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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第五章

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ボランティア活動4

 圭も自分は聞き上手だとは思わない。

 けれど時々こうして抱えている重たい話を打ち明けてもらえることがある。


 そういえば波瑠やカレンの時もそうだったなと圭は思った。

 2人の事情を聞いて、それから手伝うことになって仲良くなった。


「覚醒者になりたい……」


 もしかしたらと思って圭は真実の目で薫のことを見てみた。


『バーンスタイン薫(未覚醒)

 レベル0

 総合ランクH

 筋力G(伝説)

 体力G(無才)

 速度G(無才)

 魔力G(神話)

 幸運G(英雄)

 スキル:慈愛の女神の祝福

 才能:ユーシャナの再臨』


「あっ!」


「な、何かありましたか?」


 神話級の才能値を見て思わず声が出た。

 後ろに何かがあったのかと薫が振り返ったけれどもちろん何もない。


「えと……そんなに見られると恥ずかしいです……」


 薫は少し頬を赤らめて視線を逸らす。

 薫は覚醒者として覚醒できる才能がある。


 しかも神話級や伝説級の才能値まである。

 今のところ波瑠やカレンなど高才能の人の能力にハズレなし。


 なんとなくだけどスキルや才能を見る感じではサポート系の能力のようには見える。

 才能値では魔力が神話級なので少なくとも魔法タイプだろうとは思う。


 筋力の才能値も高いけど速度や体力が低いので近距離戦闘向きではない。


「お兄さん、ちょっと手伝ってくれ!」


「あ、ああ」


 覚醒者にならないか?

 そんな言葉を言いかけた圭をカレンが呼んだ。


 これはみんなと要相談案件だと圭は思った。

 どうにかもう少し薫と距離を近づけたいと思いながらも真面目に動き回る薫と2人きりになる機会もなかった。


 ぜひと梅山が言うので晩御飯も孤児院で食べて解散することになった。


「本日は助かりました。子供たちのお世話もしていただきましてありがとうございます」


「こちらとしても良い経験になりました。また機会があればお手伝いさせてください」


「何かあればよろしくお願いします」


 最後に梅山と握手をして連絡先を交換する。

 少し荷物を運ぶだけだと思っていたけど色々と手伝った。


 最後の最後までおじさん呼びだったけれど子供たちの笑顔を見ていれば気分は良かった。


「フィーネー! またねー!」


「バイバイ!」


 フィーネもすっかり子供たちに馴染んでいた。

 傷つけたりすることも警戒していたけれど全くそんなことはなかった。


「……ありがとうございます。わざわざ乗せていただいて」


「もう遅いしね。送っていくぐらいなんてことはないよ」


 すっかり辺りは暗くなってしまった。

 薫は孤児院の子ではないので帰るべき家がある。


 自転車で孤児院まで行っているということだったので空いた荷物のところに薫の自転車を乗せて、薫を家まで送っていくことにした。


「薫君、肌綺麗だよね」


 カレンと波瑠に挟まれた薫は照れたように小さく縮こまって座っている。


「何かしてるの?」


「えっと、叔母さんが綺麗な顔してるんだからお手入れはしときなさいって」


「へぇ〜化粧水とか使ってる?」


「はい。僕はあそこの……」


 後ろで肌のお手入れ話が花咲いてるなと思いながら車を走らせて高級住宅街と呼ばれる一角にやってきた。


「そこ左です」


 薫の指示で進んで一軒の大きな住宅の前で車を止めた。

 表札には加賀と書いてある。


「ここが僕がお世話になっている家です」


「はぇ〜」


「デカい家だな」


 明らかにお金持ちという雰囲気のある家だった。


「今日はお世話になりました」


「こちらこそ初めてのことばかりで不慣れだったけど薫君のおかげでスムーズにできたよ」


「色々と話も聞いてもらいましたし……また圭さんに会いたいです」


「俺もまた会いたいよ」


 個人的にはぜひとも仲間にスカウトしたいとも思っていた。

 薫の方も圭に対して好印象のようだし、夜滝たちも薫の人間性についてはおおむね良い印象を持っていた。


「あの、連絡先聞いてもいいですか?」


「もちろん」


 むしろ聞きたいぐらいだった。

 圭と薫で連絡先を交換する。


 薫は手を振って家に入っていく。

 素直で可愛らしい後輩といった感じの子である。


「……まーた口説き落とそうとしていやしないかい?」


 圭と薫の距離がちょっと近くなっているのを感じて夜滝が目を細める。


「口説いてるわけじゃないさ。ただ少し話を聞いただけだよ」


「ふぅーん?」


「薫君は男だぞ?」


「最近はねぇ、男の娘という属性もあるんだよぅ?」


「男の子?」


「知らないのならいいのさ」


 薫は男であるが本気を出せばそこらへんの女性が敵わないぐらいの力を持っている。

 孤児院の男の子でも薫が女の子だと思っている子もいたし女の子でも綺麗な顔した薫のことを好きだと言っている子までいた。


「それに薫君、神話級の才能値の持ち主だ」


「えっ!?」


「それ本当かよ?」


「うん、スキルなんかも良さそうだしもしかしたら良い仲間になるかもしれない」


「んー、とりあえず細かく話を聞かせてもらおうか?」


「細かくったって見たまんまのことしかないけどさ」


 圭は薫から聞いた個人的な話は除いて薫が覚醒者になりたがっていたので真実の目で見たところ覚醒者としての才能がありそうなことが分かったのだと説明した。


「ただ……これ以上仲良くなるのも難しいよな……」


 波瑠やカレンの時は明確な問題があって会う口実もあった。

 けれど薫に対しては圭が解決できるような問題も会う理由もない。


 ここからどうするのか中々難しいところであると圭は悩んでいたのであった。

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