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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第五章

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神に翻弄された悪魔と人々1

 人助けにもなる、お金にもなる、さらには少しでもレベルアップのチャンスになるならとみんなも承諾してくれた。

 しかしちょっとした問題もあった。


「大丈夫なのかい?」


「何もなければ相手も何もしてこないよ」


 上九条ゲートの攻略に圭たちは協力することにした。

 その一方でメインで攻略するギルドが大和ギルドに決まったのであった。


 大和ギルドということは北条勝利が率いるギルドであるということなのである。

 神様から聞かされた人類の裏切り者の一人である北条は単に裏切り者であるというだけではなく神に届く才能を消してきた人だという。


 圭たちはこの神に届く才能を持つ人たちの集団である。

 北条に狙われることがないのかと夜滝は心配そうな顔をしているけれど、現段階で北条は圭たちが神に届く才能があるのだと気づいていない。


 不審な動きをしなければ北条に気づかれることもないだろう。

 上九条ゲート前に圭たちは集まった。


 いつものように和輝と悠人はいないが今回は重恭もいる。


「村雨さんじゃないですか」


 バレないように大人しく仕事に専念しようと思っていたら北条が圭を見つけた。

 北条は真面目で現場の状況も自分の目で見て回っていた。


 その中で偶然圭のことを見つけてしまったのだ。

 かなりどきりとして跳ね上がりそうになった。


「き、北条さん、どうもお久しぶりです」


 けれど圭はなんとか表情を取り繕って振り返った。

 仮に驚いても日本のトップ覚醒者に話しかけられれば驚くことも不自然ではなかったかなとは思った。


「カレンちゃんも元気そうで何より。覚醒者としても頑張っているかな?」


 圭たちの胸の内など知らずに北条はにこやかに話しかける。


「じいさんにも習いながら頑張ってます」


「今日は依頼を引き受けてくれてありがとうね。君たちのことを危険に晒すようなことはしないから安心してほしい」


「はい、信用してます」


「何があるか分からないゲートの仕事を引き受けてくれて助かったよ。それじゃあ私は他にもやることがあるから」


「わざわざお気遣いくださりどうもありがとうございます」


 怪しいことはない。

 人間的にもとても良い人で裏切り者には見えない。


『北条勝利

 レベル694

 総合ランクB

 筋力A(無才)

 体力A(無才)

 速度B(無才)

 魔力A(無才)

 幸運E(無才)

 スキル:才能喰い[貸与]、リミットブレイク[貸与]

 才能:無し』


 圭は軽く頭を下げながら北条のステータスを覗き見た。

 なかなか歪んだステータスなのではないか。


 全ての才能がない。

 さらにはスキルはなんだか不穏なものであり、その上貸与となっている。


 ヴェルターの時に見た悪魔によって力を与えられた人のステータスに似ている。

 ただ能力値は悪魔に力を与えられた時のように二重にはなっていない。


 ただこのステータスを見ていて思うのは才能値もスキルも才能もないところから北条はA級覚醒者となったのだ。

 裏切りの代償に借り物のスキルを得て強くなったのだと思うと、少しだけ悲しい気持ちになった圭だった。


「どうだった?」


 圭の視線の動きからステータスを見たのだとみんなは気がついていた。


「うん、かなり怪しい感じがあるね」


 能力値はともかく貸与されたスキルというのは怪しい。


「それにしてもスキル……攻撃に使えそうな感じはないな」


 ならば北条は能力の高さのみでA級として頂点に君臨しているということだろうか。

 才能喰いやリミットブレイクは攻撃に使えるスキルなのだろうかと圭は疑問にも思った。


 何にしても今の圭たちに敵う相手ではない。

 北条は圭たちのことに気がついていないのでこのまましっかりと仕事をこなすことにした。


「ん……重たい空気」


 機材を持った圭たちはほとんど最後尾でゲートに入った。

 入ると非常に空気が重たく感じられて波瑠は嫌そうに眉をひそめた。


 かなり嫌な感じがあると圭も思っていたがどうせやることはゲートの近くで機材を操作したりサポートする役割である。

 ゲートの中には外からの電波が届かない。


 広いゲートを捜索しながら攻略するような場合情報共有ができずにさまざまなリスクが生じる。

 だが人側も進歩していて技術を進化させた。


 無線ではもちろん飛ばせなかったのでゲートの中に機械を置き、外と有線で繋ぐことで通信環境を構築することを可能にした。

 ただ電波を繋ぐための線も既存のものではなく、モンスターの素材を使用した特殊なものである。


 圭たちが担当するのはゲートの中に置かれた機械である。

 機械の護衛や操作、中継機の調整などを行うのだ。


 基本的には護衛がメインの仕事である。

 けれど場所はゲートのすぐ近くなのでモンスターが現れることはほとんどない。


「こっち手伝ってもらっていいですか?」


「はーい」


 圭たちは持ってきた機材の設置を手伝い、その間に攻略チームはドローンなどを使ってゲートの内部の情報を調べる。


「薄気味悪いな……」


 圭たちがいるのは小高い丘の上だった。

 木も少なく見晴らしがいいのである程度周りの状況は見えていた。


 少し目を遠くにやってみると町が見えた。

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