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曹操が死んだ日、俺は『曹昂』になった。─『宛城の戦い』で死んだのは曹昂じゃなくて曹操だったけど、これから俺はどう生き残れば良いですか?─  作者: 久保カズヤ@試験に出る三国志
第三章 曹昂の嫁取り

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51話 頑張りましょう


「なんであんなこと言っちゃうんですか!? 戦をやらなくちゃいけなくなったじゃないですか!!」


「あの、荀彧さん、そんなに怒んないで……」


「怒りますよ! 戦は思い付きでやるものではなく、計画を重ねて起こすものであり」


「まぁまぁ、文若殿。良いじゃないですか、呂布を討つなら早い方が良い。幸い宴会や儀礼の短縮で費用も浮いたわけだし、袁紹も兵糧を届けてくれるみたいだし」


「お前は事務をやらんから気楽なことを言えるのだ、奉孝!!」


 だって宴会が数日も続くとか言われるもんだから、もうたまらなくなったんだもの。

 それに、俺の演説もどきが予想に反して参列席の皆々様の心を掴んでしまったらしい。


 良かれと思ってさぁ「悪役『董卓』と懸命に戦った我々!」みたいなストーリーを展開したわけなんだが、どうやらこれが袁紹陣営の関係者らにとってパワーワードだったみたい。


 宴会だけどご時世的にあんまり盛り上がるのも良くないよね? って言いたかっただけなのに。

 あの場で陛下も空気に飲まれて、呂布討伐の勅命を言い渡すもんだから、後には退けなくなっちゃって。


「そもそも奉孝、お前が呂布討伐の機会は、劉備が追い詰められてからだと言ってただろう」


「まぁ、そうだけど、でも袁家と同盟を結んだ以上、この徐州問題に袁紹が介入する恐れもある。だったら先手をこちらでうつべきかと」


 徐州の更に北側にある青州。ここを統轄するのは袁紹の長男である「袁譚」だ。

 袁譚と劉備は旧知の仲であり、ウチと袁家が手を結んだ以上、袁譚が徐州に介入してくる可能性が高い。


 そうなる前に何が何でもこの手で呂布を討たないといけない、というのが郭嘉の意見だ。

 確かに、言われてみればその通りだな。だったら結果オーライなのかな。良かった良かった。


「ですが殿、この戦で一つ問題が」


「問題?」


「まだ呂布の兵は多く、包囲を行うためには呂布を一度、野戦で破らなければなりません」


「……あの、呂布を?」


「はい。野戦で勝ち、戦線を押し込めば、包囲出来ます。そうなれば如何に呂布とて抗えません」


 嫌でも、朱霊将軍の顔が思い出される。史実も含め、非常に優秀な勇将であった。

 そんな朱霊が騎兵隊を防ぐべく幾重にも罠を張っていた。しかし呂布には何の意味も成さなかった。


 呂布は僅か数十騎で戦の流れを変える力がある。袁術の惨状を見てもよく分かる。

 そんな呂布を野戦で撃ち破るなど、とてもじゃないがイメージ出来ない。


「そんな、簡単に言うなよ」


「その呂布に抗うために、殿は此度の論功行賞にて高堂憲を大いに評価し、陳留郡に工房を増設したのでは?」


「どのみち、やらなくちゃいけないことだと、そう言いたいのだな」


「その通りです」


「殿、それで出陣の期日は、軍部ではどうなっていますか」


「あ、えっと、たぶん十日後には」


「はぁ!?!?」


「ひぃ」


 マジで怒ってる荀彧の顔は本当に怖いです。

 なぜか横でヘラヘラしてる郭嘉に、ちょっとムカついてくるレベルで怖い。



 細く長く、そして少し冷えた指が俺の頬を撫でる。

 眼前にはどこか物憂げな表情を浮かべる美女「袁瑛」が居た。


「良かった。少し、顔つきも穏やかになられましたね」


「いつも瑛殿に謝ってばかりだ。折角の婚姻であったのに、随分と手短な日程になってしまった。本当にすまない」


「数日前の貴方の顔は、あまりにも険しかった。陛下の前での宣誓の件を聞き、あぁ、この人は本当に天下のことを案じられておられるのだと、私は初めて分かりました」


 よかった、上手く勘違いしてくれてる。

 あれが筋肉痛だってバレたら、恥ずかしいことこの上ないしな。


「俺はこういう男なのです。もしかしたら瑛殿を幸せには出来ないかもしれない」


「いいえ、貴方は天下に幸せをもたらす御方。私だけがそれを独り占めしようとすれば、天罰が下りましょう」


 初めて会った時とは打って変わって、今の袁瑛さんはやけに距離が近い。

 郭嘉なら今すぐに押し倒せとかいうんだろうけど、俺にも許容量というものがあってだな。


「またすぐに、戦に出なければならない」


「存じております……ただ、不安なのです。どうか無事に帰ってきてください」


「気にしておられるのですか? 過去のことを」


 袁瑛は過去に二度も、婚姻間もなくして夫を亡くしている。

 恐らくだがそれを気に病んでいるのだろう。疫病神なのかもしれないと。


 まだまだ医療も発達してないし、疫病に戦乱に、多くの危険が襲ってくる時代だ。

 不幸も偶然のものだろう。そんなもの気にしたってしょうがない。


「私の過去を、ご存じかと思います。私がどういう女なのかも、だから、だから」


「瑛殿、過去の話はどうでもいい。今の貴方の夫は、この曹昂だ。他の男の話はしないでください」


「え、あ……」


「嫉妬してしまいますから」


 えぇい、ままよ! なるようになれってんだチクショウめ!!

 袁瑛さんの袖をグイと引き寄せ、その細い腰を抱き、広い寝台に倒れこむ。


 目の前には茹で蛸のように顔を赤くした袁瑛さんが、これまた蛸のように口を尖らせ、ギュっと目を瞑っている。


 もしかして、もしかしてだけどさ、この人もさ、マジで経験無い人なんじゃないの?

 いやいや、そんなことありえる? 分かんないけど、分かんないけどさ、ここまで来たら退けないですよねぇ……


「さぁ、どうぞ! 私、頑張りますから!!」


「わ、分かりました。頑張りましょう!」



・董卓

西方にて異民族の侵攻を阻んでいた百戦百勝将軍。当時、最強の軍閥を有していた。

その軍事力を背景に混乱する朝廷に乗り込み、田舎武将ながら権勢を握った。

そんな粗暴な田舎者が許せなくて、反董卓連合を組んだのが袁紹や曹操です。


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