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骸骨騎士様、只今異世界へお出掛け中  作者: 秤 猿鬼
第三部 人族とエルフ族
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エルフの花嫁1

活動報告にて、書籍版Ⅰ巻の購入特典に関するお知らせなどをアップ致しました。

興味のある方は覗いて見て下さい^^

 夜が明けて次の日、空は昨日のどんよりとした雲を綺麗さっぱり押し流し、抜けるような青空が広がっていた。海から吹く風には潮の香りを乗せて、港町特有の匂いが運ばれてくる。

 宿の部屋にある窓に取り付けられた鎧戸を開くと、外から街の喧噪が入り込んでくる。もう日が昇ってから随分と経っている。


 凝った身体を解すように柔軟体操をしてから、傍に畳んで置いてあった黒の外套を荷物袋に放り込むようにして仕舞う。今回はアリアンの護衛騎士と言うスタンスなので外套は纏わない事にした。多少目立つだろうが、それは致し方ないだろう。

 既に目が覚めてお座りしているポンタが、首を傾げて此方を見上げていた。


「さて、面会に応じて貰えるかどうかだな。行くか、ポンタ?」


「きゅん!」


 返事をしたポンタが軽くジャンプして魔法で風を起こすと、その風に乗っていつもの定位置である兜の上に貼り付くのを確認してから部屋を出る。

 隣の部屋のアリアンを呼ぼうと思っていたら、ほぼ同じ様なタイミングでアリアンが廊下に姿を現した。


「おはよう、アーク。随分と目立つ恰好してるわね」


「今日はアリアン殿の護衛騎士であるからな」


 朝の挨拶を交わしてから、二人で宿を後にする。

 昨日は宿をあちこちあたって移動したので、現在いる位置は昨日潜った南寄りの街門近くではなく、中央街門近くの宿屋街にいた。宿を出て通りを西へと向かって進むとやがて第一水路にぶつかる。その水路沿いの道を南へと進み、大橋を渡って旧市街区と呼ばれる区画へと入る。

 第一水路と第二水路に挟まれた新市街区と違い、歴史と呼べる長年の風雪に耐えたような色味をした石造りの街並みが広がっている。建てられている家の敷地も新市街と違い幾分か大きいようで、脇にある街路もゆったりとした幅が設けられている。


 やがて大通りを進んで行くと道がやや登り坂となり、突きあたりに大きな城壁と門が見えた。背の高い城壁の後ろにはさらに背が高い城の威容が目の前に広がっている。足元にある門の前には衛兵達が整然と横に並び周囲に睨みを利かせている。

 そこへアリアンより前に出て近づいて行くと、向こうも此方を視認したのか、警戒は怠らずに居住まいを正した。


「すまぬが、こちらの領主であるペトロス殿の奥方になられた方との面会をお願いしたい」


 衛兵の一人が前に進み出て此方を下から上まで視線を滑らし、兜の上で目が止まった。あからさまに不審な目を向けられて頭の上に乗っていたモノを思い出した。ポンタを頭から一旦下ろそうかと思案していると、目の前の衛兵の男は訝しげな表情を隠す事もなく此方の身元を尋ねてきた。


「申し訳ありません、何処のどちら様でしょうか?」


「我らはカナダ大森林よりの使者である。重ねて奥方への面会をお願いしたい」


 とりあえず名乗りを上げると衛兵の男は首を傾げてから、不快そうに眉根を寄せて口を開こうとした。しかし、奥にいたもう一人の衛兵が手前の衛兵に駆け寄り何かを耳打ちする。


「エルフであると言うならその兜を取って名乗って頂こうか」


 耳打ちされた男はそう言ってさらに前に出てきて此方を睨む。そこへ後ろで一連のやりとりを見ていたアリアンが前に出て来て、被っていた灰色の外套のフードを取り払った。

 陽光に照らされた彼女の白い長い髪が街に吹く潮風にのって、銀糸のように舞う。やや尖った耳と薄紫色の滑らかな肌、金に輝く瞳が表に晒されると、目の前にいた衛兵全員が息をのむが分かった。衛兵だけではない、周囲でこちらのやりとりを見ていた住民達からも一様に驚きの声でざわついているのが聞こえる。


「あたしはカナダ大森林より来た使者、アリアン・グレニス・メープル。奥方にお取次ぎ願う」


 静まった街角で彼女の透き通るような朗々とした名乗りが響く。衛兵達は互いに顔を見合わせてしばらく対応を思案するように固まっていたが、ようやく再起動したように声をあげた。


「領主様にご報告!」


「は、はい!」


 一人の伝令役であろう衛兵が、慌てて門に設置された小さな扉を潜って中に入っていく。一連のやり取りを眺めながら、つい最近見た光景だなと肩を竦める。

 衛兵達の様子を見ていたアリアンは、再びフードを被り直すと後ろへと下がった。

 領主への伝令が走っている間、ずっとこの門の前で待たされるのかという思いを籠めて目の前の衛兵に顔を向けるとやや目を逸らされた。使者と名乗っているとは言え、約束も無くいきなり訪れている身としては我慢するしかないのかと内心で嘆息する。


 しばらくすると城壁の内側から号令が掛かり門の片側が重々しい音を立てて内側へと開いた。中から先程の伝令役の衛兵が姿を現すと、敬礼してこちらへと返事を返してきた。


「ペトロス様がお会いになるそうです!」


 その言葉に門の前に陣取っていた衛兵達が、道を空けるように左右に別れた。

 自分で提案しておいて今更だが、こうもあっさり領主と面会出来るとは思っていなかった。やはり人里でエルフ族が姿を見せる事そのものが少ない為に、アリアンの容姿だけで妙に説得力があるのかもしれない。

 奥から一人の老紳士が顔を出して恭しく礼をとると、顔を上げてアリアンと自分の順に見やると、落ち着いた口調で此方に向って尋ねてきた。


「あなたは護衛の方でしょうか?」


 それに首肯すると、老紳士は頷き返して中へ入るように促された。アリアンに目を向け彼女を先にやり、自分も後から片側の開いた門から城壁内へと入る。

 老紳士の先導に従い大きな中庭を通り、聳え立つ城の正面玄関を潜って内部へと入ると、そこは吹き抜けのホールになっていた。磨き上げられた大理石の床に正面の壁には巨大な壁画、装飾の施された柱や梁に加えて天井からは大きなシャンデリアが下がっていて煌びやかな内装だ。


 両脇に設けられた階段の一つを使って二階へと上がる。

 二階の正面入り口を潜り、先程よりは小さな中庭が両脇に見下ろせる廊下を渡り、さらに奥へと進んで行く。その進んだ先の割と広々とした一室に通されると、老紳士は主人を呼びに行くと言って礼をしてから部屋を出て行った。


 周りには贅を凝らした調度品が品良く並べられており、部屋の格式を上げている。大きな街で財力があるからか、ブランベイナで見た城内よりもより宮殿や城といった趣がある。

 アリアンは用意された席に着き、自分は護衛らしく後ろに控えて腕組みをして待つ。外交官は偉そうなイメージがあるので間違っていないと思うが、ちょっと違うだろうか?

 後ろ手に組んでみたり、直立不動になってみたりと姿勢に対する思案をしていると奥の扉から一組の男女がやって来た。その後ろには先程の老紳士も控えている。


 部屋に入って来た男が恐らくここの領主なのだろう。金髪碧眼でややウェーブの掛かった前髪を気怠げに掻き上げる仕草を見せながら笑い掛けてくる。妙に白い歯を輝かせるような笑みと、こちらへと向かって来るその足取りは軽やかだがやや気取っていて、領主というよりは歌劇の役者のようだ。

 領主であろうその男は手前まで歩みよって来ると、その場で華麗に回って見せて止まる。

 何故回った?

 そんな疑念を頭に思い浮かべていると、男の方が先に口を開き名乗りを上げた。


「お待たせしてしまったかな? 僕がこの地を治める領主、ペトロス・ドゥ・ランドバルト。二十歳、新婚さ!」


 ペトロスと名乗ったその領主の男は両手を大きく広げながら華が咲くような笑みを浮かべる。まるで少女漫画に出てくる王子様のような雰囲気だ。だが名乗りの後に妙な自己紹介を挟んでくる。

 呆気にとられていたアリアンの足元へペトロスが進み出ると、その足元に跪くようにして彼女の手を取り彼女を見上げる。


「これはこれは、なんと美しい使者殿だろうか。ようこそ我が城へ──」


 ペトロスの歓待を述べる言葉を後ろから空咳で遮ったのは一緒に来た女性の方だった。裾の長い淡い翠のイブニングドレスに身を包んだ女性、翠がかった金髪と長く尖った耳、翠の瞳は紛れも無くエルフの特徴だ。線の細いスレンダーな体型でありながら身長が高く、色白の肌を持つ彼女はドレス姿がなかなかに映える。

 一見した限りでは無理に従わされているといった雰囲気は無い。静かに微笑みを湛えて領主を名乗ったペトロスという青年の横に付き従っている。


 ペトロスは彼女の遮りに気付くと、やおら立ち上がって向き直ると、きらきらとした笑顔をその彼女に向ける。


「すまない、トレアサ。一番美しいのは勿論君さ! でもこの世の女性は皆美しい、僕は只その美しい花を賛美したまでの事、許しておくれ」


 まるで歌劇の役者のような手振りを加えながら、トレアサと呼ばれたそのエルフ女性の手を取り、その甲に軽く口づけをして微笑む。これが素だとすればかなりの変わり者だ。

 彼女の方はと言えばそんな彼の言動に慣れているのか、少し肩を竦めて見せただけでこちらに向き直って軽く頭を下げてきた。


「遠い所からわざわざありがとうございます、まさかメープルからの使者が来るとは思いませんでした。私はトレアサ。今はトレアサ・ダリネ・ランドバルトを名乗らせて貰っています」


 そう言いながらアリアンのいる目の前の席にやって来る。後ろでは夫であるペトロフが嬉しそうに椅子を引いて彼女を席に着けると、その横の席に腰を落ち着けた。

 自分も彼に倣いアリアンの椅子を引こうとしたが、彼女はさっさと自分で席に着いてしまった。当の本人はそんな事には頓着する事無く、目の前の二人に自己紹介をした。


「初めまして、あたしはアリアン・グレニス・メープル。そして後ろにいるのは護衛のアークよ」


「アークと申す。以後見知りおきを」


 やや恭しく腰を折って礼をすると、トレアサは物珍しそうな目で此方を見る。ポンタは今マントに貼り付いているので向こうからは見えない筈だが、何か目を引く物があっただろうか。


「いやいや、さすがはエルフの騎士だね。人の世の騎士など霞む程の美しさだ」


 ペトロスは此方の姿を見て目を細め、笑い掛けるようにする。成程、『ベレヌスの聖鎧』のせいかと自分の纏っている一際豪奢な鎧に視線を落とすと、肩口でポンタと目が合った。

 トレアサも何かを言おうとしたが、機先を制したのはアリアンだった。


「早速で悪いのだけど、あなたはここの領主である彼と結婚したと聞いたのだけど……」


 彼女の金色の双眸が探るようにトレアサに向けられる。トレアサも気を取り直し、その事を聞かれる事を承知していたのか薄く笑って頷くと、傍らにいるペトロスに見やる。


「ええ、事実よ。一月程前に私達は夫婦になりました。色々あったのですけど……」


 ペトロスとトレアサ、二人は自然とテーブルの上で手を取り合う。二人が見詰める間に割って入るのが難しいような空気が生まれるが、アリアンはそれを不思議そうな目で見ながら首を傾げた。

 二人の雰囲気を見る限り強制的にという線は限りなく低いように見える。


「あたし達はエルフ狩りをしていた連中の足取りからここへ来たわ。ここへ来るまで、あなたはてっきり捕まっているものと思ってたのだけど?」


 アリアンは二人の甘い空間に頓着なく踏み込むと、トレアサに疑問を投げ掛けた。

 それを聞いた二人は取り合った手を離し、互いに居住まいを正した。


「やはりあなたは使者ではなく、救出の為に派遣された戦士の方だったのですね」


 さほど驚いた様子もなく、むしろ納得したようにトレアサが頷く。


「そうですね……、たしかに私はエルフ狩りに遭って囚われ、売られてこのランドバルトの地に連れて来られました」


 当時の事を思い出すかのように視線を宙に彷徨わせ、彼女は僅かに眉尻を下げる。


「彼女を買ったのは僕の父である前領主さ。まさか王国で取り決めた条約を破ってそんな事していたなんて、露程にも思っていなかったからあの時は本当に我が目を疑ったよ」


 トレアサの告白を聞いていたペトロスは、やや自嘲気味な笑みを浮かべて力無く項垂れる。そんな彼を心配そうな表情でトレアサは見やる。


「待って。その買った張本人である前領主、ルンデス・ドゥ・ランドバルトはどうなったの?」


 アリアンはやや混乱した頭を振って彼女に説明を求めた。しかし、それに答えたのは横に居たペトロスの方であった。


「父は今城内の一画に幽閉してあるよ……。王国法に背いていたという事で僕がそれを追及して実権を握った形だ。本当はこんな醜聞を軽々に話していい事ではないのだろうけど、彼女の母国であるエルフの国からの使者殿が来たとなれば、事実を包み隠すのも憚られるしね」


 やや困ったような表情を浮かべたペトロスは、彼女との結婚した経緯を語ってくれた。


 彼の話によれば彼女がこの領地に連れて来られたのは約一年程前、前領主のルンデスが城下の奴隷商を通じて購入してきたらしい。それを目撃したある人物がペトロスに話し、それが元で彼は王国法を根拠にして父親に反旗を翻して、実権を握る争いが起こったという話だった。

 話だけを見れば王国側に今回の一件が漏れないように画策したように見えなくもないが、それならば証人であるエルフのトレアサを手元に置いておく必要はない。


「それで何故、彼と結婚する事になったの?」


 アリアンは彼らの話がどう繋がっていくのか見えずしきりに首を捻っているが、理解には努めようとしているのか真剣に二人の話を聞いている。

 すると突然ペトロスが席を立ち、歌い上げるようにその時の状況を語りだした。


「簡単な話さ! 囚われていた彼女を一目見た瞬間、僕はもう恋に落ちていたのさ! 僕の心は永遠に君の愛を求める哀れな虜囚さ──」


「うふふ、ペトロスったら……」


 大仰な身振り手振りでペトロスが吟遊詩人のように愛を囁くと、トレアサも頬を朱に染めて彼と見詰め手を取り合う。まるで何処かの歌劇を見ている気分になってくる……、ここは自分も急に歌い出す場面なのだろうか?


 後ろに控えている老紳士は、何処か嬉しそうに目を細めながらそんな二人の様子を見ている。

 この手やり取りに慣れているのだろうか、自分としては軽く胸やけを覚えるのだが、当の本人達はこちらの事など目に入らないのか、二人だけの世界を創りだしている。

 目の前でそんな様子を見せられているアリアンは、呆気にとられたように驚きの顔をしてから(かぶり)を振っていた。


「……あなたはそれでいいの?」


 ようやく絞り出すような声でアリアンはトレアサにそれだけを聞く。その表情には彼女を純粋に心配しているのが見てとれる。

 人族とエルフ族が共に暮らす事への心配だろう。カーシーの前例が無ければ彼女はもっと反対していたかもしれない。

 だがここでの心配は両者の寿命の問題だろうか? たしかエルフ族は四百年程だと聞いた、対して人族のペトロスはどう頑張っても百年。否、医療体制の貧弱なこの世界ではどう頑張っても六十年生きられれば大したものだろう。先に逝くのはペトロスである事は間違いない。しかし、それはアリアンも当の本人であるトレアサも承知しているのだろう。

 見つめ合う二人の様子を見るに、答えはだいたい予想がついている。


「ええ。私が決めた事ですもの」


「あなたがそれでいいと言うなら、あたしからは何も言う事はないわ……。もし両親などがいるなら言伝を預かるわ。どこの里?」


 やや複雑な思いを表情に浮かべたアリアンだったが、トレアサの意見には一定の理解を示したのか彼女の両親や里の事について尋ねた。


「里はミルエストよ。小さな里です」


「ミルエスト、……ね」


 その里の名を聞いたアリアンは何か覚えがあるのか、若干引っ掛かったような返事を返した。それを訝しげに首を傾げたのはトレアサで、目でそれを尋ねる。


「その里を含めた幾つかの里は大きい里に統廃合されて、今はもう無いわ」


 その言葉にトレアサは少し驚いた表情をしたが、すぐに寂しそうな表情に変わり目を伏せた。

 そう言えば人里近くの小さな里は吸収合併されたと、アリアンの母親であるグレニスからも聞いた気がする。

 アリアンは憂いを見せたトレアサの心情を慮ったのか、話題を変える為に彼女に別の質問を投げ掛けた。


「ところで、前領主が幽閉されたのは聞いたけど、奴隷商はどうなったの?」


 その質問にトレアサは答えず、目線を静かに隣のペトロスへと移した。


「あぁ、その奴隷商なら既に主だった者には刑を執行してあるさ。……ただそこは父の便宜でかなり裏にまで幅を利かせていたみたいでね、こちらの摘発に気付いた横の系列商などが壁外に逃れて今は近くで盗賊になっているんだよ」


 腕組みをしたペトロスは眉根を寄せて苦笑する。


「裏を取り仕切っていた大きな店の摘発で、今城下の街でも勢力争いなどもあって、壁外には盗賊と、……頭が痛いよ」


 領主であるペトロスの話に出てきた盗賊と聞いて、この街に来る前に若い傭兵達を襲っていた連中の事を思い出す。アリアンもそれに気付いたのか此方を振り返り目が合った。


「ふむ、その盗賊連中かは分からぬが、昨日この街へ来る際に若い傭兵達が盗賊を幾人か捕縛しておったな……」


 此方の話を聞いたペトロスはそれに頷いて話を引き継ぐ。


「たしかに昨日新たに十人程捕らえたとの報告があったよ、まぁこれでようやく手配した数の半分を超えたって所だけどね……」


 ペトロスは深く溜息を吐いて椅子に深く腰掛ける。そこへトレアサが静かに身を寄せて彼に何かを耳打ちすると、ペトロスは一瞬驚いた顔してから頷き、此方にまた身を乗り出して視線を合わせてきた。


「実はその事にも少し関係がある話なんですけどね、御二人に折り入ってお願いしたい事がありまして──」


「待って下さい」


 ペトロスが口を開き話し始めたのを横から遮ったのは、彼に話を持ち掛けたであろうトレアサ本人であった。


「これは私からのお願いなので、私からお話し致します」


 真剣な表情をしてこちらに顔を向けると、静かに口を開いた。


「御二人にお願いしたいのは、ある人を探して欲しいのです」


誤字・脱字などありましたら、ご連絡宜しくお願い致します。

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