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曹操が死んだ日、俺は『曹昂』になった。─『宛城の戦い』で死んだのは曹昂じゃなくて曹操だったけど、これから俺はどう生き残れば良いですか?─  作者: 久保カズヤ@試験に出る三国志
第三章 曹昂の嫁取り

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52話 徐州侵攻


 曹昂軍、総勢二万。そのほとんどが兗州の有力者達からかき集めた兵である。

 攻められたのだから、今度は攻め返す。その単純かつ明快な目的が、兵の士気を高めていた。


 史実であれば、呂布討伐に従った主要な軍師は、荀攸と郭嘉であった。

 しかし郭嘉は今回、本人の希望で許昌に残ることとなっている。その理由は二つ。


 郭嘉が取り扱うのは「謀略」であるため、袁紹の干渉を防ぐべく、許昌に残った方が良いとのこと。

 加えて袁紹は「荀彧・郭嘉・董昭」を快く思っていないため、彼らに軍功を上げさせない方が良いとのこと。


 故に荀彧と郭嘉は許昌に、董昭は濮陽にてお留守番。連れている軍師は荀攸のみ。

 武将に関しても古参の武将は留守役となり、特に夏侯惇は洛陽、于禁は兗州の管轄を受け持ってもらっている。


「いちいち袁紹に配慮しなくちゃいけないなんて、本当に面倒な話だな」


「呂布の油断を誘う狙いもあります。新参の将兵達の器量を試す、良い機会だと割り切りましょう」


「それで、董昭に預けていた陳宮の身柄はどうしている」


「陳宮とかつて親しかった豪族らに代わる代わる説得を行わせていますが、口を利きません。私としてはもう首を刎ねた方が良いと思うのですが。殿はそこまでして陳宮を臣下にしたいと?」


「ここで首を刎ねたら、せっかく味方になってくれている豪族らが不満を抱く。彼らが寝返ってくれたのは、あくまで陳宮を助けたかったからだ」


「ですが、陳宮が靡くとは思いませんが」


「だから豪族らに説得をさせてるんだ。もはや陳宮を説得しても無駄だと分からせるために。分からせた後に、斬る」


「なるほど」


 ここで陳宮が臣下になると頷いたとしても、あの気性だ、俺に尽くしてくれることは無いだろう。

 あくまで名目上は朝臣として重んじながら、ガチガチに警戒の網を張らなくちゃいけない。


 多方面に配慮しながら、処遇を決める。

 陳宮という男には、それだけの対応をしないと駄目だということだ。


「それで、荀攸。軍の配備だが、どうなってる?」


「大将として将を束ねるのが劉延将軍。その補佐に曹仁・夏侯淵将軍がつきます。先鋒は路招将軍、副将に侯成将軍。輜重隊を李典将軍が。そして私の補佐かつ工兵の管轄が杜襲殿です」


「曹仁が補佐となると、虎豹騎(精鋭騎兵)は誰の指揮下に?」


「曹仁将軍の弟である曹純将軍です。また虎士(精鋭歩兵)は許チョ将軍の兄である許定将軍が指揮します」


 三国志オタクあるあるだと思うんだけど、こういう軍の管轄者を聞いてるとテンション上がるよね。

 知ってる人の名前が出てくるだけでニコニコになっちゃう。


「とはいえ、呂布と戦う前に、まずは小沛を攻め落とさないとな」


「左様。そしてこの地を守るのは、徐州で最たる名士の陳珪殿ですね」


「うん? 確か、陳珪っていうと」


「はい、呂布の信頼を得ながらも我々と内通している御仁です。彼のおかげで呂布軍の内情は、今やこちらに筒抜けですね」


 となると、小沛はもう攻略済みということになるのか。

 陳宮の居なくなった呂布陣営の崩壊が、これほど早く進んでいるとはな。



 小沛は事前の交渉のおかげか、すんなりと明け渡されることとなった。

 陳宮の捕縛後、その穴埋めを担っていたのがこの陳珪であったらしいのだが、そんな重臣すら寝返った。


 これは呂布にとって相当な心的ダメージを与えることになるだろう。

 戦闘もないままに手に入れた城を見渡しながら、呂布のことを思うと少し気の毒になってきたほどだ。


「曹車騎、お初にお目にかかります。陳珪と申します」


「此度の協力、まことに感謝しております。貴方の協力なくば、数多の命が無駄に失われていたでしょう」


「老い先短い身です。この目で乱世の終息を見たいと、切に願った上での判断で御座います」


 杖をついた、こじんまりとしたご老人である。だが、その智謀は未だ衰えを知らないらしい。

 先の呂布と袁術の戦において、戦術を練ったのもこの陳珪であると聞いている。


 勿論、呂布の武勇が優れていたのは間違いないが、それを十二分に活かし、袁術軍を壊滅に追い込んだ戦略は、全てこのご老人が描いた絵図であったとか。


 俺はそんな賢者の手を引き、ゆっくりと歩幅を合わせ、用意した椅子に座らせる。

 その傍らで膝をつき、視線の高さを同じくして、話を聞くことにした。


「曹車騎、呂布は手強いですぞ。まず、野戦では勝てぬ」


「存じております」


「地の利を得て、決して平野に出ず戦うのが定石です。とはいえここから彭城までは平野が続きます、如何なされますかな」


「私は呂布のように勇猛な武将ではありません。むしろ臆病者です。それが故に、事前の準備に全力を費やしております。決して負けはいたしません」


「ふぇふぇ、それを聞き安心しました。初戦に勝てば、劉豫州との合流が叶います。呂布を下ヒまで追い込めば、南方に居る儂の息子も合流出来ます。よいですか、全ては初戦ですぞ」


「ご助言、感謝いたします」


 静かな闘志が胸に宿る。呂布と戦う、それだけで恐ろしさに身がすくむ思いだ。

 この恐怖は、勝利でしか払拭できない。何が何でも勝たなければならないと、覚悟を決めた。



・陳珪

徐州下邳国を代表する名士。袁術とは古くからの友人関係にあった。

しかし帝位を僭称した袁術を批判し、決してその下にはつかなかったとされる。

呂布配下になりながらも曹操や劉備と通じ、朝廷のために働いた策士。


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