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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第五章

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歓迎、薫は男の子です

「バ、バーンスタイン・薫です! よろしくお願いします!」


「よろしく!」


「よろしくねぇ〜」


「ピピ! ヨロシク!」


 ご両親の許可も出たので正式に薫がリーダビリティギルドに加入することになった。

 なので顔合わせやお祝いを兼ねて工房にみんなで集まることにした。


 いつものメンツに加えて和輝と優斗、それに重恭も集まっていた。

 料理もいくつかデリバリーして豪勢に用意した。


「えへへ、ありがとうございます!」


 波瑠が薫のグラスにジュースを注ぐ。

 未成年もいるので和輝以外はノンアルコールだ。


「薫さん……と言ったな」


「は、はい!」


「そう緊張せずともいい。君はヒーラーなんだって?」


 和輝に声をかけられて薫が声を上ずらせた。

 若い人ばかりと思っていたのに意外だった年配者の和輝の存在に緊張している。


「ま、まだ実験経験が浅くて分からないですけどた、多分治す力があると思います!」


「……どこで見つけた?」


 和輝が圭に視線を向ける。

 野生のヒーラーなどそういるものではない。


 さらには真面目そうないいお嬢さんだと和輝は思っていた。


「たまたま運が良かったんです」


「運が良くても見つけられるものじゃないがな。だがまあヒーラーがいると戦いは大きく安定する。同等級帯なら安全に攻略できるだろうな」


 ゲートを攻略するチームとしての中身はかなり良い。

 おそらく一つ上のゲートでも通用するレベルで人が揃っていると和輝は感心していた。


「ただ他にはバレない気をつけた方がいい」


「他ですか?」


「ヒーラーは貴重だ。彼女のことがバレたらよそから声がかかるだろう。引き抜きに応じずとも煩わしさはあってしまうだろう」


 たとえ薫が引き抜きに応じることはないだろう。

 しかし応じる気がない人にとって声をかけられるということ自体面倒である。


 なので圭の能力と同じく守れるようになるまでは隠しておいた方がいいのである。


「分かりました。あとそれと」


「なんだ?」


「薫君は男の子ですよ」


「……なに?」


 和輝は波瑠やカレンとワイワイ食事を食べ始めている薫に再び視線を向けた。


「な、なんですか?」


 穴が空くほどに見つめられて薫は困惑する。


「おい爺さん! 薫困らせんなよー!」


 カレンが抱き寄せるようにして薫を和輝の視線から守る。


「い、いや……すまなかったな」


 呆けたように謝って和輝は薫から視線を逸らした。


「……本当なのか?」


「本当ですよ」


「正直言って婆さんの若い時より可愛い顔してるぞ」


「そんなこと言うと怒られますよ?」


「構わん。どうせ怒られるのも死んだ後だ」


 婆さん云々は冗談にしても何度見ても男だというのが信じられないなと和輝はうなった。


「俺はてっきりお前さんがまた女の子を連れてきたもんだとばかり……」


「人をナンパばっかりの人みたいに言うのやめてくださいよ」


 確かにこれまで女性を仲間にしてきたけれど女性を狙って声をかけているわけじゃない。

 偶然女性が才能を持っていただけなのだ。


「少しすまないことをしたな」


「目の前で言ったわけでもないですし大丈夫だと思いますよ」


「そうだな。以後気をつけよう」


 そう言って和輝は日本酒が入ったお猪口を傾ける。


「お仲間が増えましたが今後の計画は何か考えていますか?」


 圭が料理を食べていると隣に重恭が座った。

 重恭にはギルドの事務的なことを任せていて煩わしいことを一手に引き受けてくれている。


 簡単なスケジュール管理なんかもやってくれているので薫が来たことで状況の変化があるなら知っておきたかった。


「しばらく薫君の力の感じを見つつゲートを攻略していこうと思ってます。良い感じのF級やE級ゲートがあれば攻略するつもりです」


「分かりました。じゃあ探しておきます」


「なかったら自由狩猟特別区域や塔に行こうと思っています」


「チェックして良さげなゲートがなかったら早めに伝えておくようにします」


「お願いします」


 重恭自身もこうしたサポート的な役割をこなすのが性に合っているらしく塔の中にいた時よりも顔色が良い。


「圭さーん!」


「おっと! どうした、薫君?」


「僕嬉しいです! こんな風にみんな歓迎してくれて……僕を必要としてくれて」


 ニコニコと笑って薫が圭に抱きついた。


「僕頑張ります! だから圭さんも僕を捨てないでくださいね……」


「捨てるなんてことしないさ。薫君はもう大切な仲間だからね」


「えへへ、嬉しいな……」


 薫は頬を赤らめて笑っている。

 薫が嫌だとでも言わない限り圭の方から見限ることはしない。


「むー……」


「何と言うかねえ……」


 圭に対する薫の距離が近いのではないか。

 そんな風に2人の様子を見ながら波瑠と夜滝は思っていた。


 けれど薫は男である。

 男である薫が男である圭に抱きついていたところでなんてことない、はずなのだけど。


 なんとなく薫から妙な雰囲気を感じずにいられないのだ。

 女性の勘というべきか。


「僕がいれば圭さんの怪我も治してあげますから!」

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