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35話 士気と食事

そういえば第二章は「40話」で区切りとなりますよん(*'ω'*)!


「陳大将、宋憲将軍率いる部隊が東阿とうあの占領に成功したとのこと。おめでとうございます」


「それは良い知らせだ。あれは以前の戦役においてこちらに付かなかった地だ。程昱の出身地でもあるしな」


「このまま濮陽まで落としてしまいましょう」


「まぁ、侯成将軍。そこまで焦らずとも良い。それよりも気になるのは劉備だ」


 かなりの人手を割いて兗州を探らせたが、劉備が今どこにいるのか、その尻尾は掴めなかった。

 恐らくだが早い段階で兗州を脱していたのだろうが、足跡もないとなると、徐州へ直行したわけではなさそうだった。


 となると青州か。


 陳宮は地形図を見ながら唸る。あの地は袁紹の長男である袁譚の治める土地である。

 そして袁譚を青州の長官にするよう、朝廷に推挙したのが劉備であった。


 この縁からして、劉備が青州へ迂回路を取ったとしてもおかしい話ではない。

 ただ、これでは劉備の足跡が辿れない。それが今の、陳宮の悩みの種でもあった。


「徐州北部を占める臧覇と盟約を結んだとはいえ、信用ならん」


「されど臧覇も、時勢の分からぬ男ではありますまい。それに主力部隊を留守に置いておりますし」


「それもそうだな。そういえば、定陶攻めの件で何か報告は来ていたか?」


「あまり戦況に動きはないみたいですね」


 呂布自ら敵将の朱霊を討ち取るも、こちらは先鋒を担っていた魏続将軍が巨大な弩に撃ち抜かれて戦死。

 その後は攻城戦に移るが、やはり敵軍の新兵器である弩砲があって近づきづらくなっていた。


 そこで呂布は城を完全に包囲して、連日連夜、城外から挑発を繰り返したり、騒ぎ立てたりしているらしい。

 時間が経てば経つほど、兗州各郡はこちらに靡いてくる。故にゆっくりと攻城に腰を据えているのだろう。


「なれば我らが濮陽を落とせば、定陶もすぐに崩れるだろうな。それに、曹昂は若い。この攻囲に参っているのではないか?」


「いや、それがですね……」


「うん?」


「間者の調べでは、案外、活き活きとしているとのこと。兵の調練に参加したり、武闘大会を開いたり、料理人を競わせたり、多様な娯楽で兵の士気を保っていると」


 苦い顔をして報告書を読む侯成の言葉に、陳宮は口をぽかんと開けて、首を傾げていた。



 今までこう、色々と戦役を経験してきたわけだけど、そこで分かったことが一つある。

 生きるのがツラくなるレベルで「飯がマズい」! もうそれに尽きる!!


 アワとキビを混ぜ込んだ粥に、塩漬けにした豆を混ぜ、おかずはノビルやニラの漬物だけ。

 牛は殺すと天罰が下るとか言われているらしいし、動物の肉は高価で本当に手に入らない。


 最も過酷な戦地に立つ、それこそ重装歩兵などには、羊や犬の干し肉が稀に配られるが、その程度だ。

 後は、兵士達が道端などでタニシやカタツムリを拾って食っているくらいじゃないか?


 これじゃあ兵の士気も上がらない。

 飯がマズいと人間は死にたくなってくるものだ。


 まぁ、こんな時代だ、食えるだけで喜ぶ人も多いから、なんとか成り立っているんだろう。

 訓練・食事・生活環境・娯楽・祭祀・正義などなど。兵の士気を保つために必要なモノは多い。



「まぁまぁ、于禁将軍、そう言わずとも参加してみてくださいな」


「殿、これは遊びではないのですぞ! 戦場の只中で、何をやっておられるのですか!?」


「ほぅ、于禁将軍ともあろうお方が、たかだか力比べに負けるのが怖いと?」


「馬鹿を言わないでいただきたい。私は死すら恐れません」


 戦場ではあんなにどっしりとして頼もしいのに、子供だまし程度の挑発に引っかかるの何なん?

 于禁は衣服を脱いで上裸となり、土俵へと上がる。対するは、精鋭歩兵部隊である虎士の部隊長だ。


 というわけで今日やっているのは相撲大会だ。ルールは簡単。土俵に追い出すか、押し倒すか。

 上位者には昇格を約束するし、観客の兵士には「木札」を持たせ、簡単な賭博も出来るようにした。


 この木札を集めれば集めるほど、今日の晩飯が豪華になる。

 副菜が増えたり、羊の干し肉をやわらかくほぐしたスープがついてきたり。


 料理人たちも腕を競わせており、勿論、出来が良かった品は武闘大会の優勝者などに振舞われたりしている。

 ただ、木札を貨幣にするような輩も出てきたと荀攸に怒られたので、その日限りで貯蓄が出来ないようにする必要はあったが。


「始め!!」


 于禁はそれほど大きな体躯ではないが、身体の厚みや戦傷は、まさしく歴戦の強者そのもの。

 開始の合図とともに土を蹴り、力士のような身体をした部隊長に全身をぶっつけ、そのまま土俵の外まで押し出してしまった。


 爆発的に、兵士の歓声が上がる。

 それもそうだろう。相手は今日の大会で優勝したヤツだったんだぞ。


「さぁ、次は殿ですよ」


「え」


「この大会に上下の官位は関係ないと、厳命を降したのは殿でしょう。それを兵にお示しくだされ」


 後日、自分の主君を投げ飛ばすヤツがあるかと、于禁は荀攸に叱られていた。

 同時に変なことをするなと俺も怒られたんだけど。



・士気

兵士のやる気。籠城戦はこれが一番大事なまである。

最悪、士気さえ保てるなら食料が無くても籠城で踏ん張ることが出来る。

とはいえそんなことしたら間違いなく地獄絵図になるんだけどね。


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面白いと思っていただけましたら、レビュー、ブクマ、評価など、よろしくお願いします。

評価は広告の下の「☆☆☆☆☆」を押せば出来るらしいです(*'ω'*)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 狂武帝、妖怪の話も一気に読んでしまいました! 読みやすく、三国志の流れ、当時の環境や思考の勉強にもなりました。 本作品の今後が楽しみですが、人材がどんどん減っているので緊張感を覚えますね……
[一言] 士気が大事と分かるのは項羽の戦い方 自身が前線で戦い負けなかった なので項羽が前線で戦ったら味方は勝つと思いついていった 最後の包囲網でも項羽を戦わせず士気を下げきらないと勝ちきれなかった …
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