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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第四章

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ゴブリンパニック1

「さてここら辺から探していこうか」


 半分ほど戻ってきたところから道を逸れてゴブリンを探し始めることにした。

 ちょうど森の中なのでそのまま森に足を踏み入れる。


 木の間隔はやや広めで暗い感じはなく、ジメッとしたような雰囲気もない。

 魔物さえいないのなら散歩するのにもいいところだと思える。


「おっ、出たぞ」


「でもゴブリンじゃないね」


「あれはウルフドッグだな」


『ウルフドッグ


 Hランクモンスター。鋭い牙や爪を持つが体は小さく、爪や牙も小さいために戦闘力は低い。小規模の群れを成し1体のオスの周りに複数のメスがいることが多い。

 魔石もHランクでマズイ。肉も筋張っていて美味しくない』


 まだウルフドッグは圭たちに気がついていない。

 圭は一応ウルフドッグのことを真実の目で見ておく。


 人と違って細かな能力値までは表示されないのだがモンスターの等級などの情報は出てくる。

 知っている情報と大きな差はないのだが魔石がマズイとかなんの情報なのかと首を傾げる。


 ゴブリンを倒すのは楽であるがゴブリンを倒せという試練はそう単純なものではない。

 なぜならば一階に出てくるモンスターはゴブリンだけではないからだ。


 ゴブリンだけ出てきて、ゴブリンだけを倒すのなら非常に簡単な試練であるのだが圭たちの目の前に現れたモンスターはゴブリンではなかった。

 ウルフドッグと呼ばれるオオカミと犬の間ぐらいになるケモノタイプのモンスターが現れた。


 以前ブレイキングゲートで現れたのはウルフと呼ばれるものでウルフドッグの1段階上で等級としてはFからせいぜい強くてもE級の最下層。

 対してウルフドッグはG級からF級程度のモンスターである。


 ただゴブリンと比較するとゴブリンよりは強く、野生の犬なんかよりも好戦的で凶暴である。

 こうして他のモンスターも出てくるのでゴブリンを探して倒すのも運が悪ければちょっとだけ大変になることあるのだ。


「はっ!」


 夜滝が水の魔法を使ってウルフドッグを吹き飛ばす。

 魔法をかわしたウルフドッグも波瑠が素早く処理して戦いはなんなく終わる。


「うーん、もうちょっと移動した方がいいかもな」


 塔の中でも自然の生態系っぽいものは構成されていてモンスターの場所の変動などがよく起きている。

 ウルフドッグがここにいるということはゴブリンはそれに押されてまた別の場所にいるかもしれないと圭は考えてた。


「まあ焦るもんでもないしのんびり探そうぜ」


「まあこれぐらいならどーんと来いだしね!」


 ゴブリンにしてもウルフドッグにしても戦うのに問題はない。

 少し周辺を探索して何回かモンスターとの戦闘があったけれど全てウルフドッグであった。


 今いる場所はどうやらウルフドッグが多くいるようだ。


「少し移動しようか」


 特に利益にならないのにウルフドッグばかりと戦ってもつまらない。

 等級としてウルフドッグも低いしレベルアップに繋がらないのでゴブリンを探すために場所を大きく移動させることにした。


「あっち……いや、こっちに行こう」


 一階のいいところは道があって場所の把握がしやすく移動の方向を定めやすいというところである。

 モンスターたちの環境も人工的に作った道によってなんとなく分断されている感じがある。


 道を挟んで隣の森に移動すればいるモンスターが違うということもあるのだ。

 圭はとりあえず近い方の森に行こうと思ってやめた。


 なぜならそちらの方に行くと前にヘルカトに襲われた場所が近かったからである。

 なんとなく嫌な思い出があるのでそこを避けてしまった。


「ゴブリンいないじゃーん!」


 ダブルホーンラビットからナイフを抜きながらみんな思っていたことを波瑠が叫んだ。

 何ヶ所か移動しながらモンスターを倒してきた。


 スモールラット、コボルト、ダブルホーンラビットなどG級モンスターの博覧会さながらであるがゴブリンは最初に会ったもの以外見つけられていない。

 運の悪い厄介な状況になってしまったようである。


「次は……」


 一通り一階を巡ってきた。

 次に行くならヘルカトと出会ったあの場所に近い森の中となる。


「圭?」


「……いや、なんでもないよ」


 少しぼんやりとした様子の圭を夜滝が覗き込んだ。

 近いというだけの話であるしその場所に行ったところでヘルカトもいなければゲートだってもうない。


 なんとなく嫌な印象があるからというだけで避けるべき理由があるわけじゃない。

 圭はすぐに笑顔を取り繕ってゴブリンを探して移動をし始めた。


 特に利益にもならないモンスターが多いので一階で活躍する覚醒者はいない。

 圭たちみたいに二階に行くためにゴブリンを倒すか特別配達人のような仕事をしている人ぐらいしか一階に留まる理由がない。


 そのためにほかの覚醒者と会うこともなく情報交換もできない。


「おっ、ゴブリンがいるぞ」


 少し離れたところにゴブリンが見えた。

 ようやくゴブリンを見つけられてカレンも明るい表情を浮かべる。


 みんなこんなにゴブリンを待ち望んだの初めてである。


「1体。夜滝ねぇいける?」


「任せておきなよ」


 夜滝が魔力を操って水の槍を生み出す。

 杖を振ると水の槍が勢いよくゴブリンに向かって飛んでいく。

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