表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

7年目の春    関東編

人口密集地帯は悲惨でしょう。

全体的に医薬品が不足しているので進行性や急性の重病や重傷だとほぼ危ないです。

関東は

東京 神奈川 千葉 埼玉 茨城 栃木 群馬


靴の問題を書き忘れていました。靴底が減っても新たな靴の供給がない地域が多い。靴底に使えそうな古タイヤもトレッド面が最近ではスチールラジアルでスチールベルトの取り外しをしないとほぐれたスチールベルトで怪我をしてしまうめんどくささ。柔らかいサイドウォール部分はペラペラタイヤが多いんで少ないんですよ。貼り付ける接着剤がそんなに有るのかという話にもなります。靴底に使うくらいは有るんじゃないかなと。

7年無補給耐久だと、いろいろ不足する物はありますね。

衣類や寝具はボロボロになっても継ぎ接ぎやそのまま使うことでなんとかなりそうです、という気がする。

 北海道と東北の状況は概ねわかった。では関東はどうだろうか。あの範囲に4000万人いるのだ。




       分離時     接続時

東京都   1300万人   25万人


 何も無い狭い地域に1300万人がいればどうなるか。 

 ほとんどが餓死と病死である。次に暴動や泥棒や強盗など犯罪者の死者だった。遺体処理も出来ずに腐敗していった。23区内は全滅と言っていい。

 各地で問題となった衛生用品と生理用品や避妊具は皮肉なことに大幅な人口減で消費されず残った物が多く、接続時までもった。

 わずかに残された緑地と奥多摩にひっそりと生き延びていた。




神奈川県   900万人   40万人

 石油事情は良くない。石油コンビナートは根岸や川崎に有ったが備蓄量は人口比で少なく何年も持たない。

 主要発電所はLNG主体ですぐにガスが尽きた。石炭火力もあるが運転率を下げても2ヶ月で終わった。水力発電所は主力の山梨県側発電所が消えたので総計で5万kWもない。当然足りるわけもなく、神奈川県から電気が消えた。

 その後の電力供給はほぼ無い。発電所管理者の側に行政側から指針も示されず、わずかな電力は有耶無耶の内に消えていった。

 当然都市ガスも供給エンド。LPGはしばらく持った。

 ここで問題だったのは為政者側の優柔不断であった。県知事や周辺は千葉や茨城のように強権発動をしなかったらしい。らしいというのは、3回目の暴動が起きたとき県庁内で残骸になっていたから。

 1回目の暴動が起きたときは、食料の提供を行い収まった。但しこれで備蓄食料はほぼ無くなった。

 2回目の暴動が起きたときは、食料提供の約束をした。暴動側も2回目を期待した。

 3回目は食料提供が無いことで起こった。

 分割直後から有った内部からの進言や警察や自衛隊の再三の警告や要請にも耳を貸さず、事なかれ主義で対応したのだ。

 3回目の暴動で警察と自衛隊は知事と周辺を見限り独自に暴動鎮圧へ乗りだした。自らの官舎や基地、警察署などの拠点まで暴動の被害に遭ったからだ。艦砲射撃まで行いこの鎮圧で数万人が死亡した。それでなければ希望が無い状況で推定50万人越えの暴動など鎮圧出来るわけもない。ここでも暴動側怪我人を無視した。

 弾薬をかなり消費したが米軍厚木基地と米軍横須賀基地の他米軍補給所を接収し、保管されていた武器弾薬をかなりの量入手出来た。 


 その後、神奈川県は無政府状態に陥る。都市部では餓死者が腐り疫病を呼びこんだ。燃料が無く東京同様処分も出来ない。

 川崎市と横浜市は沿岸コンビナート以外治安維持を諦め放棄された。相模原市も放棄された。治安側も燃料弾薬と食料が少なく積極的な行動が取れないのだった。暴徒・犯罪者から相模川以西を確保すべく防衛線を張る。コンビナートも暴動の被害に遭い、出荷設備が壊されて製品の出荷が不能となった。修理は暴動と犯罪を起こす者が相当数減ってから着手され4年後に少量だが出荷される。それは動かなくなっていた上下水道設備へと回された。


 食料生産は東京よりも有るとは言え自給率2%であり、この混乱する状況で燃料と肥料の不足で更に減るだろう。

 肉と牛乳と鶏卵は、牛豚鶏が暴徒によって殺され食料にされたうえに飼料の不足で飼育数を維持出来ずにほとんど無いくらいまでに減った。


 下水道処理施設の多くは初期数ヶ月で停止し、以降は垂れ流し。上水道も電力が来たところしか動かない。薬剤も切れ、濾過後の水を供給するだけとなる。それでも無いところよりはマシだったと言える。ますます病気がはびこり医療機関の多くも閉鎖されているために治療も出来ない。かろうじて動いているところは市中に放置されたり用のなくなったトラックなどのディーゼルエンジン車両から軽油を抜き取り非常用発電機の燃料としていた。暴動の影響でそれが出来なかったところは停止した。


 幸いだったのは水資源自体は急速な人口減によって余裕が出来た。これを農業に生かして生産力を上げていった。最終的には40万人が自給出来るようになった。その頃には暴動や犯罪を起こすような人間は多くが淘汰されており協調して生きていくようになった。そして横浜市街や川崎市街に物資の調達に出かけるのだった。

 各地で問題となった衛生用品と生理用品や避妊具は皮肉なことに大幅な人口減で消費されず残った物が多く、接続時までもった。


 神奈川県の人口減少は餓死が主で病死が次ぐ。次に暴動や泥棒や強盗など犯罪者の死者だった。残りは寿命による自然減。




千葉県   610万人    220万人

 石油だが千葉にはコンビナート地帯があり、国家備蓄基地では無いとはいっても民間備蓄でかなりの量があった。ガソリン、軽油、灯油は配給制となった。ただし非常に少ない。特例で多くしてくれという陳情も多かったが、県知事の判断として全て無視をする。

 ガソリンや食料の配給を巡り千葉市や船橋市で暴動が起こる。初期は丁寧に対応していたが、激しくなるばかりで暴行や強奪や放火など周辺被害が大きく遂に自衛隊出動。警察も実弾を発砲し数万人の死者を出し鎮圧される。刑務所に入れる場所も食料も余裕など無いので射殺対応を千葉県知事が要請し暴動側の怪我人も手当不要とした。こういうときに暴動を起こすような人間は不要と冷徹な判断を下したのだった。

 主要発電所はLNG発電所ですぐにLNGが無くなり運転を停止した。都市ガスも輸入LNGが元となっている地域は無くなった。自県産天然ガスが共有されているのは半数近い家庭と一部施設や工場。供給量を増やすと地盤沈下の可能性が大きく発電所や他の都市ガス地域を賄える量は出ない。県内にある資材で配管を伸ばせるか検討したが無理となり供給場所は増えなかった。

 電力はコンビナートにある自家用発電所からの細々とした電力が頼りになり、上下水道の維持と病院や冷凍冷蔵倉庫へ優先的に回された。上下水道も電力はかろうじて供給されているが薬剤の不足により浄化能力は落ちている。下水処理施設下流域は水質汚染が進む。

 その電力もコンビナートの運転率を備蓄原油量残量に合わせて落としているのでたいした量は無い。太陽光発電の有る家以外は停電した。LPGは副産物として発生しているので備蓄基地もあって多少は持つったが2年後には供給エンドとなった。

 農業生産はカロリーベースで20%程度であり、増産が緊急課題とされた。ゴルフ場は全部潰して畑にした。堆肥も作るよう推奨する。

 それでも足りず、各地で食料泥棒が横行する。無警告での射殺対象とされると宣伝した。それでも減らないほどに飢えた。

 肉と牛乳と鶏卵は飼料の不足で飼育数を維持出来ずに減らした。かなりの牧草地をイモ畑に転換した。


 千葉県では初期の3年で餓死者が300万人を越えた。

 4年目にしてようやく食料生産が餓死者を出さない程度に釣り合う。これは燃料油や肥料を製造出来たからである。ただ利根川が海になった影響で水資源は少なく田んぼを大々的に展開出来ない。ジャガイモとサツマイモが食の主力となる。ピーナッツも高カロリー高脂質であるが腹が膨れないのでイモ畑に変身した。

 だが頼りの燃料油も肥料も農業向けは5年目で尽き、そこからは完全に人力と堆肥に頼ることとなる。

 電力も同様で、5年目には上下水道施設への電力供給が停止した。印旛沼と手賀沼に各河川や東京湾沿岸は悪臭漂うようになった。

 千葉県の人口減少は餓死が主で病死が次ぐ。特に水質が悪化してからの病死が多い。残りは寿命による自然減と暴動や泥棒や強盗など犯罪者の死者だった。


 神奈川県同様の対応であった場合、生存者は100万人以下と考えられ知事と周辺の判断は正しかったと評価される。




埼玉県   710万人    200万人

 内陸県であり石油製品も電力も外部からの供給に頼っている。備蓄など当然無い。それが突然無くなったのだ。小規模な水力発電所はあるものの県全体の需要からすればわずかで、とても県内全ての上下水道の維持まで出来なかった。送電ネットワークの途中で食われる量が多く届かないのだった。後に途中のシステムを切り離し上下水道の維持に回ったのは数ヶ月後で上下水道施設の非常用燃料が尽きた後だった。

 電力泥棒も深刻で有志による防衛策と退治が行われる。

 初期の混乱は酷く東京・千葉・神奈川同様暴動が発生した。特に浦和が酷かった。知事の要請により自衛隊が出動し暴動を鎮圧した。数万人の死者が出ている。怪我が元の病死を含めれば倍くらいになるだろう。

 ガソリンと軽油は市民の移動用へ供給を停止したがその時には相当量が市中在庫から消えていた。残ったガソリンと軽油は農業と上下水道施設と消防・警察へと回された。

 上下水道はいくらもしないうちに非常用燃料が尽き稼働を止め、以降は垂れ流しである。至る所に汚水が溢れ綺麗な水は出なくなったが。一部では電力の回復で再稼働した施設もある。

 疫病が蔓延した。

 食料も自給率20%で望みは無い。

 各地で暴動が繰り返される。自衛隊も備蓄が減り出動回数が減ると県内が無政府状態となっていく。

 暴動を起こした者達の車両などを接収するが燃料は残っておらずただのゴミだった。邪魔にならないところまで人が押していった後は放置だ。

 埼玉県でも食料生産の主力はジャガイモとサツマイモになっていく。

 肉と牛乳と鶏卵は牛豚鶏が暴徒によって殺された他、飼料の不足で飼育数を維持出来ずにほぼいないくらいまで減った。

 埼玉県の人口減少でも餓死が主で病死が次ぐ。次に暴動や食料泥棒の死者だった。残りは寿命による自然減。

 埼玉県でも知事判断は正しかったと評価されている。




茨城県   290万人    220万人

 幸運だった。鹿島に石油備蓄基地も石油コンビナートもあり火力発電所と原発もある。LNG燃料と製鉄所からのガス供給を受ける発電所は停止したが、重油燃料の火力発電所と石炭火力発電所は運転率を落として運転した。原発は燃料棒が2割程度の運転率なら7年持ちそうだとなり、運転再開をした。

 不要不急な工場や民間店舗の多くの操業と営業を停止させて電力を上下水道維持と病院や一般家庭に回した。

 都市部も都市ガスは無くなったがLPGは石油コンビナートから供給された。副産物としての都市ガスも発生するが全ての家庭に供給出来る量は出ない。

 ガソリン・軽油・灯油は配給制となった。ガソリンの配給量は車の大小に関係なく一律だった。

 農業生産が人口を賄えるほど無く、とにかく手の空いた人員を農業に投入することで農業生産の向上を目指した。ゴルフ場は全部潰して畑にするなど努力の結果カロリーベースで90%まで向上したところで7年後に繋がった。

 肉と牛乳と鶏卵は飼料の不足で飼育数を維持出来ずに減らした。かなりの牧草地をイモ畑に転換した。

 水は豊富までは行かないが不自由しない程度の量はあった。ただ水質は怪しいが。茨城県も上下水道は薬剤不足で7年目にはかなり質的低下をきたし、霞ヶ浦の水質悪化が激しい。

 餓死者はほぼいない。病死と寿命ががほとんどだ。




栃木県   190万人    120万人

 埼玉県同様、内陸県で石油製品は市中備蓄のみだったし、電力は水力発電所が総計で最大100万kW時あり、初期の混乱後に上下水道施設と医療施設にへ優先的に送電される。

 関東でも寒い栃木で暖房用の燃料と電力が無いのは死活問題だったが無い物は無いのだ。厚着をして耐えるしか無かった。

 ガソリンと軽油は市民の移動用へ供給を停止したがその時には相当量が市中在庫から消えていた。残ったガソリンと軽油は農業と消防・警察へと回された。

 食料生産は比較的多く、人力を投入して燃料と肥料の不足分を補った。

 肉と牛乳と鶏卵は飼料の不足で飼育数を維持出来ずに減らした。かなりの牧草地をイモ畑に転換した。

 餓死者はほぼ発生せず、一番多い死因は凍死と病死だった。




群馬県    190万人    160万人

 埼玉・栃木同様の内陸県で、同じように電力が消えた。これは電力ネットワークの問題で、県内水力発電所の最大能力で400万kWを越える。異常を修正した後は正常に配電された。一部発電所はダムへの流入量が減り運転率を下げてもそれだけあった。一般家庭への電力は確保された。 

ガソリンと軽油は市民の移動用へ供給を停止したがその時には相当量が市中在庫から消えていた。残ったガソリンと軽油は農業と消防・警察へと回された。電力はあっても電気自動車はほぼ無い状態で、ほとんどの場合、移動は自転車か歩き。

 一部発電所はダムへの流入量が減り運転率を下げてもそれだけあった。一般家庭への電力は確保された。

 食料生産は比較的多く、人力を投入して燃料と肥料の不足分を補った。

 肉と牛乳と鶏卵は飼料の不足で飼育数を維持出来ずに減らした。かなりの牧草地をイモ畑に転換した。

 餓死者はほぼ発生せず、一番多い死因は凍死と病死だった。



次回更新 12月27日 05:00 予定。予定です。


関東圏人口3000万人減。


東京は「47都道府県独立す。ただし強制 TKの場合」

https://book1.adouzi.eu.org/n6265fy/

参照で。


群馬と栃木の水力発電所の能力に驚き。特に群馬凄い。


横田基地と厚木基地と神奈川の米軍相模総合補給敞と横須賀基地は何かあった時に、東京中枢部制圧は兵力が減ったので無理としても東京中枢部と京浜工業地帯と京葉工業地帯の湾岸工業地帯を攻撃するためために有ると思うんですよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ