良くない。


 喧嘩でも始まりそうで圭たちはひとまずその場を離れた。

 前と同じく次の階へのエントランスも確認しておく。


「だいたいこの辺りまでがFからE級モンスターが出るらしいんだけど……」


 薬草を採取するということはモンスターは邪魔になる。

 だから周辺のモンスターも狩り尽くされてしまっていた。


 全くモンスターのモの字もないぐらいに姿を見ない。


「人が集まるとすごいものだねぇ」


「人の力というか欲望の力というか……」


「まあ安全なのは悪いことじゃないからね」


 夜滝たちも呆れている。

 なかなか壮絶な階だなとみんな思っていた。


 大きな扉の形をしたエントランスの横を過ぎて進んでいく。

 エントランスから離れるほどに敵は強くなって、薬草も数が増えて残っている確率も高くなる。


「ここらへんもモンスターいないな」


 カレンがキョロキョロと周りを見回す。

 木がまばらに生えた林は多少視界は悪いが四階の天気は良くて見通しが悪いとも言えない。


 モンスターの接近があったらすぐに分かるくらいの見通しは立っているのだけど肝心のモンスターの姿はない。


「まだE級ぐらいだからね」


 E級覚醒者だとまだ生活には苦しい程しか稼げない人が多い。

 モンスターの強さを考えるとぎりぎりだが薬草を取ってそれが売れれば普通に覚醒者として活動するよりお金が稼げる可能性もある。


 この辺までは覚醒者たちも徒党を組んでモンスターを倒して薬草を探すのでモンスターも薬草もないのである。

 もう少し進んでいくと木が増えてきた。


 この木の数でなんとなく出てくる敵も分かる。

 多くなると強くなる。


 シンプルな話だ。


「そろそろ警戒を強めよう」


 モンスターが出てきてもおかしくないところまで入ってきた。

 カレンと波瑠にはモンスターを警戒してもらい、残りの3人で薬草を探していく。


 探すのはイージャス草、ペトラの実、コドゥンの葉の三つ。

 どれも地面に生えているものである。


 イージャス草は紫色の小さな花を咲かせることが特徴で見つけやすい。

 ペトラの実は野いちごのような赤い実がなるのでこちらも割と見つけやすい。


 問題となるのはコドゥンの葉である。

 小さい苗木のようなものにギザギザとした葉が成っているのがコドゥンなのだがギザギザしているという特徴以外は緑の葉っぱなので見つけづらい。


 一時期普通の葉っぱをギザギザにしてコドゥンの葉として売るコドゥン詐欺なんてものまであった。


「これは?」


「葉っぱ」


「これはどうですか?」


「それも普通の葉っぱ」


 ただ圭には鑑定ができる真実の目がある。

 一応画像は見てそれっぽいものを探しているが、なかなかコドゥンの葉は見つからない。


「あれはペトラの実ですかね?」


『ペトラの実

 ペトラに生る赤い実。

 食べると渋みがあるけれどしばらく炎への耐性がつく。

 すり潰して加熱すると成分が変化して甘くなる。

 薬の材料にもなる』

 

「ああ、そうだ」


「三つ……意外とペトラの実は簡単そうですね」


 ペトラの実は一つの苗にいくつか生っていることもある。

 最初のペトラの実は運良く三つの実が生っていた。


 改めて見ると真実の目の説明って食べ物的にものを評価している感じが強いなと圭はちょっと思う。

 そうしようとは思わないけど潰して加熱すれば甘くなるならジャムなんかにもできるかもしれない。


「モンスター来たぞ!」


 地面を見て歩く圭たちに対してカレンは周りを見てモンスターを警戒している。

 ここまで平和だったけれどとうとうモンスターが姿を現した。


「なにあれ、キモっ!」


「うわっ!」


 やってきたモンスターは顔だった。

 真っ白な石にモアイ像のような顔が彫ってあって、その顔に直接手足が生えている。


 印象を一言で表現なら気持ち悪い。

 片手に剣を、そしてもう片方の手に盾を持って木々の間を圭たちの方に向かって駆けてくる。


 グロいとかそうしたものとはまた違うホラーな気持ち悪さがある。


『女神が作りし守護顔面像

 忘れられし女神が自分を守るために作り出した兵士。

 忘れられし女神を守るために動いている。

 いくつかのパーツの中から適当に選ばれ、女神にセンスがなかったせいでこんな形になってしまった。

 魔石はそこそこイケる。

 女神の力が込められているせいか割と美味い。』


 女神、美的センス悪し。

 真実の目で見てみると驚愕の事実が判明した。

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