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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第四章

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某国の接触2

 圭が得た折れた剣は価値が分からないが夜滝のホワイトフェニックスの羽やカレンのミスリルなどは欲しがる人もいる。

 声変えのアメも分からないけれど持つ人によっては危険なものになるかもしれない。

 

 簡単にこんなものを手に入れましたと言うわけにもいかないのである。

 最初はもっと軽く考えていたけれどしっかり考えると面倒な問題だ。

 言い渋る圭をヤンはじっと見ている。


「なかなか言えないですよね」


 圭の心情をヤンも察する。

 青龍ギルドもシークレットクエストをクリアしたものの何を手に入れたのか詳細には明かしていない。


 得たものを守る力を持つ青龍ギルドですら警戒をして隠しているのにほとんど個人レベルの圭たちが言って回らないことも当然である。


「言えません、なら一つ聞かせてください。剣を手に入れませんでしたか?」


「剣ですか?」


「そうです。……手に入れたようですね?」


 圭のリアクションを見てヤンは圭が剣を手に入れたことを見抜く。


「私たち探している剣があります」


「……どのような剣をお探しですか?」


「赤い剣です」


「赤い剣……?」


「私たちはシークレットクエストで青い剣を手に入れました。それは赤い剣と対をなすのです」


 そういえばと圭は思い出す。

 青龍ギルドのギルドマスターであるリウ・ウェイロンという人が青い剣を持っていたことを。


 テレビでやっていたのをチラリと見た程度だったので細かなことまでは覚えていないが特徴的な剣だったので見た目は覚えていた。

 あれがシークレットクエストで手に入れたものだったのかと驚いた。


 ゲート攻略の時に手に入れたと言っていたような話をしていた気もするがシークレットクエストを隠すための作り話だったのかもしれない。


「もし赤い剣をお持ちなら青龍ギルドで買わせていただきたい。お金に糸目はつけません」


「残念ですが剣は手に入れましたが赤い剣ではありません」


 しかし圭が手に入れたのは赤い剣ではない。

 わずかに残った刃の部分も普通の色をしていた。


「…………そうですか」


 圭の目を見つめたヤンは小さくうなずいた。

 スキルから察するにヤンはウソを見抜くような能力がある。


 圭の言葉からウソはないと判断したのだろうと思われた。


「もしシークレットクエストに遭遇することがあったり、クリアして赤い剣を手に入れたらご連絡してもらえると嬉しいです。名刺にメールアドレスがあります」


「……分かりました」


 そんな剣を手に入れることはないだろうが手にしていて青龍ギルドに狙われるぐらいなら売ってしまった方が楽だろうなと圭は思った。


「こちらをお受け取りください」


 ヤンは懐から魔石を取り出して圭の前に置いた。


「これはなんですか?」


「D級モンスターの魔石です。先ほど言った情報の対価と口止め料です」


 剣を手に入れたということは結局引き出されてしまった。

 一応必要な情報は得られたのでそうしたことに対する対価はちゃんと支払うつもりであった。


 それに加えて口止め料分も含まれている。


「赤い剣を探していることやシークレットクエストで手に入れた青い剣のことはご内密に」


「……なるほど、分かりました」


 円滑な説明のためにシークレットクエストで青い剣を手に入れたことを説明はしたがこれも公にはしていないので他で吹聴しないようにと念を押す。

 圭もトラブルは避けたいので今日聞いたことは忘れることにしようと思った。


「それではお先に失礼します」


 ヤンは夜滝たちが食べた分レシートも持って先に出て行った。


「終わった?」


「ああ……まあ心配するようなことはなかったな」


 他の国の覚醒者ということで緊張していた圭だったけれどヤンの態度は丁寧だし日本語も上手だった。

 高圧的な態度に出ることもなく心配していたようなことは一切なかった。


「しかし……どうせなら俺もちゃんとした剣が良かったな」


 記憶の中にあるウェイロンの剣は綺麗で、あんなものがあれば自分も活躍できるかなと思った時もあった。

 対して圭が手に入れたのは剣は剣でも折れた剣である。


 和輝にも見せてみたけれど折れた剣身が見つからないことには直せないと言われてしまった。

 結局しまっておくしかない。


「さて……食べ終わった?」


「まだ待ってくれ。来てないのあるんだ」


「オッケー。それ食べ終わったら塔の二階に行こうか」

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