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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第五章

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ヒーラースカウト2

 薫は大真面目な顔をして圭にたずねた。

 一瞬笑ってしまいそうになったがよく考えてみればわからない話でもない。


 あの状況から考えた時に圭が薫を覚醒させたのだと考えてもおかしくはないかもしれない。


「……ち、違うんですか?」


「ちょっと違うかな」


 言い方を変えれば圭が覚醒させたとも言えるかもしれないが圭の能力で覚醒させたのではない。


「この話は他の人には絶対に秘密にしてほしいんだ」


「分かりました。圭さんの秘密なら墓まで持っていきます」


 力強く薫は頷いた。


「実は俺は覚醒できる人が分かるスキルを持ってるんだ」


 圭は薫に真実の目について説明した。

 人の覚醒者としての才能や覚醒できることを見抜く目を持っていると聞かされて薫は驚いていた。


 そのスキルがあったから薫にモンスターを倒させたのだということと薫には凄い才能があるかもしれないことも伝えた。


「僕に才能が……」


「そう、いきなりのことで信じられないかもしれないけどね。そして今のところそうした才能を持つ人はレベルが低くて、モンスターを倒していくと強くなれるんだ」


「そうなんですか。もしかして……圭さんも?」


「実はそうなんだ。俺だけじゃなくて波瑠とカレンも。夜滝ねぇはちょっと違うけど似たような感じだよ。元はG級だったんだけど今はE級ぐらいの力があるんだ」


 実際のところ圭は覚醒した状態ではあったが能力やレベルを見た感じでは波瑠やカレンと同じスタートだろうと思っている。


「僕は……」


「薫君も覚醒したばかりだけど……」


『バーンスタイン薫

 レベル13

 総合ランクG

 筋力E(伝説)

 体力G(無才)

 速度G(無才)

 魔力D(神話)

 幸運F(英雄)

 スキル:慈愛の女神の祝福

 才能:ユーシャナの再臨』


「もう……F級だね」


 レベルの上がり方を見て驚くけれどそれもそうかと思う。

 自分より格上のモンスターのトドメを刺し、ボスクオルカンティカートの時も能力を強化してくれていた。


 ゲームなんかでも同じように最初はレベルが上がるのも早い。


「それでなんだけど……薫君、俺たちのギルドに入らないか?」


 事情を説明して口止めが一つの目的。

 そしてもう一つの目的は薫のスカウトである。


「僕が……圭さんのギルドに?」


「一応俺たちでギルドを作ってそれで活動してるんだ。同じ不思議な才能を持ったみんなでね」


 このまま押し切ればいけそうな気はしていた。

 しかし圭は薫を騙すような真似はしたくなかった。


 ヒーラーなら低級でも良いギルドに行けることやモンスターと戦えばレベルは上がるのでサポートである薫なら他のギルドでも安全にレベル上げを行えるかもしれないことはちゃんと言っておく。

 もしかしたら完全に後方支援に回されたり等級の高いゲートには連れて行ってもらえない可能性はある。


 ただやっぱり福利厚生的なところはちゃんとした大きな法人ギルドに敵うはずもない。


「でも今すぐに決めろって話でもないから」


 薫だって色々と気持ちを整理したり話を考える時間も欲しいだろう。

 クオルカンティカートのブレイキングゲートの件だってまだ片付いたものじゃない。


「ゆっくり考えてみて」


 無理に引き込んでも良いことなどない。

 落ち着いた状況になってから薫が考えても遅くはない。


 圭は薫の肩に手を乗せて微笑みかける。

 以前両親が覚醒者だと言っていたのでそちらにいくのもいいかもしれない。


 どうであれ薫の選択を尊重しようと思う。


「圭さんは……僕が入ったら嬉しいですか?」


「ああ、もちろんだよ」


「そっか……」


「お兄さん! こっちの子がオシッコしたいって!」


「分かった。他にしたい子は?」


 カレンに声をかけられて圭がそちらを向いた。


「じゃあ連れて行こう。みんなまとまって動くんだよ」


 トイレに行きたい子をまとめて圭たちで守って連れていく。


「圭さん……僕がいてくれたら嬉しい、か」


 少し耳を赤くして妖しく笑う薫。

 圭はそんな笑顔に気がついていないのであった。

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