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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第四章

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やはり塔は謎である3

 表示としてはウルフのリーダーを一体倒せばいいとなっているけれど話はそう単純ではない。

 ボスも様々な種類がある。


 単体で大きな力を持ち、独立した存在として君臨している個体がいる。

 一方である程度の力を持ちながら周りに自分よりも格下のモンスターを従えている個体もいるのだ。


 単体でも強くて雑魚モンスターも従えているボスモンスターもいるにはいるが圭たちが戦える相手ではない。


「ウルフ……獣系のモンスターは大体群れで動くからな」


 今回の目標であるウルフは名前の通りオオカミのようなモンスターである。

 性質も同じようなもので群れを成して行動している。


 通常の群れでもリーダー格のウルフはいるのだが今回の試練は明確にリーダーとなる強めの個体がいるのだろうと思われた。


「あとはいればいいけどね……」


「いないこともあるの?」


「うん、ここはゲートと違って消えないからね。他の人が攻略してることあるんだ。タイミング悪く他の人が倒しちゃったらウルフのリーダーがいないなんてこともあり得るらしいんだ」


 ゲートだと攻略は予約制で他の覚醒者と競合しないようになっているけれど塔は申請すれば覚醒者なら入ることができる。

 そのために攻略したい階が他の覚醒者と重なることも十分に起こりうるのである。


 低層階になるとさっさと攻略してしまう人も多い。

 けれど実力試しになるということで挑むような人結構いる。


 さらには3階のウルフは数も多く出てきたりするのでフリーの狩場のようになってもいるのであった。

 タイミング悪くウルフのリーダーが倒されてしまっていたらいくら探して見つかるはずがないのだ。


 多少の運的な要素も絡んでくるのである。


「へぇ〜」


「ただ調査によるとウルフのリーダーも3体ぐらいいて、割と早いペースでは復活するみたいだけどね」


「塔って不思議だな」


「そうだね」


 いるにしてもいないにしても探さないことには始まらない。

 今回もまずは四階へのエントランスを確認しに行きながらウルフのリーダーを探すことにした。


「こっち来い!」


 エントランスへの目印となっている旗を辿って歩いているとウルフができた。

 4体の群れで圭たちを見つけるなり襲いかかってきた。


 カレンがすぐさま魔力を放ってウルフを挑発して引きつける。

 カレンに向かうウルフを圭と波瑠で横から切り付けて倒す。


 2体がカレンに飛びかかるがウルフに飛びかかられてもカレンはビクともしない。


「おらっ!」


「ほい!」


 メイスで殴り飛ばしたウルフの首を夜滝が魔法で切り落とす。


「トドメ!」


 最後のウルフも波瑠が素早く追い詰めてナイフで頭を一突き。


「面倒さで言ったらゴーレムの方が上だな」


 カレンはメイスについた血を振り払う。

 数はいるものの戦った印象ではゴーレムの方が面倒くさいという感じだった。


 実際単体で戦えばストーンゴーレムの方が強い。

 力もあるし痛みも感じないストーンゴーレムをウルフが倒すことはかなり厳しい。


 けれど人が分類している等級ではウルフとストーンゴーレムの危険度は同じぐらいになる。

 ウルフは好戦的で素早く、何より集団で襲いかかってくる。


 どこを見るのかによって厄介なポイントも違ってくるのだ。


「魔石回収っと」


 ウルフも一応死体を持っていけば買い取ってくれるがかさばるので持っていくつもりはない。

 ただ魔石は取れるのでウルフの腹を切り開いて魔石を取り出す。


 こうしたところもモンスター解体師である圭がやる。

 といってもお腹を大きく切り裂けばいいので誰がやってもそんなに変わりがないけれど。


「コレ、タベテモイイ?」


 血で濡れた魔石を拭く仕事をフィーネにお手伝いしてもらった。

 そしたらフィーネが圭に見せるように魔石を持ち上げた。


「魔石……まあ、1個ぐらいなら」


「アリガトウ!」


 魔石なんて食べるのか?と思いながら許可するとフィーネが魔石をパクリと食べた。

 ボリボリと音をさせながら魔石を噛み砕いてフィーネの中に魔石は消えていった。


「なんでも食うな。魔石美味いか?」


「……ビミョウ!」


「ふふ、微妙なんかい!」


 ハッキリと言い切ったフィーネにカレンは笑いながらツッコミを入れる。


「マスターノリョウリノホウガオイシイ」


「おっ、嬉しいこといってくれるな」


「うん、お兄さんの料理と比べちゃな」


 カレンも料理は出来る方だと思っているが圭の方が料理は美味い。

 最近さらに料理するのでまた腕が高まった気が圭自身もあった。


「……どうやら血のニオイを嗅ぎつけてきたみたいだな」


 魔石も回収したので移動しようと思ったら低い唸り声が聞こえてきた。

 見るとウルフが3体。


「これが厄介なんだよ」


 そんなに強くないので3体のウルフもサクッと倒したのであるが圭は小さくため息をついた。

 ストーンゴーレムとは違うウルフの厄介さが出てきた。


 好戦的なだけでなく移動範囲が広く、鼻や耳もいいために離れたところの戦闘にも他のウルフが駆けつけてくるのだ。

 その点ストーンゴーレムは近づかない限りは動かず単体での戦いになる。


「なるほどなぁ。これはちょい面倒だな」


 せっかくウルフを倒したのにまたウルフがやってきた。

 カレンもようやくウルフの厄介さというものに気がついた。

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